第67回ニッコールフォトコンテスト

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第4部 TopEye&Kids

ニッコール大賞
推選
特選
入選
応募点数 8,805点
講評 小林 紀晴

講評 小林 紀晴

写真に表れる若者たちの心の声

 第4部 TopEye & Kidsは一昨年に設けられ、今年で3回目となります。私は2014年から中学生・高校生を対象とした、写真部応援マガジン『TopEye』で写真コンテストの審査を担当し、さらに、昨年度まで「TopEye 全国高校生写真サミット」で、審査員長を務めさせていただきました。定期的に若い世代の方たちの作品に接する中で「創作する喜びの原点」を垣間見る瞬間があり、貴重な体験となりました。私自身も刺激を受けながら、彼らが何を感じ、何に関心を持っているのか、興味を抱くようになりました。
 今回、多くの応募作品の中から栄えあるニッコール大賞に選ばれたのは、田中碧さんの「きらめきの向こう側へ」です。大きな湖を背景に、同世代と思われる女性がブランコに乗っています。ブランコ、人物、周辺の木を含めた風景がブレていて、その動きがとてもエモーショナルです。それでいて、湖の背後にある山並みはブレず、不思議な一枚です。また、写真から「明日」や「未来」といったものを強く感じました。それを一枚の写真から感じさせるのは、容易ではありません。これは審査員一同、共通の意見でもありました。
 推薦は松尾優花さんの「青年期」です。コメントには「学校の屋上で撮りました。」とあることから、おそらく同級生を撮影したのでしょう。しかし、ここに写っているのは、作者自身といえるのではないでしょうか。胸のあたりに風船を持たせ、それをスピードライトで光らせています。果たして、この球体は何を表し、何を象徴しているのでしょうか。解釈は見る側に委ねられています。思春期特有の心の揺れなどと解釈するのは、もしかしたら大人だけかもしれません。わからないからこそ、想像が膨らむのです。
 他にも多くの素晴らしい作品がありました。共通項を見いだすとすれば1つは、心の内を表現していることです。自らが抱く不安や葛藤といった、本来は写真になりにくい、あるいは撮りにくいものを形にしようと、果敢に取り組んでいることです。それは時に、大人には撮れないものです。そのことをうらやましく思うのは、私が歳をとったからでしょうか。もう1つは、たった今目の前で起きている出来事や現象に対して、ストレートにカメラを向けていることです。日常生活の中で何に笑い、感動しているのか。そんなことを伝えようとしている作品です。
 とても素直で正直な写真群を拝見していると、私はうれしくなってきます。うまく撮ろう、こう撮ったら褒められるだろう、という作為が感じられないからです。写真に表れた若者たちの心の声が、見る者の心に直接響いてくるのです。