Nikon Imaging
Japan
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銀座ニコンサロン 2015年8月

有野 永霧写真展

写真
日本人景 借景の村
7/29 (水) ~8/11 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
休館:8/8(土)・9(日)

写真展内容

「日本人景」は、人が自然とかかわり合いながら人為的に作った風景から、日本人のものの見方や考え方を探って見ようとするシリーズである。
今回は、日本文化の独特な造園思想の「借景」に作者は着目した。造園学での借景は、前景と遠景、庭と背景からなる借りた風景の融合の世界を求めている。作者は適合した関係にとどまらず、違和感のある風景や、奇妙な対比をなす風景、さらにはちぐはぐな様相を呈している無関係の光景などを集め、不条理ともいえる借景の中に日本人の潜在的な思想をさぐろうとした。
人は生活をする中で、この風土に対して様々な行為を仕掛け、人工の風景・人景をたゆまなく作り続けてきた。日本の村も、人が自然の中に足を踏み入れ、手を加えながら、営々と生活を営なみ、歴史と文化を作り上げてきた。現在我々が見ている風景は、意識的であれ無意識的であれ、日本人が時間とともに歩んできた集積であると作者は言う。
カラー40点。

作者のプロフィール

有野 永霧(アリノ エイム)
1941年兵庫県生まれ。大阪学芸大学(現・大阪教育大学)卒業。
ニコンサロンでの写真展に78年「there WAS … ヨーロッパにて」、80年「虚実空間・都市 日本編」、83年「虚実空間・都市 ロンドン編」、同年「虚実空間・都市 ニューヨーク編」、89年「空蝉の都市 日本編」、94年「空蝉の都市 ヨーロッパ編」、96年「空蝉の都市 アメリカ編」、97年「無名のアースワーク シーサイド編」、99年「無名のアースワーク 国道筋編」、03年「虚実空間・日本人景」、06年「無名のアースワーク 地中海編」、07年「無名のアースワーク アメリカ編」、09年「日本人景 温泉川」、10年「日本人景 三角地」、14年「マイナスの人景」がある。他にアメリカ、イギリス、オランダ、ドイツ、中国、韓国、台湾などでの海外展がある。
主な写真集は「虚実空間・都市」、「都市からのメッセージ」、「都市」、「虚実空間・空蝉の都市」、「虚実空間・空蝉の風景」、「日本人景 温泉川」。
受賞歴に81年タイムライフ写真年鑑新人賞、94年第19回伊奈信男賞などがある。

宍戸 清孝写真展

写真
21世紀への帰還 第6弾
8/12 (水) ~8/25 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者は、第二次世界大戦時、日米の狭間で翻弄された日系二世をテーマに取材を続けてきた。1995年「21世紀への帰還」として発表以来、今回で第6弾を迎える。  
米国への忠誠心を示すことで日系人の名誉を回復するため、過酷なヨーロッパ戦線へ足を踏み入れなければならなかった二世たち。1943年9月、二世部隊はイタリアのサレルノに上陸後、ナチスドイツ軍との激烈な戦いを繰り広げた。最初の戦死者となるジョー・タカタが亡くなった地や故ダニエル・イノウエ上院議員が右腕を失った場所に立つと、広大な大地や海、人々の暮らしが広がる。ヨーロッパ解放70年、二世部隊が解放した町には地元の人々が感謝を記した顕彰碑が残り、米軍墓地の墓標には彼らの名前も刻まれている。しかし、今やあの時の戦渦を窺い知ることは難しい。
それでも、目前の景色には、彼らの意志や勇気、恐怖や涙が刻まれている。時を経たからこそ見える戦争の記憶を記録し、平和への願いを新たにしたいと作者は思う。

作者のプロフィール

宍戸 清孝(シシド キヨタカ)
1954年宮城県仙台市生まれ。80年に渡米、ドキュメンタリーフォトを学ぶ。86年、宍戸清孝写真事務所を開設。93年「カンボジア鉄鎖を越えて」(銀座ニコンサロン)、95年よりアメリカと日本の狭間で激動の時代を生きた日系二世をテーマに写真展「21世紀への帰還」シリーズを発表。受賞歴に、2003年日本リアリズム写真展視点特選、04年第29回伊奈信男賞、05年宮城県芸術選奨などがある。
著書に「Japと呼ばれて」(論創社)、「Home 美しき故郷よ」(プレスアート)がある。

奥山 淳志写真展

写真
あたらしい糸に
8/26 (水) ~9/8 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

いまから10年ほど前、作者が岩手県の雫石町に移住してから数年たった頃のことだ。「東北」という土地が内包する世界を見たいという思いで、各地の祭礼行事を訪ねることになった。
その頃の作者は、東北の祭礼に興味を抱く多くの人たちと同じように、目の前で繰り広げられる祭礼の営みのなかに「まだ見ぬ遠い世界」や「憧れ」を見つけようとした。それはたとえば「縄文」であったり、「連綿と続く共同体の神話」であったりした。そして、そこには確かにその類の匂いもあり、甘美でもあった。もし、東北で生きることを決心していなかったならば、そこで見つけた「遠い世界」に身を委ね、心地良くシャッターを切ることができただろう。
しかし、作者は東北の同時代を生きる者として、見るべきことはもっと別なところにあるような気がした。それは、いま、祭礼はどういうものなのかという現実的な問題だった。いうまでもなく多くの祭礼は形骸化している。遠い時代から信じられてきた大いなる物語は、すでに消えてしまっているのだ。簡単に言えば、祭礼は役目を終えた。そういう風に作者には思えた。実際、行われなくなった祭礼も数多くあった。しかし、その一方で、何とか頭数を集めながら変わらぬかたちで祭礼を続ける人たちの姿も多くあった。そんな人たちの姿は、作者に根本的な疑問をもたらした。
“物語を失った祭礼をなぜ続けるのだろうか?”その日から作者は、この問いの答えを探すべく、祭礼を訪ね歩いた。
そして、今、作者はひとつの仮説に近い答えをつかんだような気がしている。大いなる物語の代わりにこの地に暮らす人が探し出そうとしているものは、今の時代を生きる自分たちが、これからもこの土地で生きていくための新たな世界観ではないだろうか。彼らは、新たな糸をつむぐように、新しい世界観を仲間とともに見出し、物語を失い、空になった祭礼という器に満たそうとしているのではないだろうか。
あたらしい糸。紡ぎ出されたその先を作者は見続けていきたいと思っている。
カラー約40点。

作者のプロフィール

奥山 淳志(オクヤマ アツシ)
1972年大阪府生まれ。京都外国語大学卒業。95年から98年まで東京で出版社に勤務した後、98年に岩手県の雫石町に移住し、写真家として活動を開始。以後、雑誌媒体を中心に北東北の風土や文化をテーマとした作品を発表するほか、近年は、フォトドキュメンタリー作品の制作を積極的に行っている。
写真展(個展・グループ展)に、2005年「旅するクロイヌ」(up cafe/岩手)、06年「Country Songs ここで生きている」(ガーディアン・ガーデン/東京、GALLERYヒラキン/岩手) 、08年「明日を作る人」(新宿ニコンサ口ン)、09年「今、そこにある旅(東京写真月間)」(コニカミノルタプラザ/東京)、10年「Drawing 明日をつくる人 vol.2」(TOTEM POLE PHOTO GALLERY/東京)、12年「彼の生活 Country Songsより」(銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン) がある。
著作に、03年『岩手旅街道』(岩手日報社)、04年『手のひらの仕事』(岩手日報社)、06年『フォト・ドキュメンタリー「NIPPON」』(ガーディアン・ガーデン)、12年『とうほく旅街道』(河北新報出版センター)がある。
このほか、「季刊銀花」(文化出版局)、「アサヒカメラ」(朝日新聞社)、「ソトコト」 (木楽舎)、「家庭画報」(世界文化社)、「風の旅人」(ユーラシア旅行社)、「ダ・ヴィンチ」(メディアファクトリー)、「Ways」(JAFMATE社)、「北東北エリアマガジンrakra」(あえるクリエイティブ)、「トランヴェール」(JR東日本) などで作品を発表。JRフルムーンポスターを手がける。
また、06年に写真展「フォト・ドキュメンタリー「NIPPON」2006」(ガーディアン・ガーデン)の写真家に選出された。

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