Nikon Imaging
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銀座ニコンサロン 2015年3月

古橋 宏之写真展

写真
水を呼ぶ -Priming Water-
2/25 (水) ~3/10 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

自宅から数分歩くと多摩川が流れていて、岸辺から洗濯板のように波打った白い川底を作者は見ることがある。調べてみるといくつかの記事が見つかり、およそ100万年前に深さ30メートルほどの海底だった面が現在の川底になったらしい。雨がしばらく降らないと、すぐ上流にある可動堰が閉じたままになるから水がほとんど干上がってしまい、川底であるその面が姿を現すのだった。
しばらくすると作者から川床の形状に対する興味は薄れていき、やがて自分が立っている場所と、その延長面上に広がる空間へと興味が移っていった。
人為的な堰の開閉は川の流量を大きく変化させて、地表も激しく水に晒される。古代層に直接触れるようにしてわずかばかり堆積していた新たな地表面は、水や風や自分も含めた様々な要因で攪拌され続けていて、草木も一雨毎にその重なり具合を変えてしまう。
モノクロ約30点。

作者のプロフィール

古橋 宏之(フルハシ ヒロユキ)
東京生まれ。東北大学理学部中退。円谷プロダクション、セントラルアーツなどで撮影助手を務める。2004年ムービーカメラマンとして独立。

百々 武写真展

写真
草葉の陰で眠る獣
3/11 (水) ~3/24 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者は東京から奈良に生活の場所を移し、日々の暮らしのなか、緑豊かな奈良は単純に美しいと思った。
奈良盆地から吉野へ向かうと熊野古道が現れる。林道を登り辿り着いた山間の集落で、土や水に触れながら暮らす人に出会い、すべてが圧倒的な存在でこちらにむかってきた。
台風や大雨による崩土による被災、大雪などの自然災害。産業がないことで進む少子高齢化、切実な現実がある。しかし自然とともに根を張った人の暮らしが強烈で、生き生きと輝いていた。
自然や動物、人間も交わりながら、あるがままを受け入れ生きるもの同士が、ただ生命を生きている。気の遠くなるような時間を渾然一体となって風土の形成は続く。
風景は人がいることで成り立つことを教えてくれる。自然とともに生きることの豊かさを体感させてくれる人との出会いが僕の記憶を呼び起こす。季節が巡るように生命が巡り、生と死のグラデーションが土地に生命を芽吹かせ、世界に豊かな色彩を与えていた。奈良県吉野以南を巡り奈良の風景というより日本の原風景にたどり着けたように思う。カラー80点。

作者のプロフィール

百々 武(ドド タケシ)
1977年大阪生まれ。ビジュアルアーツ専門学校・大阪卒業。自然と密接に関わりながら独自の風習を育んでいる日本列島に点在する離島を巡る作品を写真集、写真展で発表。奈良県吉野以南を主に撮影した写真集「草葉の陰で眠る獣」は2015年1月、赤々舎より刊行。
主な写真展に、2001年「西蔵行路」(新宿ニコンサロン)、05年「潮のみち」(再春館ギャラリー)、07年「矢切の渡し」、09年1月「波浪」、2月「波流」(以上ギャラリー街道)、7月「島へ」(ビジュアルアーツギャラリー・大阪)、10月「Voyages」(パリ日本文化会館/フランス)、12月「Voyages 日本の新進作家展」(東京都写真美術館)、10年「八咫烏」(1月ギャラリー街道・4月こどじギャラリー)、4月「海流のなかの島々」(心斎橋アセンスギャラリー)、11年「島波」(ビジュアルアーツギャラリー・大阪)、12年「海流 Quiet Boys展」(MIO PHOTO OSAKA)などがある。

2015年 ニコンサロン特別企画展
Remembrance 3.11
畠山 直哉写真展

写真
陸前高田 2011-2014
3/25 (水) ~4/7 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

作者は1958年に陸前高田市で生まれ、筑波大学で大辻清司氏に写真を学んだ後、東京で写真家として活動していたが、2011年3月11日に大津波が東北地方を襲ってからは、頻繁に故郷に帰り、日々変わりゆくその姿を写真におさめるようになった。これまでにも東京都写真美術館、3331アーツ千代田、水戸芸術館、中京大学Cスクエア(名古屋)、ハウスマルセイユ写真美術館(アムステルダム)、ボストン美術館(米国。本年4月5日より)など、折に触れて発表されてきた震災後の陸前高田の風景が、昨年12月までの撮影分の中から60点余りセレクトされ、今回展示される。
東日本大震災のあと作者は、津波以前にあった故郷の平和な眺めと、津波によって激変した眺めを対置させる方法を試みてきた。それは2012年に河出書房新社から出版され、その翌年フランスでも翻訳出版された写真集「気仙川」によく表れている。そこでは震災がもたらした時間的な亀裂が主題となっていた。
今回の「陸前高田 2011-2014」は、その亀裂の後になお続く時間、というものが主題となっている。被災物が片づけられ、廃墟が取り壊され、大規模な土木工事が始まり、新しい建物が少しずつ出来、と、停止してしまったかに思われていた時間は、実は刻々と動いていた。地面に伏した人間がよろよろと起き上がる姿を見るようであるが、これは陸前高田が津波という亀裂の後で、自身の過去を何とか新しく制作しようとしている姿とも言える。こうやって日々制作され積み上げられる過去から、やがて未来が現れてくるようにと、作者は願っているようだ。カラー約60点。

作者のプロフィール

写真

畠山 直哉(ハタケヤマ ナオヤ)
1958年岩手県陸前高田市生まれ。東京在住。筑波大学芸術専門学群にて大辻清司に師事。1984年に同大学大学院芸術研究科修士課程修了。以降東京を拠点に活動を行い、自然・都市と写真のかかわり合いに主眼をおいた、一連の作品を制作。2001年に中村政人、藤本由紀夫とともにべネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館にて展示。2011年に東京都写真美術館で個展「畠山直哉 ナチュラル・ストーリーズ」(平成23年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞)を開催など、国内外の数々の個展・グループ展に参加。2012年、べネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館に参加(国別参加部門金獅子賞受賞)。作品は、国立国際美術館、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、サンフランシスコ近代美術館、ヒューストン美術館、ヨーロッパ写真館(パリ)、ビクトリア・アンド・アルバート美術館、テート(ロンドン)などに収蔵されている。

(PHOTO : Marc Feustel 2009)

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