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2018年12月の星空

毎年12月中旬に活動のピークを迎える「ふたご座流星群」、今年も多くの流れ星が見られそうで楽しみです。ちょうど同じころ、「ウィルタネン彗星」も比較的見やすくなると予想されています。双眼鏡で探してみましょう。

星空写真

富士山麓にて
富士山とふたご座流星群です。北極星の脇を流れています。今年もたくさんのふたご座流群が流れるといいですね。富士山にカシオペヤ座とペルセウス座が沈んでいきます。

2017年12月14日 2時20分
ニコン D800E+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED(24mm、ISO 5000、露出15秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎

12月の星空

南の空

南の空

2018年12月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(23日)、上弦(15日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年12月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(23日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

天文カレンダー

2日(日) 金星が最大光度(明け方の南東の空で眩しく輝いています)
4日(火) 未明~明け方、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説)
7日(金) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
9日(日) 夕方、細い月と土星が大接近
14日(金) ふたご座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
15日(土) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
このころ、明け方の東の低空で水星がやや見やすい(「今月の星さがし」で解説)
夕方~深夜、月と火星が接近
16日(日) このころ、ウィルタネン彗星がプレアデス星団と接近(「今月の星さがし」で解説)
21日(金) 夕方~翌22日未明、月とアルデバランが大接近
22日(土) 冬至(北半球では、一年のうちで一番夜が長い日)
このころ、明け方に水星と木星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
23日(日) 満月。次の満月は来年1月21日です
このころ、ウィルタネン彗星がカペラと大接近(「今月の星さがし」で解説)
29日(土) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)

12月の惑星

水星

明け方の東南東から南東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で朝6時10分ごろ)の高度は10度前後で、太陽から大きく離れることがない水星としては好条件です。中旬以降は水星より明るい木星が近くにあり、水星を見つける目印になるので、この点でも好条件です。

条件が良いとはいえ、10度というのは相当低いので、南東の空の見晴らしが良いところで探すようにしましょう。星図アプリなどで位置をよく確かめて、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。「今月の星さがし」も参考にしてみてください。

金星

明けの明星として、明け方の南東の空に見えます。

日の出1時間前(東京で朝5時40分ごろ)の高度は約25度あります。それほど高くはありませんが、非常に明るいのでよく目立ちます。冬の早朝の張り詰めた空気の中で見る明星は、輝きがいっそう強く感じられるでしょう。

4日に月齢26の細い月と接近します。細い月と金星の共演はとても美しく、早起きする価値のある光景です。ぜひ眺めたり写真に撮ったりしてみてください。

火星

「みずがめ座」から「うお座」を動いています。夜18時ごろに南の空に見え、夜20時ごろに南西の空に移り、深夜23時ごろに沈みます。明るさは約0.2等級です。

地球と大接近した夏のころほどの明るさは感じられませんが、それでも宵の西の空ではひときわ目立つ存在です。色に注目しながら肉眼や双眼鏡で眺めてみましょう。とくに見ものは、15日の夕方から深夜にかけて上弦の半月と接近する光景です。

木星

中旬ごろから、明け方の南東の低空に見えます。明るさは約マイナス1.7等級です。

日の出30分前(東京で朝6時10分ごろ)の高度は10度前後と低いため、天体望遠鏡での観察には向いていません。肉眼や双眼鏡で「木星が再び見え始めた」のを確かめてみましょう。

22日ごろに水星と大接近し、その前後しばらくの間は2つの惑星が双眼鏡の同一視野内に見えます。「今月の星さがし」を参考に、南東の空の見晴らしが良いところで両惑星を探してみてください。

土星

夕方の西南西の低空に見え、日の入りから1時間ほどで(東京で夕方17時30分ごろに)沈みます。明るさは約0.5等級です。

非常に低いため、天体望遠鏡での観察にはまったく向いていません。9日に月齢2の細い月と大接近する光景を、肉眼や双眼鏡で眺めてみましょう。

土星は今後、太陽と同じ方向になるため、しばらく見えなくなります。次は来年1月下旬ごろから、明け方の南東の低空に見えるようになります。

今月の星さがし

12月恒例の天文現象といえば「ふたご座流星群」、今年は14日の深夜から15日の明け方にかけてが一番の見ごろとなりそうです。明け方の空では金星が輝き、水星と木星の接近も起こります。また、比較的明るくなりそうな「ウィルタネン彗星」も楽しみです。

14~15日ごろ、ふたご座流星群

毎年12月中旬ごろに活動がピークとなるふたご座流星群は、寒いことを別とすれば一年でもっとも見やすい流星群です。

といったことが理由です。条件が良ければ一晩で100個以上の流れ星が見えることもありえます。

12月15日0時ごろの東京の空。流れ星は「ふたご座」(放射点)を中心とした空全体に飛ぶように見える

今年ふたご座流星群の活動が最も活発になるのは14日の夜21時ごろと予想されています。この時間帯は上弦前の半月の明かりがあるため、暗い流れ星が見えにくくなり、数が少し減ってしまいます。夜23時ごろになれば月が沈み、「ふたご座」が高くなる(放射点が高いほど数は増える)ので、14日深夜から15日明け方にかけてが一番の見ごろとなるでしょう。街明かりがあるような場所ではもともとの空が明るいので、月があってもなくてもあまり関係がないのですが、「ふたご座」が高くなることを考えると、やはり同じ時間帯が見ごろとなりそうです。

実際に見える流れ星の数は、街明かりが少なく見晴らしが良いところでは、月が沈んだ後であれば1時間あたり30~50個くらいと期待されます。街明かりや月明かりがある、建物などで視界の一部が遮られている、という場合でも、1時間あたり10個程度は流れ星が見えるでしょう。

流れ星観察の重要なポイントは、空を広く見渡すことです。流れ星は「ふたご座の方向だけ」に飛ぶのではなく「ふたご座(放射点)を中心として空のあちこち」に飛ぶので、狭い範囲を集中して見るのではなく、街灯や月のない方向を中心に広い範囲をゆったりと眺めましょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。

観察を始めてすぐに流れ星が飛ぶとは限らないので、防寒の準備を万全にして、安全やマナーにも気をつけながら、少なくとも15分くらいは流れ星を待ってみましょう。とても寒いので、くれぐれも無理はしないようにお気をつけください。なお、数は減るもののピークの前後の期間にも見られるチャンスはあるので、天候やスケジュールの関係で14日ごろに見られない方は別の日に望みをかけましょう。1つでも多くの流れ星が見えますように。

明け方の金星と水星、木星

先月から明け方の東の空に「明けの明星」の金星が見え始めています。先月よりもさらに高くなり、夜が明けるのが遅くなることもあって、いっそう目立つようになっています。周りの空気感とあいまって「突き刺すような輝き」を感じられるかもしれません。

金星の輝きだけでも美しいものですが、4日にはその横に月齢26の細い月が並びます。月と惑星の接近現象にはいろいろな組み合わせ(月の形、時間帯、惑星の種類)がありますが、その中でも「細い月と金星」は一番美しいといえるものです。ぜひ早起きして眺めてみてください。早朝の風景と共に写真に収めるのもおすすめです。月の暗い側がほんのりと光る地球照も見えるでしょう。

12月4日 朝5時30分の東から南東の空の様子(5時30分、場所は東京)。囲み内は月と金星のズームアップ(直径7度、双眼鏡で見たイメージ)

月と金星も右上には「おとめ座」の1等星スピカも見えるはずです。月(女神アルテミス)と金星(女神ビーナス)が「おとめ座」(女神デーメーテール)で出会う、ということも、少し意識してみると面白いかもしれませんね。

さて、明け方の空には金星の他にも惑星が見えています。水星と木星(中旬以降)です。どちらも金星よりはずっと低く、空が明るくなってきてからようやく低空に見えるようになるので、見やすいというわけではありません。しかし水星は、最も好条件で見えるタイミングと呼べるほどの観察好期です。下の星図も参考にして、まず金星、次に木星、最後に水星と探してみてください。22日の前後は双眼鏡の視野内に水星と木星が一緒に見えるので、とくに見つけやすくなります。

12月13日から25日まで、3日おきの南東の空の様子(6時、場所は東京)。線は10度間隔(腕を伸ばして握りこぶしを見た幅くらいの間隔)。囲み内は水星と木星のズームアップ(直径7度、双眼鏡で見たイメージ)

ウィルタネン彗星が見ごろ

彗星をご覧になったことはあるでしょうか。毎年同じ時期に巡ってくる季節の星座や明るく目立つ惑星と異なり、彗星は現れる時期が不定で暗いものがほとんどのため、なかなか目にする機会がありません。双眼鏡で見えるようなものは年に数個程度、肉眼でも見えるものとなると数年に1個あるかないかといったところです。

この12月には久しぶりに、比較的見やすい彗星がやってきます。発見者の名前から「ウィルタネン(Wirtanen)彗星」と呼ばれている彗星で、約5.4年周期で太陽系を公転している天体です。今の時期に見やすい「おうし座」や「ぎょしゃ座」のあたりを動いていきますが、その経路の近くに目印となる天体があるので、とても見つけやすいでしょう。

12月6日から24日までの、東南東の空の様子(夜20時、場所の設定は東京)。日付の間隔は一定ではないので注意。囲み内はウィルタネン彗星付近のズームアップ(直径9度、やや広めの双眼鏡で見たイメージ)。尾はイメージとして表したもので、実際にこのように見えるとは限らない。背景の空の色が変化するのは月明かりの影響の有無による

ウィルタネン彗星は13日に太陽と最接近、16日に地球と最接近し、この前後のころに最も明るくなります。予想では4等級くらいになると予想されていて、空が暗いところであれば肉眼でも見えそうです。郊外でも双眼鏡を使えば見つけられるでしょう。

ただし、彗星はボンヤリと広がっているため、星のような点源の光とは見え方がまったく異なり、同じ等級の恒星よりもずっと淡く見えます。フワッとした小さな雲の切れ端のようなイメージで探してみましょう。双眼鏡でも見え方は同じですが、肉眼よりは見やすくなります。彗星といえば尾も見ものですが、一般に尾は頭部よりもさらに淡いので、見るのは難しいかもしれません。

とくに見ごろとなるのは16日前後で、「おうし座」のプレアデス星団(すばる)と並んで双眼鏡の同一視野内に見えます。プレアデス星団を目印としてウィルタネン彗星を見つける大チャンスです。15日が上弦で月明かりの影響が多少ありますが、ぜひ探してみてください。月が沈む深夜以降に探すのも良いでしょう。運が良ければふたご座流星群の流れ星と一緒に見たり撮ったりできる可能性もあります。

また23日前後には「ぎょしゃ座」の1等星カペラと大接近します。23日が満月で月明かりの影響がかなり強いため、淡い彗星の光は見えにくくなりますが、カペラというわかりやすい目印があるので場所の見当をつけるのは簡単です。カペラの方向に双眼鏡を向けて、うっすらと広がる彗星の姿を見つけてみてください。

存在が確認されている彗星は1000個以上もありますが、太陽から遠ざかって二度と戻ってこなかったり、反対に太陽に近づいたときに熱で壊れたりして、見えなくなったものもたくさんあります。約5.4年周期で公転するウィルタネン彗星も、今回ほど地球と近づいて明るくなるのは今後100年以上はないと計算されています。一期一会の訪問者を、ぜひ冬の空で歓迎してみましょう。

今月の星座

ペルセウス座

毎年8月中旬に見られる「ペルセウス座流星群」で名前が知られている「ペルセウス座」ですが、星座が見やすいのは晩秋から冬にかけての時期です。12月中旬の夜21時ごろに、北東から北の空の高いところに見えます。

「ペルセウス座」

10月号で「ペガスス座」、11月号で「アンドロメダ座」をご紹介しましたが、ペガスス→アンドロメダとたどった先に「ペルセウス座」があります。ギリシャ神話でペルセウスは、ペガススに乗って登場しアンドロメダを助けるという活躍をしています。その3星座が仲良く並んでいることになります。

また、「ぎょしゃ座」の1等星カペラと「カシオペヤ座」との間あたり、と見当をつけることもできます。2等星ミルファクを目印にして見つけてみましょう。

変光星アルゴル

ペルセウスの右手は妖怪メドゥーサの首をつかんでおり、その目のところに輝くのがアルゴルです。アルゴルは3日弱の周期で明るさが変わる星で、明るいときには2等級ですが、暗いときには3等級半ばまで減光します。メドゥーサの魔力を表しているかのようですね。

様々な散開星団

「ペルセウス座」のあたりには天の川が流れているので、双眼鏡でこのあたりを眺めると視野いっぱいに多くの星が見えます。その中にところどころ、とくに集中して星が見える場所があります。このように数十個~数百個の星が集まっている天体を「散開星団」と呼びます。散開星団の星々は、見かけ上同じ方向にあるだけでなく、実際の宇宙空間の中でもまとまった集まりです。

いくつかの散開星団の位置と見え方を星図に示しました。Mel 20はミルファクのあたりを、M34はアルゴルの近くを、二重星団h-χ(エイチ・カイ、2つの散開星団が並んでいます)は、「ペルセウス座」と「カシオペヤ座」の間あたりを、それぞれ探してみましょう。いずれも双眼鏡で楽しむことができ、M34と二重星団は低倍率の天体望遠鏡でも見ごたえがあります。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は12月中旬の深夜1時ごろの星空です。来年1月中旬の深夜23時ごろ、2月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります)。

2018年12月中旬 深夜1時ごろの星空

ちょうど真南の空に、夜空の星の中で最も明るく輝く「おおいぬ座」のシリウスが目立っています。冬の大三角やその周りに見える1等星も見つけてみましょう。ひとことに1等星と言っても様々な明るさや色があるのがわかります。関東地方より南では、南の地平線近くに「りゅうこつ座」の1等星カノープスも見つけられるかもしれません。天候や観察場所の条件に恵まれた日には、ぜひ探してみてください。

東の空からは「しし座」が昇ってきています。まさに獅子が空に駆け上がろうとしている姿に見え、格好いいですね。北斗七星も北東の空に見え始めました。今月ご紹介した「ペルセウス座」は、北西の空の高いところに見えます。

この空の様子は、ちょうど新年を迎えるころ、つまり2019年1月1日の0時とほぼ同じです。除夜の鐘を聞きながら夜空を見上げれば、こんな星々が見えるというわけです。2019年も美しい星空や天文現象に出会えるように願いながら、よい新年をお迎えください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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