Nikon Imaging
Japan

2019年6月の星空

宵空に木星の輝きが目立つようになってきました。雲の合間に1つだけしか光が見えなくても、その色や明るさから木星だとわかるほどです。梅雨の時季、曇りや雨の日には雲の向こうの星や惑星に思いを巡らせ、晴れた日には存分に眺めましょう。

星空写真

渋峠にて
夏の銀河が山並みと直交し、空に垂直に立ち昇る光景は、6月中旬から8月中旬のわずか2か月しか見ることができません。その様子を14mm超広角レンズでとらえました。

2018年6月14日 2時17分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(ISO 12800、露出10秒を6枚合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

6月の星空

南の空

南の空

2019年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(17日)、上弦(10日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2019年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

2日(日) 明け方、細い月と金星が接近
3日(月) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
5日(水) 夕方~宵、細い月と火星が接近
6日(木) 夕方~宵、細い月とポルックスが並ぶ
7日(金) 夕方~宵、細い月とプレセペ星団が大接近
8日(土) 宵、月とレグルスが並ぶ
10日(月) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
11日(火) 木星が衝(一晩中見えるので観察の好機です。「今月の星さがし」で解説)
12日(水) 深夜~翌13日未明、月とスピカが並ぶ
16日(日) 夕方~翌17日明け方、月と木星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
17日(月) 満月。次の満月は7月17日です
18日(火) このころ、夕方に水星と火星が大接近
19日(水) 未明~明け方、月と土星が並ぶ
宵~翌20日未明、月と土星が並ぶ(明け方とは並び方が変わります)
22日(土) 夏至(北半球では、一年のうちで一番夜が短い日)
24日(月) このころ、夕方の西の低空で水星がやや見やすい
25日(火) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)

6月の惑星

水星

夕方、西北西の低空に見えます。日の入り30分後(東京で夕方19時30分ごろ)の高度は10度ほど、1時間後の高度は6度ほどで、高度の点では最も見やすい時期と言えます。明るさと高度のバランスから、13日から23日ごろが見つけるチャンスとなりそうです。

チャンスとはいえ、空が暗くなりきっていない時間帯に、街明かりの影響も受ける低空の天体を探し出すのは難しいものです。目印になるような明るい天体もないので、星図アプリなどで位置をよく確かめて探しましょう。双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

18日前後、火星と大接近します。火星は水星よりもさらに暗いですが、ぜひ一緒に観察してみてください。

金星

明けの明星として、明け方の東北東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で朝4時前)の高度は約5度とかなり低いため、建物などに遮られてしまいがちです。見晴らしが良いところで探してみてください。日の出30分前には空も明るくなり、明星というほどの輝きは感じられませんが、肉眼でじゅうぶん見つけられるはずです。双眼鏡を使うと見つけやすいでしょう。

2日の明け方に月齢28の極細の月が、金星の右下に並びます。

火星

「ふたご座」にあり、夜20時ごろに沈みます。日の入りから1時間ほどで沈んでしまうため、見られる時間帯は限られています。また、約1.8等級と明るくないので、見晴らしの良いところで双眼鏡を使って探しましょう。

5日に月齢2の細い月が接近します。また、18日前後に水星と大接近します。

木星

「へびつかい座」にあります。夜20時ごろに南東の空にあり、日付が変わるころに南の空に見えます。明るさは約マイナス2.6等級です。

宵のうちにまずまずの高さまで昇り、ほぼ一晩中見えるので、観察の好期です。双眼鏡では木星の周囲を回る4個のガリレオ衛星のうちいくつかが見え、天体望遠鏡を使うと衛星のほかに本体の縞模様も見えます。機材をお持ちの方はじっくりと観察してみましょう。

16日の夕方から17日の明け方、満月前の明るく丸い月と大接近します。明るい2天体の共演を肉眼や双眼鏡で眺めたり写真に収めたり、また望遠鏡でそれぞれを拡大観察したりしてお楽しみください。

土星

「いて座」にあります。夜20時30分ごろに昇り、1時30分ごろに南の空に見えます。明るさは約0.1等級です。

昇る時刻がさらに早くなり、少しずつ見やすくなってきていますが、宵の時間帯にはまだ低く、天体望遠鏡での本格的な観察はもうしばらく先のほうが楽しみやすいでしょう。機会があれば木星と共に観察してみてください。深夜に空の暗いところで観察すれば、木星と土星の間に天の川が流れている光景も見られそうです。

19日の未明から明け方に、月齢15の丸い月と並んで見えます。また19日の宵から20日の未明にも、明け方より少しだけ細くなった月と土星が並んで見えます。

今月の星さがし

宵空に木星が見やすくなってきました。双眼鏡や天体望遠鏡で観察してみましょう。木星のやや西には準惑星のケレスもあり、双眼鏡で見つけられます。

木星が見ごろ

宵のころ、南東の空に木星が目立って見えています。今年は9月ごろまで、木星が観察しやすいシーズンです。今月11日には木星が地球を挟んで太陽と正反対の位置に来る「衝(しょう)」という状態を迎えます。太陽の正反対ということは一晩中見えるので、それだけ観察できる機会が増えるわけです。

地球から見ると、木星はおよそ1年ごとに黄道12星座(いわゆる誕生星座)を1つずつ動いていきます。昨年は「てんびん座」にあったので、今年は隣の「さそり座」にありそうなものですが、「さそり座」の領域は狭いために、実際には「さそり座」の北にある「へびつかい座」の領域にあります。「へびつかい座」は(一般的な)誕生星座ではありませんが、太陽や惑星が通る星座の一つで、今年はそこに木星が君臨しているわけです。

6月16日 21時と17日 3時(場所は東京)の空の様子。囲み内は拡大イメージ(直径5度)と、さらに木星だけを拡大したイメージ

16日の夕方から17日の明け方にかけては、月と木星が接近する現象が見られます。満月直前の明るく丸い月と木星のペアを眺めてみましょう。時間をあけて観察すると、16日の宵よりも17日の明け方のほうが月と木星の間隔が小さくなることもわかります。

双眼鏡を使うと周りの景色から切り取られた月と木星だけの世界を観察することになり、宇宙をのぞき見る感覚を楽しめます。月の模様がよく見え、木星の周囲にある衛星(イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト)もいくつか見えるかもしれません。月がまぶしく衛星が見えにくい場合は、月を双眼鏡の視野から外すと少し見やすくなります。

天体望遠鏡では見える範囲が狭いため、月と木星の両方を一度に見ることはできませんが、月の模様や木星の衛星がさらに見やすくなります。木星の表面の縞模様もわかるでしょう。

肉眼、双眼鏡、天体望遠鏡、それぞれの見え方を楽しんでみてください。木星については、来月も詳しくご紹介する予定です。

準惑星ケレス

明るく輝く木星の西(右)にもう1つ、見ごろを迎えている天体があります。準惑星に分類されている太陽系の小天体、ケレスです。火星軌道と木星軌道の間に広がる「小惑星帯」に位置する無数の小天体のうちの一つで、小惑星帯で最大の天体です。ただし、最大といっても直径は1000kmほど(月の3分の1未満)しかありません。

このように小さく、また地球からも遠いので、見ごろであっても肉眼ではケレスは見えませんが、双眼鏡を使えば比較的容易に見つけることができます。とくに今年は木星や「さそり座」のアンタレスが目印になるので、見慣れないケレスを見つけるチャンスです。

「さそり座」のアンタレスから頭部付近の星図(木星は図外の左にある)。囲み内は双眼鏡で見える範囲(直径7度)を表し、数字は日付を表す。上が北

まず木星やアンタレスを見つけて、その西にある、さそりの頭部にあたる南北に3つ並んだ星々を探しましょう。3つの星の一番北(上)にあるアクラブを目印にして、星図と双眼鏡の中の星とを見比べていくと、ケレスが見つかるはずです。

日時によってはこの図に描かれた星の並び方と実際の空に見える星々の傾き(角度)とが異なる場合がありますので、図と実際の空とを上手に対応させてください。また、「木星が見ごろ」の項でご紹介したように中旬ごろは明るい月が近くにあって見つけにくくなるので、なるべくその時期を避けて探すとわかりやすいでしょう。下旬よりも上旬のほうがケレスが明るいのでおすすめです。

準惑星としては現在のところ、ケレスのほかに冥王星など全部で5天体が分類されていますが、ケレス以外は海王星よりも遠くにあり、天体望遠鏡でも見つけにくい天体です。単なる光点にしか見えないものの、唯一の見やすい準惑星であるケレスを、この機会にぜひ見つけてみてはいかがでしょうか。

今月の星座

てんびん座

9月下旬から10月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「てんびん座」、宵空で見やすくなるのは6月ごろです。6月中旬の夜21時ごろに、南の空に見えます。

「てんびん座」

最も明るい星でも3等星なので街中ではやや見つけにくいのですが、西(右)隣の「おとめ座」の1等星スピカと東(左)隣の「さそり座」の1等星アンタレスの間に「てんびん座」があるので、位置の見当はつけやすいでしょう。3つの3等星でできる「〉」のような星の並びを探してみてください。

「てんびん座」の由来は、「おとめ座」のモデルの一人である女神アストライアーが人の心の善悪を計るために用いた秤だというギリシャ神話があります。また、紀元前1000年ごろには、昼夜の時間が同じくらいになる(バランスが良くなる)秋分の日のころに太陽がこの星座の付近に位置していたことと関係するという説もあります。

ズベンエルゲヌビとズベンエシャマリ

「てんびん座」は一時期、「さそり座」の一部とされたことがありました。「南のつめ」という意味のアラビア語に由来するズベンエルゲヌビ、「北のつめ」に由来するズベンエシャマリという星の名前に、その名残が見られます。

ズベンエルゲヌビは3等星と5等星のペアで、空の条件が良ければ肉眼でも2つの星があることがわかります。街中でも双眼鏡で眺めれば分離して見えるので、確かめてみましょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は6月中旬の深夜1時ごろの星空です。7月中旬の深夜23時ごろ、8月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2019年6月中旬 深夜1時ごろの星空

南の空に木星と土星、「さそり座」のアンタレスが輝いています。街明かりや月明かりがなければ、木星と土星の間に天の川も見えるでしょう。もし見えなくても、そこに天の川が流れていることを想像しながら星空を眺めるのも楽しいものです。

頭の真上あたりには「こと座」のベガ、「わし座」のアルタイル、「はくちょう座」のデネブでできる「夏の大三角」が大きく広がっています。木星・土星・アンタレスが黄~赤系の色であるのに対して、こちらの3つは白い輝きが印象的です。木星と土星の間を通る天の川は、この夏の大三角を横切って北東の空へと続いています。南の空から天頂にかけて、空を大きく見上げてみましょう。

夜が短く晴れ間も少ない時期ですが、貴重なチャンスを逃さずに、星座探しや月、惑星観察をお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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