Nikon Imaging
Japan
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銀座ニコンサロン 2015年6月

池本 喜巳写真展

写真
近世店屋考
5/20 (水) ~6/2 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

多くの撮影は困難を極めた。店主の撮影許可がもらえないのである。「なぜこんな古い店を撮るのか、ざまが悪い」というのである。時には「帰れ!」という罵声と同時にお茶をぶっかけられたこともあったという。しかし、ひたすら頭を下げ、くらいつくしかなかった。
最初の撮影は1983年、鳥取市青谷町にある散髪屋からだった。その後、靴屋、苗屋、粉屋、たどん屋など、約60業種100軒の店を撮り、30年以上経った。細部までの記録を求め、8×10から4×5、そして体力の衰えと共にデジタルへと変化をよぎなくされたが、現在もなお店を探しては撮り続けている。
作者がなぜ、ここまでして個人商店にこだわるのか…。それは、かたくなに自己の生き方に固執する個人商店には、主人独特のにおいがしみ込み、奇怪な魅力があるからだ。さらに興味を覚えるのは、六本木ヒルズに代表される高層ビルの建ち並ぶ大都会を、スマホ片手に会話を楽しむ若者と同じ時代に、これらの商店が存在し、同じ時間を共有していることの不思議さである。
経済至上主義の日本では、人々は目新しい最先端の方向にしか目を向けない。しかし山陰に住む作者は、不器用に生きてきたこれらの商店と主人に強く惹かれるのだ。残念ながら、個人商店は急激に姿を消している。

作者のプロフィール

池本 喜巳(イケモト ヨシミ)
1944年鳥取市生まれ。67年日本写真専門学校卒業。70年鳥取市にて池本喜巳写真事務所設立。77~96年植田正治氏の助手を務める。82~98年日本写真家協会会員。
主な写真展(個展)に、84年「そでふれあうも」(銀座ニコンサロン)、86年「近世店屋考1985~1986」(ポラロイドギャラリー/東京)、87年同展(ピクチャーフォトスペース/大阪、アムステルダム・ロッテルダム/オランダ、ローマ・ミラノ/イタリア)、93年「ジェームスの島」(銀座ニコンサロン)、2000年「近世店屋考」(JCIIフォトサロン/東京)、01年「写された植田正治〈天にある窓〉」(植田正治写真美術館/鳥取、JCIIフォトサロン/東京)、13年「素顔の植田正治」(ブルームギャラリー/大阪)などがあり、グループ展に00年「21世紀に残したい自然」(東京都写真美術館)、04年企画展「現代の表現 鳥取VOL.2 平久弥・池本喜巳 Painting & Photography -Presence-」(鳥取県立博物館)などがある。
主な写真集に、『そでふれあうも』(93年 G.I.P. Tokyo)、『大雲院 祈りの造形』(96年 大雲院)、『池本喜巳作品集 鳥取百景』(99年 鳥取銀行)、『池本喜巳写真集 三徳山三仏寺』(02年 新日本海新聞社)、『近世店屋考』(06年)、『そでふれあうも 2』(14年 以上合同印刷㈱)、『因伯の肖像』(14年 今井印刷㈱)などがある。
その他の活動に、2005年愛知万博の瀬戸会場「愛知県館」にて海上の森を撮影した作品を上映、13年NHK日曜美術館「写真する幸せ植田正治」にゲスト出演がある。
なお、「写された植田正治〈天にある窓〉」での展示作品は、日本カメラ財団(JCII)に収蔵されている。

ハナブサ・リュウ 写真展

写真
身体作品
6/3 (水) ~6/16 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

美術史を通して、太古の洞窟の壁画や小さな石に彫られた石器時代から古代ギリシャのヴィーナス像やローマ時代の彫刻、ヨーロッパのルネサンス期の絵画や彫刻を経て、古典的な美の典型として、また、生命の器として、身体を愛おしむ普遍的な想いは受け継がれてきた。しかし、今日では、社会における人間の存在の希薄さからか、その「想い」はやや薄れているように作者は感じている。
この作品は、先人たちが残した素晴らしい『身体作品』へのオマージュであり、人間の存在の根本を考えることから生まれた。直接、生身を撮るのではなく、かつて描かれた絵画やつくり出された彫刻の部分を撮ることによって、イマジネーションがかき立てられ、「身体」への憧れとエロティシズムが強く感じられると作者はいう。そして、その時代の体温を感じながら「普遍的な想い」をよみがえらせたいと思っている。
長い間、肖像や女性の美を撮り続けてきた作者にとって「身体」は、永遠のテーマである。モノクロ44点。

作者のプロフィール

ハナブサ・リュウ
1949年大阪府生まれ。静岡県伊東市在住。
70年銀座ニコンサロンでの写真展「もうひとつなにか」でデビュー。78年から4年間、91年から8年間パリに滞在。フランスを中心に、アーティストの肖像、ファッションや料理、建築や芸術作品など、ヨーロッパ文化の真髄をテーマに創作活動をしている。
主な写真展に01年「BAROQUE」(新宿ニコンサロン)、07年「美の王国」(銀座ニコンサロン)などがある。主な写真集に『フェミニテ』、『プレザンス』、『BACK』、『PARIS PARIS』、共著(写真)に『ルーヴル美術館』、『パリ オルセー美術館』、『アラン・デュカス 進化するシェフの饗宴』などがある。著作に『美しいヌードを撮る!』がある。日本写真家協会会員。ニッコールクラブ顧問。

柴田 れいこ写真展

写真
届かぬ文(ふみ) 戦没者の妻たち
6/17 (水) ~6/30 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

戦後70年の節目にあたる今年、私は、あの戦争の時代を生きた最後の世代である「戦没者の妻」と呼ばれる女性たちの姿を通して、今一度あの戦争を振り返ってみたいと思います。
赤紙1枚で夫を戦場へ送られた彼女たちは、愛する者の無事をただ祈り、苦しい生活に耐え、帰りを信じて待ち続けました。しかし彼らは二度と彼女たちのもとに戻って来ることはありませんでした。彼女たちは口ではとうてい言い表すことのできない悲しみを抱えて、それでも生きていかなければなりませんでした。もう会うことのできない恋しい夫を想い、耐えて耐えて、耐えきれない時には、秘かに涙を流した夜もあったことでしょう。それでも彼女たちは前を向いて生きてきました。
私は地元岡山県内の「戦没者の妻」54人の方々にお会いし、貴重なお話を聞かせていただくことができました(取材期間:2012~14年)。皆様はご苦労の甲斐あって、今は人生の晩年を穏やかに過ごされています。
「戦争は絶対にしてはなりません。私たち母や子のような悲しみを持つ人間を、二度と作ってほしくありません」と静かに語っておられました。 (柴田れいこ)          

カラー40点。

作者のプロフィール

柴田 れいこ(シバタ レイコ)
1948年岡山県生まれ。2001年大阪芸術大学写真学科入学、05年同大学卒業。
主な写真展(個展)に、「団塊世代の女たち 天女の羽衣」(05年銀座ニコンサロン、同年大阪ニコンサロン、09年ギャラリー・トムテの森/岡山県)、「Sakura さくら 日本人と結婚した外国人女性たち」(10年新宿ニコンサロン、同年大阪ニコンサロン、同年岡山県天神山文化プラザ)、12年「写真のなかのわたし」(奈義町現代美術館)があり、他にグループ展も開催。

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