Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2013年5月

juna21 千村 明路写真展

写真
砂界 ~SHAKAI~
4/25 (木) ~5/1 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作品は、茨城県神栖の海岸で4年の歳月をかけて向き合ってきた、砂に横たわる物達のドキュメンタリィ・ポートレートである。
漂着物とも投棄物とも知れず、空と海の間、白い風車の足元にただ静かに存在し、朽ち果て、忘れ去られ、知らぬまに砂の中や海の底へと消えて行くその姿と在り様は、環境破壊や海洋汚染といった社会問題の象徴、害悪そのものなのだろう。
だが作者は、眼の前で繰り広げられる移ろいの中にこそ眼を向けるべき美しさがあると確信し、撮影を続けてきた。
その砂浜も、2011年3月11日を境に私達の日々の生活同様、その風景を変えていったが、物達は以前と何ら変わること無く、写真という手段を使って対話をしてきた作者に、何がしかを語りかけて来るのである。その声無き声が今の時代においていったい何を伝えようとしているのか。本展では、その物達が語るメッセージを届ける。カラー25点。

作者のプロフィール

千村 明路(チムラ アキミチ)
1980年北海道石狩郡花川生まれ。2006年京都造形芸術大学通信教育学部芸術学科写真コース入学。大学カリキュラムにおいて、北井一夫ワークショップに3年間学ぶ。11年同校中退。12年写真作品集『砂界~SHAKAI~』(冬青社出版)上梓。
作品は清里フォトアートミュージアムに収蔵されている。

2013年 ニコンサロン特別企画展 Remembrance 3.11
北島 敬三写真展

写真
PLACES
5/2 (木) ~5/15 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

企画主旨

東日本大震災から二年が過ぎようとしています。甚大な被害を受けた被災地では復旧が進んでいるように見えながら、その爪痕は今なお残り、多くの人々は未曽有の体験がもたらした深い悲しみやトラウマを忘れることができないでいます。
写真の世界も同様です。多くの写真家たちが被災地へ出かけ、写真にできることは何なのか、写真を撮ることとは何なのかを問われ続けてきました。
ニコンサロンでは大震災から二年という節目にあたり、企画展を開催しあらためてこのカタストロフィの意味を省察したいと考えます。
Remembranceという言葉は、記憶や回想だけではなく、追悼や形見という意味も持ち、何よりもそれは想い出すことが現在をつくりだすことを示しています。それは写真の本質とも重なってきます。
日本人の誰もが記憶を持ち、今なお語り続けているこの震災の意味を、再生への手がかりとして展示と対話から浮かびあがらせたいと思います。

写真展内容

写真

北海道の釧路に着いた翌日の午後、作者はこれまで経験したことがない大きく長い揺れに襲われた。ただ事ではないと思い、早々と撮影を切り上げホテルに戻り、テレビのスイッチを入れた。震源地は三陸沖、マグニチュードは8.9、東北の太平洋沿岸は津波の危険性が非常に高い、刻々と情報が伝えられる。各地のテレビ画像は、どれもみな港周辺を注意深く定点観測している。まだ海は静かで、ときおり人影も見えた。しかしみるみる水かさが増し、黒い津波が堤防を乗り越えて襲ってきた。なす術も無く、船も、車も、家屋も、何もかも押し流され破壊されてゆく。宮古、釜石、気仙沼、仙台、同時中継の画像が次々と切り替わる。釧路港周辺も映し出された。私が先ほどまで撮影していたショッピングモールの駐車場でも、クルマがどんどん押し流されている。ホテルから徒歩10分の距離だ。思わず立ち上がり、窓から外を見た。普段と変わらない様子に少し安堵したが、作者の足は震えていた。
それから毎日、写真を撮る以外は、被災地や原発事故のテレビ画面に釘付けになっていた。作者は、その非現実的な映像に戦慄した。しかし同時に、尺度を超えた自然現象を見るときのような崇高さを感じたのも事実だ。そんな余裕があったとすれば、作者が見たテレビ画像には、すでに配慮がほどこされていたのかもしれない。やはり後で聞くと、集められた未編集の映像の生々しさにショックを受け、体調を崩し職場を離れたテレビ局スタッフもいたという。
大災害が起こるとすぐに被災地を撮影する者がいる。間接的な関わりを模索する者もいるだろう。無関心こそを是とする者もいるはずだ。たとえ千年に一度の大災害であろうと、いきなり自分の撮影対象か、否かを考えてしまうところに落とし穴があるのではないか。確かなのは、このまま予定通り3月末まで北海道各地の風景の撮影を続けることだと思った。そして4月初旬、作者は決意して被災地を訪れた。

作者のプロフィール

写真

北島 敬三(キタジマ ケイゾウ)
1954年長野県生まれ。81年日本写真協会新人賞、83年第8回木村伊兵衞賞、2007年第32回伊奈信男賞、10年第26回東川賞国内作家賞、日本写真協会作家賞、12年さがみはら写真賞を受賞。
個展・グループ展多数開催。2009年には個展「PORTRAITS」(RAT HOLE GALLERY)、「北島敬三1975-1991」(東京都写真美術館)を開催。
主な写真集に『写真特急便 沖縄』(全4巻・パロル舎/1980)、『NEW YORK』(白夜書房/1982)、『A.D.1991』(河出書房新社/1991)などがあり、最新刊に『The Joy of PORTRAITS』(RAT HOLE GALLERY/2009)がある。

第32回土門拳賞受賞作品展
亀山 亮写真展

写真
AFRIKA WAR JOURNAL
5/16 (木) ~5/29 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

日本ではほとんど語られることがないコンゴ民主共和国では、第2次世界大戦後に起きた紛争としては最大の犠牲者(推計500万人以上)を出し続けている。コンゴ東部では金、ダイヤモンドやコンピューターや携帯電話などの生産に不可欠な希少金属の利益を巡る争いが、ベルギーの植民地時代を経て連綿と続いている。
為政者は利益の独占、支配体制を維持するために人為的に民族対立を煽り、住民たちは憎悪と暴力の連鎖に組み込まれていった。
現在、コンゴ東部には国連最大規模の平和維持軍が展開しているが、武装集団と統制を失った政府軍による住民への暴力は続く――。
不条理で受け入れ難い状況の中、住民は見知らぬ作者を受け入れてくれた。彼らの優しさがなければ、決して撮影はできなかった。
誰にも知られることもなく葬られ続ける生命の断片に、写真を通じて多くの人が気づいてくれることを望んでいる。

受賞理由

受賞作の『AFRIKA WAR JOURNAL』は、コンゴ、リベリア、ブルンジなどアフリカ7カ国の紛争地に8年間通い続け、生と死の狭間で生きている人間の生々しい姿を描き出したモノクロ作品。
紛争が泥沼化するアフリカ諸国の殺戮と略奪が日常化した世界に入り込み、時間をかけ、卓越したフットワークと動物的な視点で、命の尊厳があっけなく葬り去られる、植民地時代から今も葬られ続ける生命の断片に光を当てた点が高く評価された。生きる場が「戦場」となっている人間の無力を捉えた作品は、ひとの「尊厳」を見事に描き出し、従来の紛争地でのドキュメント写真とは一線を画した方向性を示している。

作者のプロフィール

写真

亀山 亮(カメヤマ リョウ)
1976年千葉県生まれ。96年より先住民の権利獲得運動を行なうサパティスタ民族解放軍など中南米の紛争地の撮影を始める。現在はアフリカの紛争地で集中的に撮影を行なっている。2003年パレスチナの写真でさがみはら写真新人賞、コニカフォトプレミオ特別賞を受賞。
著書に『Palestine:Intifada』『Re;WAR』『Documentary写真』『アフリカ 忘れ去られた戦争』などがある。

大阪写真月間 2013

写真
写真家150人の一坪展
5/30 (木) ~6/5 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真文化の発展と普及に寄与することを目的に、毎年6月1日の「写真の日」を中心とした期間に東京と大阪で開催されるのが「写真月間」である。
「大阪写真月間」は2000年の暮れに「東京写真月間」(日本写真協会主催)の呼びかけに応じてスタートし、02年6月に初めて「大阪写真月間2002」を開催した。
今年の「大阪写真月間2013」は12年目となり、本年も大阪市内のギャラリーを使い、写真家約150人が1人一坪(1.8m四方)を使って展示する「写真家150人の一坪展」と、一般の写真愛好家1000人が1人一枚を展示する「私のこの一枚・1000人の写真展」の二つの写真展のほか、高校生による「ハイスクール・フォトアワード」、「小学生のための写真教室」、記念シンポジウムなどを併催する。
メインイベントである本展の特色は、写真を表現手段として作品を制作している人なら、作品内容や方法はもちろんのこと、年齢、性別、国籍、職業などに関係なく参加できるところにある。また、展示するギャラリーや壁面の場所も抽選で決定するので、いっさいの審査や選別は行わない。写真展にポリシーやテーマを求める人は、この何でもありの写真展に「展としてのポリシーがない」という異論を唱えることもあるが、80歳を超える超ベテラン作品の横に、孫のような18歳がはじけるような写真を並べる、そんなお好み焼き的「ごちゃ混ぜ感」が本展の魅力である。
この「写真家150人の一坪展」では、観客は内容も方法も異なる150の写真表現作品に出会うことになり、150の個性の中に、きっと気に入る作品があるはずである。

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