Nikon Imaging
Japan
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銀座ニコンサロン 2013年8月

原 芳市写真展

写真
常世の虫
7/31 (水) ~8/13 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
休館:8月10日(土)・11日(日)

写真展内容

645年は大化改新の年。その前年に起きた日本史上初の宗教弾圧事件が「常世の虫」である。
日本書紀によると、現在の静岡県に大(おお)生(う)部(べの)多(おお)という男がいて、アゲハチョウの幼虫を奉り、拝み踊れば富と長寿が得られると吹聴すると、人々に愛され、急速に勢力を増していったという。「常世の虫」を奉る教団を危惧した葛野の秦(はたの)河(かわ)勝(かつ)は、それを鎮圧した。
作者はこの事件を不思議な思いで読み、「その長さ四寸余、その大きさ頭指許の如し。その色、緑にして、黒点あり。その顔、全養蚕に似たり…」という虫に魅了された。
15年もの長い間、その虫は作者の頭の中で生き、夏になると、その虫が蠢いて語るという。そして虫たちの夏を過ごすのである。モノクロ60点。

作者のプロフィール

原 芳市(ハラ ヨシイチ)
1948年東京生まれ。72年千代田デザイン写真専門学院中退。
写真展に、73年「東北残像」(銀座キヤノンサロン)、80年「ストリッパー図鑑」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、81年三人展「幟の遠景」(新宿ニコンサロン)、83年「淑女録」(新宿ミノルタスペース)、86年「曼陀羅図鑑」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、87年「曼陀羅図鑑Ⅱ」(ギャラリーK/福島)、93年「エロスの刻印」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、2002年「現の闇」(銀座ニコンサロン)、08年「現の闇Ⅱ」(ギャラリー蒼穹舎/東京・新宿)、09年三人展「幻の街」(サード・ディストリクトギャラリー/東京・新宿)、「幻の刻」(ギャラリー蒼穹舎/東京・新宿)、「常世の虫」(サード・ディストリクトギャラリー/東京・新宿)、10年「光あるうちにⅠ」(同)、11年「光あるうちにⅡ」(東塔堂/東京・渋谷)、「光あるうちにⅢ」(バン・フォト・ギャラリー/名古屋)、12年「光あるうちに」(銀座ニコンサロン)、12年「hy」(プレイスM/東京・新宿)、「常世の虫Ⅱ」(サード・ディストリクトギャラリー/東京・新宿)などがあり、著書に『風媒花』『ぼくのジプシー・ローズ』『ストリッパー図鑑』『淑女録』『曼陀羅図鑑』『影山莉菜伝説』『ストリップのある街』『ザ・ストリッパー』『現の闇』『光あるうちに』などがある。

鷲尾 倫夫写真展

写真
巡歴の道 オキナワ
8/14 (水) ~8/27 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

2011年1月、作者は沖縄の写真家、伊志嶺 隆氏の回顧展に呼ばれたことをきっかけに沖縄の歴史を書物で触れた。そこで作者は、沖縄を遠方から見ていたのか、あるいは背を向けていたのか、全く沖縄に対し知識がなかった事が解り、今までの自分の言動を恥じ素直に受け止めた。その体感が沖縄に心を寄せた。
沖縄の現状は今も問題が山積され、カメラを持つ前の準備を心掛けるも絞り切れず、魚の骨がのどに引っかかったまま海を渡った。太平洋戦争末期、住民を巻き込み、ありったけの地獄を集めた沖縄。米軍上陸地点、慶良間諸島から作者の沖縄が始まり、本島は北の本部から南は糸満と歩いた。
混沌と動く心の内を、よそ者の作者に語る高齢者との出会い、その体験談は想像以上に重くのしかかって来た。穏やかな朝陽の中で庭の畑で人参の収穫をしているオバーに挨拶すると、日本から来たのかと、手を休めた。
たわいない話で繋がり家に招かれ縁側に腰を据えた。そこで話題を変え、作者の知りたい問いを投げかけると、口を閉じてしまった。沈黙は作者を観察する目に変った。オバーは立ち、奥の間に消えた。暫くすると皿を持って戻って来た。その上には紅イモがあり、口に合うかねえと差しだした。作者は手がでなかった。オバーは目を閉じ、唐突に細い声で、「なんでえ~、私、生きているさあ~、みんな忘れたさあ~、人は目をつぶると何も見えなくなるはずなのに、私は逆にいろんな物が色付きで蘇ってくるさあ~。夜空に走る艦砲射撃は花火のようにきれいだったよ~、その火が途切れると身を起こし逃げるさあ~、目の前には傷つき倒れている人、人で一杯だったよ~」と云って手を合せた。小さな身体は小刻みに震えていた。オバーは作者の匂いでも嗅ぐように顔を寄せ、大きく息をつき、強い口調で、「人間、とことん追い詰められると、私が私でなくなり、とんでもない事をしでかすのさあ~。ぬすんだ生米、口の中でふやかし、周囲を気にして噛む味はさあ~」と云い目頭に手を当てた。「私、布団に入っても目はつぶらないよ、怖いからさあ~」と云い、目を薄く開けた。濡れた目は眩しそうに作者を見据え、やわらかい声で、「カラスがこないねえ~」と目の前の山を見上げた。「そこに魚の煮付けがあるのにさあ~、カラスはオバーの話し相手さあ~」と笑った。
長時間揺れる心で話す生の声は歴史本とは異なり、また頭からの言葉と腹底から吐き出す言葉の違いを作者は身をもって実感させられた。
別れを告げると、イモを持たされた。すぐオバーの話を書留めた。方言を極力避け、根気よく話してくれたオバーの心情に心打たれ、オバーの心の傷を、作者は心に刻んで歩き続けた。
モノクロ47点。

作者のプロフィール

鷲尾 倫夫(ワシオ ミチオ)
1941年東京都生まれ。60年愛知県国立高浜海員学校修了。同年東洋海運(合併後新栄船舶)入社。72年新栄船舶退職。73年日本写真学園研究科卒業。81年新潮社「FOCUS」編集部専属カメラマン(20年在籍)。83年日本写真学園主任講師就任。91年伊奈信男特別賞受賞。96年編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。
写真展に、72年「東アフリカ・マガディン村の人々」「そのままで、君たちは」(以上新宿ニコンサロン)、76年「日々一生」、77年「寿町えれじぃ」、80年「冠婚葬祭」、81年「顔・エトセトラ」(以上銀座ニコンサロン)、「顔・エトセトラ」(大阪ニコンサロン)、84年「ヨボセヨ」、86年「ヨボセヨⅡ」、89年「原色の町 ソウル84―88年」、91年「1977年―13年―1991年 エトセトラ」、94年「顔・エトセトラⅡ」、98年「韓国」(以上銀座ニコンサロン)、2003年「ソウル・シティ」(PLACE M)、04年「野球人」(ギャラリーコスモス)、07年「原色のソナタ」(PLACE M)、09年「写・写・流転」、10年「望郷・エトセトラ」(以上新宿ニコンサロン)などがあり、写真集に、「原色の町」(㈱アイピーシー/90年刊)、「写真」(ワイズ出版/2000年刊)、「THE SNAP SHOT」(ワイズ出版/07年刊)、「原色のソナタ 1992~95 SEOUL」(PLACE M/08年刊)などがある。

写真
ニコンフォトコンテスト 2012-2013 入賞作品展
8/28 (水) ~9/10 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

ニコン フォトコンテストインターナショナルは、「世界中の写真愛好家が、プロフェッショナルとアマチュアの枠を越えて交流できる場を提供し、写真文化の発展に貢献すること」を目的に、株式会社ニコン(社長:木村眞琴)が1969年から開催している、歴史ある世界最大規模の国際写真コンテストで、近年は隔年に開催しています。
34回目を迎える今回は、名前をニコンフォトコンテストと変え、動画部門を新設し、世界中から素晴らしい審査員を招いて、新しいフェーズに入りました。
このコンテストが目指しているのは、優れたクリエイティビティで、何かを伝える力の強い表現を生み出すフォトグラファーたちのコミュニティを醸成していくことです。写真を愛し、写真と真剣に向き合う世界の仲間が、お互いの視点に刺激を受け、認め合い、切磋琢磨してゆく場を提供することで、写真文化を深めてゆきたいと考えています。
2012年12月1日から2013年2月28日までの募集期間中に、153カ国の国から、22,752人、99,339作品が集まりました。今回は、作品のテーマについては、どのカテゴリーも自由題目とし、単写真部門、組写真部門、フォトグラフィック・ムービー(45秒ビデオ作品)部門、新しい映像表現を提案する、レンズ交換式アドバンストカメラ「Nikon 1」の発売を記念した、モーションスナップショットの4つの部門で構成しています。
単写真、組写真、フォトグラフィック・ムービーの3つの部門の1位入賞者には、副賞としてコラボレーティング・パートナー企業のデル株式会社より、10万円の賞金が贈られます。また、2013年にNIKKORが80周年を迎えたことを記念して、新たに、この3部門の上位入賞作品から、NIKKORレンズで撮影された作品の中で、最も優れた作品には、新たに「NIKKOR賞」を授与いたします。
写真映像を通して伝えたいストーリーの強さ、普遍性、新しさ、多様性の中から、入賞作品が選ばれました。

審査員 Mr. Chris Rainier(委員長)
Mr. Iata Cannabrava
Mr. Stefen Chow
Ms. Julia Durkin
Mr. Timothy Fadek
Mr. Morten Krogvold
Mr. Yuri Kozyrev
Mr. Wang Lei
Mr. Larry McNeil
Mr. Moeketsi Moticoe
南條史生氏
大和田良氏
Mr. Raghu Rai
Ms. Aysha Remithi
Ms. Marcela Taboada
Ms. Ami Vitale
Ms. Huang Wen

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