第66回ニッコールフォトコンテスト

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第5部 TopEye&Kids

ニッコール大賞
推選
準推選
特選
準特選
応募点数 9,541点
講評 佐藤 倫子

講評 佐藤 倫子

自由な感性を発揮して

 第5部 TopEye & Kidsは昨年に新設され、今年2回目となる部門です。私は2014年から3年間「TopEye全国高校生写真サミット」の審査員を務めていましたが、若い感性がつくりだす写真が新鮮で、私自身、大いに刺激を受けていました。その後も各地の高校生を対象にしたフォトコンテストで審査の機会があったため、若い世代の作品には強く興味を持って、今回のニッコールフォトコンテストの審査に臨みました。
 多くの応募作品から栄えあるニッコール大賞に選ばれたのは、髙松志帆さんの「まつ毛長くなりたい系女子」です。4枚の組写真で、女の子たちのワクワクした心情や、高いテンションをとても楽しそうに、微笑ましくとらえています。見ている側も楽しくなってしまうような写真です。みんなのテンションが上がっている場面でありながら、作者自身はどのシーンをねらうか考えて撮影しているような、引いた視点も感じます。だからこそ、その場の雰囲気がインパクトをもって表現できています。まったくカメラを意識せず、メイクを楽しむ無邪気な様子が写し出されていました。女性であればこの気持ちはよく分かります。
 また推選に選ばれた上野睦生さんの「年中夢求」は、カメラの位置を工夫した面白いアングルからの撮影です。バッターの腕の振りや足のひねり具合、キャッチャーがボールを受けようとするやや前のめりになった体勢が、まるで演出されたように決まっています。また、ファウルボールのブレ加減によってより臨場感が増しました。バックネットのラインも曲がらないように意識され、日頃からよく写真を撮っていることが分かります。シャッターを押すことを躊躇せず、普段からたくさん写真を撮ることの大切さが感じられます。
 準推選の川井美樹さん「environment」は、独自の感性が上手に表現されています。光のとらえ方やをつくる構図、色合いなどは、彼女ならではのものです。そして何より「いつもより遠くまで行って、気になったものを撮りました」という作者コメント。感情を表現しようとする試みによって、素直な気持ちでシャッターを切ったことが感じられます。大人になり忘れてしまったものを思い出させられたようです。その気持ちを持ち続けて、今後も写真を撮ってください。
 今回、中学生と高校生の作品が数多く見られました。どれもとても上手で、優等生的な写真が集まっているようにも感じました。それはそれで素晴らしいことですが、それだけ上手になると、果たして「"中学生・高校生らしい写真"とは?」などと考えてしまいます。私の時代より、精神年齢が高いのかもしれません。
 写真ほど、誰もが伸び伸びと自由に表現できる場はほかにありません。それぞれの感性を目一杯に発揮してみてください。作品をつくろうとすることが何より大切であり、自分の表現したいことをどれだけ写真で見せられるかが鍵です。自分を信じ、個性ある作品をたくさん撮ってほしいと願っています。今しか撮れない写真があります。時を戻すことはできないので、貪欲にその瞬間を撮り続けてください。
 またTopEye & "Kids"とあるように、子どもたちの素直な感覚をもっと写真で見せていただきたいです。ぜひ、フォトコンテストへの応募を躊躇せずチャレンジしてみてください。来年はどのような作品が集まるのか、今からもとても楽しみにしています。