Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2016年8月

juna21 横山 大介 写真展

写真
ひとりでできない
7/28 (木) ~8/3 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

吃音者である作者は、自分の意思とは関係なく寸断されてしまうことの多い会話でのコミュニケーションに違和感を持っている。吃音によって発しようとした言葉が行き場をなくし自分の中へ帰っていくとき、作者は他者との間に深い断絶を感じる。

カメラを挟んで視線を交わしお互いを受け容れ認識するという写真の行為は、作者にとって、言葉を交換する会話でのコミュニケーションの不十分さを補う大切なコミュニケーションツールになっている。それは、「他者とコミュニケーションする」という大きな興奮や喜びを作者に与えてくれる。同時に、他者に触れられそうで触れられない、わかり合えそうでわかり合えないもどかしさも感じさせてくれる。

会話をすることも、他者の写真を撮ることも、当然だが、ひとりでできないことである。
カラー約25点。

作者のプロフィール

横山 大介(ヨコヤマ ダイスケ)
1982年兵庫県生まれ。2005年同志社大学文学部文化学科文化史学専攻卒業。
写真展(個展)に、13年「交換」(MIO PHOTO OSAKA ミオフォトアワード・プライム)(ミオホール/大阪)、14年「ひとりでできない」(C.A.P STUDIO Y3/兵庫)がある。
グループ展に、12年「冬の引き出し」(Port Gallery T/大阪)、13年「豊島 MEETING ART in 片山邸」(香川県土庄町指定文化財・片山邸/香川)、15年「フォトふれ NEXT PROJECT EXHIBITION 2015」(杉山美容室隣/北海道・東川町)がある。
13年「MIO PHOTO OSAKA」 公開ポートフォリオ・レビュー選考(選考:島敦彦)。

juna21 高橋 智史 写真展

写真
Borei Keila
-土地奪われし女性たちの闘い-
8/4 (木) ~8/10 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

カンボジアでは近年の経済開発に伴い、国内外の開発企業が現政権と結びつき、開発のために人々の土地を強制収用する事件が全土で多発し、内戦後のカンボジアの、最たる社会問題の一つになっている。30年間の支配体制を敷くフン・セン政権との癒着と不正が開発の陰にはびこり、多くの人々が居場所を失い、涙を流している。
写真展の舞台となっているボレイ・ケイラ地区は、カンボジアの首都プノンペン市内の中央に位置している。同地区は、2004年から都市開発の動きに巻き込まれ、2012年1月3日に、約380家族が、家々を強制的に破壊された。彼らはそれ以降、スコールを防ぐことすら困難な劣悪な環境のバラック小屋での生活を強いられながら、奪われた家と土地を取り戻すために、幾度弾圧されようとも、巨大な権力に対して声を上げ闘い続けている。その中心にはいつも女性たちがいて、彼らはデモの最前線で、大きな勇気を武器に、権力と対峙を続けている。その動きは、奪われた権利を取り戻すという枠を超え、30年間の支配体制に対する、変革の願いへと繋がっていく。彼らの切なる願いを見つめ続けた約3年間の記録。(高橋智史)

カラー40点。

作者のプロフィール

高橋 智史(タカハシ サトシ)
1981年秋田県秋田市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。フォトジャーナリスト。プノンペン(カンボジア)在住。
大学在学中の2003年からカンボジアを中心に東南アジアの社会問題の取材を開始。これまでにカンボジアや東ティモール、スマトラ沖大地震津波被災地、アフガニスタン、ラオス、ベトナムなどを取材。07年からカンボジアの首都プノンペンに拠点を移し、同年から約4年間、同国の社会問題や生活、文化、歴史を集中的に取材し、秋田魁新報連載「素顔のカンボジア」で発表。現在もプノンペンに拠点を置き、政府と開発業者が結びついた土地の強制収用問題をはじめ、人権問題に焦点を当て、英字紙「Cambodia Daily」への発表を中心に、取材活動を続けている。
主な写真展に、13年フォトプレミオ「トンレサップ-湖上の命-」(コニカミノルタプラザ)、14年「素顔のカンボジア・出版記念写真展」(さきがけホール)、15年「2014年第10回「名取洋之助写真賞」受賞作品写真展」(富士フイルムフォトサロン)がある。
写真集に、『湖上の命-カンボジア・トンレサップの人々-』(窓社)、フォトルポルタージュ『素顔のカンボジア』(秋田魁新報社)がある。
受賞歴に、07年「日本大学芸術学部 芸術学部長賞」、13年と14年に2年連続で「国際ジャーナリスト連盟(IFJ)日本賞」大賞、14年「2014年第10回「名取洋之助写真賞」」がある。

第22回酒田市土門拳文化賞受賞作品展
芦田 英次 写真展

写真
『野生魂』 最後の記録
8/11 (木) ~8/17 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

エチオピア南部奥地、高度2,000メートル超の深い森の中に、古代から野生のままで、独自の風習を貫き、原始生活を続ける少数民族がいる。2009年、彼らの生きざまをルポルタージュしようと作者は奥地に入った。
初めて取材して作者は驚いた。強固な肉体と、他人を全く寄せ付けないアイデンティティを持ち続けて、現代まで孤高のままで生きて来ていた。「モノ」は全く持たず、自然に溶け込んで強い生命力を維持していた。「モノに溢れ」便利さだけにすがって生きている現代人のひ弱さに強い違和感を持ち、大いに感動した。そして5年間、作者は取材を続けた。
ところが、11年頃から様相が一変した。
アフリカ縦断道路が貫通し、同時に電気が入った。文明開化が急激に進み、生活革命が起こった。全く想定外の周囲の変化の中で、これまでの野生の生きざまの記録は、今や社会進化の貴重な証拠であり、記録となったと作者は思っている。
本展では、作品を、Ⅰ)決斗儀礼(ドゥンガ祭)、Ⅱ)牛との共生、Ⅲ)ウーマンパワー、Ⅳ)文明化の大波の4章に再編集してまとめている。
カラー30点。

選考委員講評

東アフリカ・エチオピア南部奥地に住み、自然との共生を続ける少数民族の記録写真。
芦田さんの組写真には一枚としてブレがない。歴史性、社会性、ドラマ性といい精神性の高さに優れている。「決斗儀礼(ドゥンガ祭)」「牛との共生」「ウーマンパワー」「文明化の大波」の4章に30枚の組写真を分類し、組写真でしか表現できない効果を知り尽くしている。モチーフの捉え方とその表現には、生きた社会的な憤り、写真を撮る精神が伝わってくる。
写真とは何か?「記録であり、リアリズム写真である」という師・土門拳の精神を引き継いでいる。五年間の臨場感ある写真を15ミリから80ミリのズームレンズ一本だけで作り上げているのも驚きである。
これらの写真群は現代文明人へのアンチテーゼに他ならない。  (藤森 武)

作者のプロフィール

写真

芦田 英次(アシダ エイジ)
1934年京都府京都市生まれ。56年立命館大学経済学部卒業。在学中は写真部に所属し、関西学生写真連盟で活躍。1957年に写真を中断し、99年から写真活動を再開。
写真展(個展)に、2001年「芦田英次入選作品展」(京都)、03年「旧市街三都物語」(京都、名古屋)、05年「ベルベルと言われる人々」(大阪、京都)、06年「変身劇場・ベネチア仮面祭」(大阪、京都)、07年「海の住人、森の住人」(大阪、京都)、12年「野生魂」(東京、京都)がある。
受賞歴に、57年「アサヒカメラ」誌(色彩写真賞次点)、二科展(11年会友推挙、入賞2回、入選6回、関西二科賞、会友努力賞)、JPS展(入選6回)、JPA展(入賞2回、入選2回)、APA公募展(入選2回)、国際写真サロン(入選3回)、ニッコールフォトコンテスト(特選1回、準特選1回、入選2回)、その他コンテスト入賞、入選多数。
立命館大学写真部OB会に所属し同会会長を務める。そのほか、二科会写真部会友、京都丹平クラブに所属。     

土門拳文化賞奨励賞

第22回土門拳文化賞奨励賞は下記の方々が受賞されました。

和田 マサ子氏(ワダ マサコ) 「声がきこえる」
齋藤 和男氏(サイトウ カズオ) 「老老の記」
海老名 和雄氏(エビナ カズオ) 「産土(うぶすな)と震災」

藤岡 亜弥写真展

写真
川はゆく
8/18 (木) ~8/31 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
休館:8/20(土)・21(日)

写真展内容

3年前に作者は広島に引っ越し、日常を通してヒロシマを考えるという作業が始まった。広島を歩くと、いやがおうでもヒロシマの表象に出会う。
広島で平和を考えるのは当たり前のことのようでもあるが、日常という厚い皮層からヒロシマの悲劇を垣間みることの困難さなど、生活してみて初めて知ることが多かった。さらに、街にあふれる「平和」という名のお祭りやアート、劇場化されたイベントなど、平和へのエネルギーを感じながらも、平和はつかみきれないばかりか、ひとつの自己表現として街と平和とアートの関係についても作者は考えることになった。そのような日常の表層は、70年という厚い時間がもたらしたものかもしれない。そのなかで歴史の深層に不可視化されてきた悲劇が、どこかに見え隠れしているのではないかと作者は思った。日常を通して歴史を意識化することが、見ることの拡張に深く関わることを知った3年だった。
カラー40点。

作者のプロフィール

藤岡 亜弥(フジオカ アヤ)
1972年生まれ。90年広島県立呉三津田高等学校卒業。94年日本大学芸術学部写真学科卒業。97年台湾師範大学語学中心に留学し、99年まで台北市に滞在。99年から2000年までヨーロッパに滞在。08年から09年まで文化庁新進芸術家海外派遣制度奨学生としてニューヨークに滞在。09年から12年までアーティストビザを取得しニューヨークで活動。12年から広島で活動中。ニコンカレッジ講師、毎日文化センター講師、プチポカ会主宰。  
写真展(個展)に、96年「なみだ壺」(ガーディアン・ガーデン/東京)、96年「笑門来福」(WORKS H/横浜)、01年「さよならを教えて」(新宿ニコンサロン/東京)、04年「離愁」(新宿ニコンサロン/東京)、05年「さよならを教えて」(ビジュアルアーツギャラリー・東京、ビジュアルアーツギャラリー(大阪)、名古屋ビジュアルアーツ内ギャラリー、九州ビジュアルアーツ内ギャラリー)、06年「私は眠らない」(銀座ニコンサロン/大阪ニコンサロン)、09年同展(AKAAKA/東京)、10年「Life Studies」(Dexon gallery/New York)、11年同展(AKAAKA/東京)、同年「アヤ子江古田気分」(AKAAKA/東京)、12年「離愁」(AKAAKA/東京)、同年「離愁」(ギャラリーG/広島)、14年「Life Studies」(銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン)、同年「Life Studies 2」(Place M/東京)がある。
グループ展に、05年「離愁」(第24回写真『ひとつぼ展』)、同年「マリクレール ホワイトキャンペーン 2005」、06年「平遥国際写真フェスティバル」(中国・平遥)、同年新写真派協会「フォトグラフィティ1980−2005」(ポートレートギャラリー)、10年「message-飯沢耕太郎の注目する女性写真家-」(リコーフォトギャラリーRING CUBE)、10年「日本写真協会賞受賞作品展」(富士フイルムフォトサロン)、14年「赤々舎から 本から 写真から」(スパイラルガーデン/表参道)、15年「花-生きるということ-」(東広島市立美術館)のほか多数がある。
受賞歴に、94年日本大学芸術学部奨励賞、04年ビジュアルアーツフォトアワード、04年第24回写真『ひとつぼ展』入選、10年日本写真協会新人賞がある。
写真集に、96年『シャッター&ラブ 16人の若手女性写真家』(インファス出版)、04年『さよならを教えて』(ビジュアルアーツ出版)、09年『私は眠らない』(赤々舎)があるほか、16年『川はゆく』(赤々舎)が出版される予定。

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