Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2015年9月

ハナブサ・リュウ写真展

写真
身体作品
8/27 (木) ~9/2 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

美術史を通して、太古の洞窟の壁画や小さな石に彫られた石器時代から古代ギリシャのヴィーナス像やローマ時代の彫刻、ヨーロッパのルネサンス期の絵画や彫刻を経て、古典的な美の典型として、また、生命の器として、身体を愛おしむ普遍的な想いは受け継がれてきた。しかし、今日では、社会における人間の存在の希薄さからか、その「想い」はやや薄れているように作者は感じている。
この作品は、先人たちが残した素晴らしい『身体作品』へのオマージュであり、人間の存在の根本を考えることから生まれた。直接、生身を撮るのではなく、かつて描かれた絵画やつくり出された彫刻の部分を撮ることによって、イマジネーションがかき立てられ、「身体」への憧れとエロティシズムが強く感じられると作者はいう。そして、その時代の体温を感じながら「普遍的な想い」をよみがえらせたいと思っている。
長い間、肖像や女性の美を撮り続けてきた作者にとって「身体」は、永遠のテーマである。モノクロ44点。

作者のプロフィール

ハナブサ・リュウ
1949年大阪府生まれ。静岡県伊東市在住。
70年銀座ニコンサロンでの写真展「もうひとつなにか」でデビュー。78年から4年間、91年から8年間パリに滞在。フランスを中心に、アーティストの肖像、ファッションや料理、建築や芸術作品など、ヨーロッパ文化の真髄をテーマに創作活動をしている。
主な写真展に01年「BAROQUE」(新宿ニコンサロン)、07年「美の王国」(銀座ニコンサロン)などがある。主な写真集に『フェミニテ』、『プレザンス』、『BACK』、『PARIS PARIS』、共著(写真)に『ルーヴル美術館』、『パリ オルセー美術館』、『アラン・デュカス 進化するシェフの饗宴』などがある。著作に『美しいヌードを撮る!』がある。日本写真家協会会員。ニッコールクラブ顧問。

ニコンサロン特別展
大島 洋写真展

写真
幸運の町・三閉伊
9/3 (木) ~9/9 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

「三閉伊」とは岩手県の三陸沿岸を中心とする上閉伊郡、下閉伊郡、それに九戸郡をくわえた一帯を指している。江戸時代末の弘化と嘉永の時代、この地を中心に三閉伊通り百姓一揆が起った。作者は20代の半ばから30代にかけて、一揆の跡を追ってひたすらに歩いた。野田、普代、田野畑から田老、宮古、山田、大槌、大船渡、さらに宮城県の塩釜辺りまで、一揆だけでなく東北の歴史と文化のさまざまに思いを至らせながら撮影行を重ねた。飢饉と餓死と少女たちの身売り、紀元前からくり返し押し寄せた大津波、日本の僻地と称された奥深い北上山地、そして生まれ育った盛岡、それらは改めて知り学ぶ東北の位相であり、作者にとっての生の模索と写真の規範を求めるような時間だった。それから後も断続的に通っては、作者は撮り続けた。
2011年3月11日の地震と津波は、この沿岸の町や村をまるごとに呑みこんだ。津波で町や集落の姿が失われても、あるいは大きなダメージを免れることができたとしても、三閉伊を隔てなく歩き、隔てなく撮らないわけにはいかないと作者は思った。あの日から4年余りの時が過ぎたが、もし問われているものがあるとしたら、これからの5年、そして10年をどのように関わっていくことができるかだと、作者は思っている。

大阪ニコンサロンでは「幸運の町・三閉伊」を、ニコンサロンbis大阪では2011年の震災と津波以降を中心に構成した「そして三閉伊」を展示する。
モノクロ約50点(大阪ニコンサロン)・カラー約40点(ニコンサロンbis大阪)。

作者のプロフィール

写真

大島 洋(オオシマ ヒロシ)
1944年生まれ。第1回写真の会賞、第28回伊奈信男賞を受賞。

有野 永霧写真展

写真
日本人景 借景の村
9/10 (木) ~9/16 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

「日本人景」は、人が自然とかかわり合いながら人為的に作った風景から、日本人のものの見方や考え方を探って見ようとするシリーズである。
今回は、日本文化の独特な造園思想の「借景」に作者は着目した。造園学での借景は、前景と遠景、庭と背景からなる借りた風景の融合の世界を求めている。作者は適合した関係にとどまらず、違和感のある風景や、奇妙な対比をなす風景、さらにはちぐはぐな様相を呈している無関係の光景などを集め、不条理ともいえる借景の中に日本人の潜在的な思想をさぐろうとした。
人は生活をする中で、この風土に対して様々な行為を仕掛け、人工の風景・人景をたゆまなく作り続けてきた。日本の村も、人が自然の中に足を踏み入れ、手を加えながら、営々と生活を営なみ、歴史と文化を作り上げてきた。現在我々が見ている風景は、意識的であれ無意識的であれ、日本人が時間とともに歩んできた集積であると作者は言う。
カラー40点。

作者のプロフィール

有野 永霧(アリノ エイム)
1941年兵庫県生まれ。大阪学芸大学(現・大阪教育大学)卒業。
ニコンサロンでの写真展に78年「there WAS・・・ ヨーロッパにて」、80年「虚実空間・都市 日本編」、83年「虚実空間・都市 ロンドン編」、同年「虚実空間・都市 ニューヨーク編」、89年「空蝉の都市 日本編」、94年「空蝉の都市 ヨーロッパ編」、96年「空蝉の都市 アメリカ編」、97年「無名のアースワーク シーサイド編」、99年「無名のアースワーク 国道筋編」、03年「虚実空間・日本人景」、06年「無名のアースワーク 地中海編」、07年「無名のアースワーク アメリカ編」、09年「日本人景 温泉川」、10年「日本人景 三角地」、14年「マイナスの人景」がある。他にアメリカ、イギリス、オランダ、ドイツ、中国、韓国、台湾などでの海外展がある。
主な写真集は「虚実空間・都市」、「都市からのメッセージ」、「都市」、「虚実空間・空蝉の都市」、「虚実空間・空蝉の風景」、「日本人景 温泉川」。
受賞歴に81年タイムライフ写真年鑑新人賞、94年第19回伊奈信男賞などがある。

juna21 山畑 俊樹写真展

写真
今日もパレスチナにいる
9/17 (木) ~9/23 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

地中海東岸にあるパレスチナは、ガザ地区とヨルダン川西岸地区からなる。昨年8月に大きな侵攻があったガザ地区と比べ、ヨルダン川西岸地区は比較的安定していると言われる。人々は学校や職場に通い、家族や友人と時間を過ごし、モスクや教会で祈りを捧げる。山間部では古くからオリーブ栽培が盛んで、どこまでも続くオリーブ畑はパレスチナの牧歌的な風景である。
一方で、分離壁による土地の分断や、イスラエル人入植地の建設に伴う衝突も絶えない。日常と紛争が混在している。
作者は難民キャンプに住む青年との出会いをきっかけに、現地大学へ留学した。2013年9月から約3ヶ月間をヨルダン川西岸地区、14年1月から約3ヶ月を隣国ヨルダンで過ごし、報道に上がらない人々の生活模様を撮影した。
本展では、ニアリーン村のオリーブ収穫、ナビー・サーレフ村の抵抗運動、ナブルスやヘブロンといった都市部で働く人などの写真を展示する。
カラー23点・モノクロ5点。

作者のプロフィール

山畑 俊樹(ヤマハタ トシキ)
1993年 フランス・ストラスブール生まれ。早稲田大学人間科学部5年生。大学入学後、世界一周を目指し一人旅を始める。13年9月から14年4月にかけてパレスチナのヨルダン川西岸地区、ヨルダン王国に留学。本格的に写真を始める。13年第62回ニッコールフォトコンテスト第4部大賞受賞。

juna21 大坪 晶写真展

写真
Shadow in the House #01/#02
9/24 (木) ~9/30 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

Shadow in the House シリーズは、複雑な歴史を持つ家の室内に影を配して撮影している。場所は、チェコ共和国のプラハと奈良の大和郡山で、二つの家は所有者が重層的に入れ替わり、現在は公共施設として使用されている。
影は心理学的には生きられなかった自己の中に存在する他者であり、哲学者プラトンは、われわれが現実に見ているものはイデア(姿)の影に過ぎないと仮定した。
作者は、写真に長時間露光によって影を写し込むことにより、記憶の重層性について考え、個と社会、記憶と記録の関係性について提示している。カラー15~20点。

「Shadow in the House #01」
チェコ共和国プラハにあるBehal Fejér Institute(べトナ・ホラー・インスティチュート)は、1928年に個人の邸宅として建設された。第二次世界大戦中は軍事的に占領され、戦後の共産主義体制の元、政府から教会に貸与された。所有者のべトナ・ホラーは、政府により全ての私有財産を奪われ、家族とともにアメリカに亡命した。ホラーはその後故郷プラハに帰ることはなかった。1989年のビロード革命により、共産主義体制は崩壊した。その後、遺族が返還請求の裁判をおこし、2001年に返還された。現在、この施設は孫のIlona Wiss(イロナ・ウィス)によって管理されており、公共施設として人々を受け入れている。この写真群は、イロナの協力によって、歴史的背景と彼女が担父から聞いたいくつかの逸話をもとに撮影したものである。

「Shadow in the House #02」
旧川本邸(奈良県大和郡山市)は大正時代に建設された。1958年まで遊郭として使用され、風営法の制定により遊郭を廃業した後には、客を接待していた小部屋は下宿として間貸しされた。
2010年市民のボランティアにより改修が開始され、現在は市の指定管理施設として町の保存団体が管理している。14年に登録有形文化財に指定され、今後、市による耐震化工事を経て、本格的な活用が始まってゆく。今回は、奈良芸術祭「はならぁと」のプロジェクトの一環としてキュレーターや保存団体の方々の協力を得て撮影を行うことができた。この邸宅には、当初遊郭として多様な人々が行き来し、その後間借りした人々が生活した痕跡が部屋の随所に存在している。

作者のプロフィール

大坪 晶(オオツボ アキラ)
1979年兵庫県生まれ。2011年東京藝術大学先端芸術表現科専攻修士課程修了、13年プラハ工芸美術大学(AAAD)M.F.A。
写真展に、「Shadow in the Mirror」(11年Juna21新宿ニコンサロン、12年Juna21大阪ニコンサロン、14年奈良芸術祭「はならぁと」(奈良県大和郡山)、14年Gallery UNITÉ KYOTOGRAPIE KG+(京都)などがある。
海外の写真展では、12年DOX プラハ現代アートセンター(チェコ・プラハ)、13年MUNIKAT gallery (ドイツ・ミュンヘン)、同年Běhal Fejér Institute (チェコ・プラハ) 、同年Nordart2013(ドイツ・レンツブルグ)などがある。

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