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Japan

2019年5月の星空

元号が「令和」にかわれど、星空は毎年同じように巡ります。そして同じように見えても、月の満ち欠けや惑星の移動などで空は変化するので、今年しか見られない現象もあります。新時代の始まりの1か月には、どんなものが見えるでしょうか。

星空写真

房総にて
いすみ鉄道の上空に春の星座が輝き、春の大三角が写っています。踏切にからす座がちょこんと乗っています。

2018年6月2日 22時3分
ニコン D800E+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(14mm、ISO 3200、露出20秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎

5月の星空

南の空

南の空

2019年5月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(19日)、上弦(12日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2019年5月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

3日(金) 明け方、細い月と金星が接近
明け方、細い月と水星が並ぶ
5日(日) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
6日(月) 立夏(こよみの上で夏の始まり)
7日(火) 未明~明け方、みずがめ座η流星群が見ごろ(「今月の星さがし」で解説)
夕方、細い月とアルデバランが並ぶ
8日(水) 夕方~宵、細い月と火星が並ぶ
12日(日) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~翌13日未明、月とレグルスが接近
16日(木) 夕方~翌17日未明、月とスピカが並ぶ
19日(日) 満月。次の満月は6月17日です
20日(月) 深夜~翌21日明け方、月と木星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
22日(水) 深夜~翌23日明け方、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
27日(月) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)

5月の惑星

水星

5日ごろまで明け方の東の低空に見えますが、日の出30分前(東京で朝4時15分ごろ)の高度は約2度と極めて低いので、観察は困難です。地平線近くまで見晴らしが良ければ、近くに輝く金星を目印にして探してみましょう。水星は金星の左下にあります。

3日の明け方に月齢27の細い月が、水星の右に並びます。

金星

明けの明星として、明け方の東の空に見えます。

日の出30分前(東京で朝4時過ぎ)の高度は約6度とかなり低いため、建物などに遮られてしまいがちです。見晴らしが良いところで探してみてください。日の出30分前には空も明るくなっているため、金星の輝きは眩しいというほどには感じられませんが、それでも肉眼でじゅうぶん見つけられるはずです。双眼鏡を使うと見つけやすいでしょう。

3日の明け方に月齢27の細い月が、金星の下に接近します。

火星

「おうし座」から「ふたご座」を動いています。夜20時ごろに西の空の低いところに見え、夜21時半ごろに沈みます。明るさは約1.7等級です。

2等星の明るさで、低空という条件と重なるため、あまり目立ちません。昨年夏の大接近のことを思い出しながら、控えめな光を見送りましょう。

8日に月齢4の細い月と並びます。

木星

「へびつかい座」にあります。夜21時ごろに昇り、深夜23時ごろに南東の空、明け方2時ごろに南の空に見えます。明るさは約マイナス2.5等級です。

昇る時刻がさらに早くなり、見やすくなってきています。肉眼で眺めたり双眼鏡でガリレオ衛星を観察したりしてみましょう。天体望遠鏡での本格的な観察はもうしばらく先のほうが楽しみやすいですが、意欲のある方は取り組んでみてはいかがでしょうか。

20日の深夜から21日の明け方に、月齢16の満月過ぎの明るい月と大接近して見えます。

土星

「いて座」にあります。深夜22時ごろに昇り、0時ごろに南東の空、明け方3時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.2等級です。

見やすい時間帯にはまだ高くないので、天体望遠鏡での観察にはあまり適していませんが、望遠鏡を向ければ環が見えるでしょう。機会があれば木星と共に観察してみてください。

22日の深夜から23日の明け方に、月齢18の月と接近して見えます。

今月の星さがし

ゴールデンウィークの終わりごろに、みずがめ座η流星群の活動が見られ、月明かりのない好条件で楽しめます。深夜の南東の空に輝く木星と土星に、20~23日ごろ月が接近する光景も見ものです。

みずがめ座η流星群

みずがめ座η流星群(η(エータ、イータ)は星の符号)は、毎年ゴールデンウィークの終盤に活動がピークとなる流星群です。「みずがめ座」のη星付近にある放射点(流れ星が飛ぶ中心の方向)を中心として四方八方に流れ星が飛ぶように見えることから、このような名前で呼ばれています。8月のペルセウス座流星群や12月のふたご座流星群ほど多くの流れ星が飛ぶわけではありませんが、毎年そこそこの数の流れ星が見られます。

今年の一番の見ごろは7日の未明から明け方と予想されています。直前の5日が新月なので、月明かりの影響をまったく受けずに流れ星観察ができます。街明かりがなく視界が開けている場所では1時間に15~20個くらい、郊外では5~8個くらいの流れ星が見られるでしょう。前後の日も、数は減りますが見られる可能性があります(時間帯は同じく未明から明け方です)。

5月7日 未明3時(場所は東京)の空全体の様子。流れ星は、放射点が位置する東の空だけではなく、あちこちに飛ぶ

明け方ごろに放射点は東の低空にありますが、流れ星は空のどの方向にも飛びます。東だけでなく、空を広く見渡すようにしましょう。郊外で見る場合には、街灯から離れた方向、建物がなく見晴らしがよい方向を中心に眺めるのがお勧めです。運が良ければ、南の空に見える木星や土星のそば、頭の真上あたりに広がる「夏の大三角」の中に、流れ星が飛ぶかもしれません。

カレンダー通りであれば、この7日が連休明けの初日なので、仕事や学校が再開するという方も多いでしょう。流れ星を楽しむ一方で、体調を崩したり生活リズムを乱したままになったりしないようにもお気をつけください。

20~23日、月と木星、土星が接近

中旬を過ぎると、深夜22時ごろの南東の空に木星が見えます。さらに、その後を追うように、0時ごろには土星も南東の空に見えます。とくに木星はマイナス2等級とひじょうに明るいので、ひときわ目を引くでしょう。まだ見やすい時間帯とは言えませんが、極端な夜更かしをしなくても見えるので、そろそろ観察シーズンの始まりです。

20日の深夜から21日の明け方にかけて、木星と満月過ぎの明るい月が接近して見えます。月の見かけの直径2個分ほどという大接近なのでとても目立ちます。また、22日の深夜から23日の明け方にかけては、少しだけ細くなった月が土星のそばまで移動して並びます。月と木星ほど間隔が近づくわけではありませんが、やはり一目でわかる共演です。

5月21~23日 未明0時の南東~南南東の空の様子(場所は東京)。囲み内は拡大イメージ(直径5度)と、さらに惑星だけを拡大したイメージ

この間の日、21日深夜から22日の明け方は、木星と土星の間に月が位置します。およそ等間隔で3天体が並ぶ光景も面白い眺めです。3日とも観察すれば、月が星や惑星に対して大きく動くことや少しずつ欠けていく様子も実感できるでしょう。

月と惑星の接近現象そのものは毎月のように起こりますが、間隔や月齢、空の様子(透明感や雲の多さ)、そして自分の心境などは毎回変わります。そうした変化も意識しながら、ぜひ空を見上げてみましょう。

今月の星座

おとめ座

8月下旬から9月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「おとめ座」、宵空で見やすくなるのは5月ごろです。5月中旬の夜20時から21時ごろに、南の空に大きく広がっています。

「おとめ座」「かみのけ座」
(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「おとめ座」の目印は、青白く輝く1等星スピカです。スピカはアルクトゥールス、デネボラと共に「春の大三角」を構成する星で、南の空に三角形があるときには一番低いところに見えます。この春の大三角の内側に、「おとめ座」が大きく広がっています。

スピカという名前は「麦の穂」という意味の語に由来していますが、星座の絵を見るとその由来どおり、女神が左手に持った麦穂の位置に輝いています。ギリシャ神話における農業の女神デーメーテールが「おとめ座」のモデルとされているので、麦を持っているのも納得ですね。別の説ではデーメーテールの娘ペルセポネーや、正義の女神アストライアーともされています。

スピカ以外は3等星より暗い星しかないため、街中で乙女の姿を思い描くのは少々難しいかもしれません。春の三角形の中に乙女(女神)が静かに横たわっているというイメージで夜空を眺めてみましょう。

かみのけ座

「おとめ座」の北(上)、春の大三角から少し外に出たあたりに、微光星が集まっているところがあります。ここには「かみのけ座」という星座があります。王妃が神に捧げた美しい髪の毛が星座になったものとされていますが、髪の毛そのものというよりは髪飾りという印象かもしれません。

星の集まりはMel 111(Melはカタログの略号)という散開星団で、空の条件が良いところなら肉眼でもわかるほど明るい星団です。双眼鏡を使えば街中でも存在をとらえられるでしょう(図中、青い円のイメージ)。春の大三角との位置関係を確かめながら探してみましょう。

おとめ座銀河団、M87銀河

「おとめ座」と「かみのけ座」の境界あたりに、銀河が多数集まっている領域があります。星がたくさん集まった天体を「星団」と呼ぶのと同様に、銀河の集団は「銀河団」と呼び、この「おとめ座銀河団」の場合には銀河が1000個近くも含まれています。

おとめ座銀河団までの距離は約5900万光年です。一般的な感覚では途方もなく遠いところですが、銀河団としては私たちから一番近いところにある天体で、様々な観測や研究が行われています。

このおとめ座銀河団の中心に、M87(Mはカタログの略号)という巨大な銀河が存在しています。その銀河の中心には、太陽の65億倍もの質量を持つブラックホールが潜んでいます。この4月、人類史上初めてブラックホールの撮影に成功したというニュースが発表され世界中で大きな話題となりましたが、そのブラックホールは、ここにあるのです。

「おとめ座」や「かみのけ座」の領域にはこのほかにも、非常に多くの銀河が存在しています。そのほとんどは見かけ上とても暗いので、天体望遠鏡を使っても観察は難しいかもしれません。天体写真愛好家の方や天文台、宇宙望遠鏡などが撮影した画像で、銀河の形状の違いなどを楽しんでみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は5月中旬の深夜1時ごろの星空です。6月中旬の深夜23時ごろ、7月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2019年5月中旬 深夜1時ごろの星空

「春の大三角」が西の空に移り、「春の大曲線」が北西から南西に大きなアーチを架けています。反対の東の空には、「こと座」のベガ、「わし座」のアルタイル、「はくちょう座」のデネブでできる「夏の大三角」が高くなってきています。

これらの三角形を構成する星々も目立ちますが、それ以上に目を引くのが南の空で眩しく輝く木星です。近くに光る「さそり座」のアンタレスも明るい星ですが、すっかり木星に圧倒されています。また、南東の土星も、木星ほどではありませんが明るく見えます。街明かりや月明かりがなければ、木星と土星の間に天の川も見えるでしょう。

新しい時代にも、穏やかに安心して、星空を眺めたり宇宙に親しんだりしたいものです。深夜の星々に、願ったり誓ったりしてみるのも、良いかもしれませんね。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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