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銀座ニコンサロン 2012年6月

東京写真月間2012

写真
アジアの写真家たち 2012 フィリピン
The Hope & The Dream in Filipino -Section I
5/23 (水) ~6/5 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

フィリピン共和国は太平洋に浮かぶルソン島、ミンダナオ島やセブ島といった島々を中心に約7000の島からなる群島国家で、国土は日本の約80%、人口は9400万人である。民族構成はマレー人が中心だが、宗教は歴史的にみて、スペインや米国の植民地支配の影響を強く受けたために、東南アジアでは唯一のキリスト教の信者が圧倒的に多い国だ。
経済的にはここ数年5%以上の高い経済成長を続けており、東アジア地区の経済大国となっている。貿易額からみると、輸出入額は共に日本が最も多く、両国の関係は大変良好で、観光面でもセブ島を中心に、日本人客を多く集めている。
アジア諸国の多くはイスラム教や仏教を主に信仰する国々が多いため、華麗な寺院関係の建築物や色彩豊かな宗教の祭りが多いが、キリスト教信者が圧倒的に多いフィリピンでは、様子が全く異なる。宗教行事として有名なお祭り「ブラック・ナザレ」というパレードは、毎年1月9日に十字架を担った黒いキリスト像をかついで町の中を行進するもので、人々はその像に触ってご利益を得ようと我先にと争うが、派手な印象のない行事である。
今年の写真月間では、フィリピンの12人の写真家による作品を都内4か所のギャラリーで開催する。これらの写真展では、都市開発の裏側で貧困をものともせず前向きに生活する人々の様子や宗教行事への熱狂ぶりなどのほか斬新なアート感覚を写真の世界へ大胆に取り入れた表現方法など、フィリピンの写真界の今の姿を紹介する。
銀座ニコンサロンでは、ビージェー・ビラフランカ氏、ジェイク・ベルソーサ氏、バハグ氏の3氏の作品を展示する。

作者のプロフィール

ビージェー・ビラフランカ(Veejay Villafranca)氏作品 ジェイク・ベルソーサ(Jake Verzosa)氏作品 バハグ(BAHAG)氏作品

ビージェー・ビラフランカ(Veejay Villafranca)氏
1982年マニラ生まれ。2004年フォト・ドキュメンタリー・ワークショップ(アンコール・フォトフェスティバル主催)に参加。06年よりフリーに。AFP通信、ロイター通信、ワールド・ピクチャー・ネットワーク、国連の仕事に携わる。08年マニラの危険なスラム街バセコ地区の元ギャングの人生に関するプロジェクトでロンドン、イアン・ペリー・スカラシップを獲得。このシリーズは、ロンドンやリトアニアで展示されている。
現在ロンドンのゲッティ・イメージズのグローバル・アサインメントのほか、個人のプロジェクトとしてフィリピン人の信仰、東南アジアの不法難民や難民キャンプでの生活に関するシリーズを展開している。

ジェイク・ベルソーサ(Jake Verzosa)氏
1979年生まれ。マニラを拠点とするフリーランスのフォトグラファー。ファッションやコマーシャルフォトでの成功によって技術を伸ばし、地方のロケーションでの撮影を行うようになった。
東南アジアを広範囲に旅し、そこで撮影するドキュメンタリーとポートレイトは、作者の個人的な作品として制作している。マニラ、シンガポール、パリで作品の展示が行われた。

バハグ(BAHAG)氏
1974年マニラ生まれ。東京在住の写真家/映像作家。マニラ在住時はファッション雑誌等で、国内外で活躍。また、社会に密接に関わるフォトドキュメントやフォトジャーナリズムにも積極的に取り組んできた。
世界各地を回った経験をもとに、国連やDrik Picture Library などの国際団体のプロジェクトを経て、現在M4 Collective、Bahaghari World Photography の代表。

本橋 成一写真展

写真
屠場<とば>
6/6 (水) ~6/19 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

大阪・松原の新旧屠場で働く人々を約30年にわたって記録したものである。
人が自らの手で牛を殺す。それは作者が初めて見る光景であった。
屠場で牛と向い合う彼ら作業員の姿には威厳があった。それは、いのちを奪うものとして長い差別の中で彼らを支えてきた職人としての誇りではないか。その誇りを保ち続けてきた源は、日々のいのちとの関わりではないだろうか。
いつから私たちはいのちが見えなくなったのだろうか。
本来いのちあるものは己のいのちを保つために、いのちがけで他のいのちを食(は)む。そうして生と死を日常的なこととして付き合ってきた。しかし、いま日本をはじめ、食にあふれた国々では、食する生きものたちを屠るために機械や電気を使い、自らの手で殺さなくなった。便利になり、合理化され、きれいになったことにより、その生と死がいつの間にかベールに包まれたように見えなくなってしまったようだ。モノクロ約50点

作者のプロフィール

本橋 成一(モトハシ セイイチ)
東京都生まれ。68年「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞受賞。91年よりチェルノブイリ原発とその被災地ベラルーシに通い、汚染地で暮らす人々を写し撮る。95年「無限抱擁」で日本写真協会年度賞、写真の会賞を受賞。98年「ナージャの村」で第17回土門拳賞受賞。同名のドキュメンタリー映画は文化庁優秀映画作品賞を受賞したのを始め、海外でも高い評価を受ける。2作目「アレクセイと泉」で52回ベルリン国際映画祭ベルリナー新聞賞及び国際シネクラブ賞ほか受賞。2002年東京都写真美術館でチェルノブイリ三部作「ナジェージダ〈希望〉」を開催。04年ロシア国立図書館の招聘によりサンクトペテルブルグで写真展「ナジェージダ〈希望〉」を開催。09年、西アフリカ・セネガルの村を舞台にバオバブの樹とともに暮らす人々を描いた映画「バオバブの記憶」を公開。最新作は写真集「屠場〈とば〉」(平凡社刊)。
主な著書に、「サーカスの時間」(筑摩書房)、「上野駅の幕間」(現代書館)、「ふたりの画家」(晶文社)、「無限抱擁」(リトル・モア)、「ナージャの村」(平凡社)、「ナージャ希望の村」(学習研究社)、「アレクセイと泉」(小学館)、「生命の旋律」(毎日新聞社)、「イラクの小さな橋を渡って」(共著・光文社)、「バオバブの記憶」(平凡社)、「昭和藝能東西」(オフィスエム)などがある。

奥山 淳志写真展

写真
彼の生活 country songs より
6/20 (水) ~7/3 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

雪解けが進んだ田んぼに水を引き、代掻きをして、苗を植え、雑草を抜き…と大切に育てていた田や、山で木を伐り、苦労して割ったひと冬分の薪を捨て、ある日、彼は村を去った。

作者は彼に会って以来、彼が抱く“揺らぎ”を通し、この変わり行く時代に地方で生きることを考えてみたいと思った。それが、これらの写真群の中に見つかるかどうかわからない。そもそもそんな問い自体が取るに足らないものかもしれない。
しかし、今年で40代半ばを迎える彼が、自らの生活にどこまでも真摯に向き合い続ける姿勢は、作者の眼には見逃してはいけないものに映る。そして、作者はそんな彼を見るたびに、強風にあおられながらも伸びようとする名もなき草の姿を想像する。
彼の生活は今日も始まったばかりである。カラー約30点

作者のプロフィール

奥山 淳志(オクヤマ アツシ)
1972年大阪生まれ。京都外国語大学卒業。95~98年東京で出版社に勤務した後、98年岩手県雫石に移住し、写真家として活動を開始。以後雑誌媒体を中心に北東北の風土や文化を発表するほか、近年はフォトドキュメンタリー作品の制作を積極的に行っている。
フォトアワード:『フォトドキュメンタリーNIPPON 2006』(ガーディアン・ガーデン選出)
著作:『岩手旅街道』(岩手日報社・2003年)、『手のひらの仕事』(同・04年)、『フォトドキュメンタリーNIPPON 2006』(ガーディアン・ガーデン・06年)、『かなしみはちからに』(共著、朝日新聞社・11年)、『みちのく旅街道』(河北新報社・12年)
発表:「季刊銀花」(文化出版局)、「アサヒカメラ」(朝日新聞社)、「ソトコト」(木楽舎)、「家庭画報」(世界文化社)、「風の旅人」(ユーラシア旅行社)、「ダ・ヴィンチ」(メディアファクトリー)、北東北エリアマガジン「rakra」(あえるクリエイティブ)、「トランヴェール」(JR東日本)など多数。
個展・グループ展:06年「Country Songs ここで生きている」(ガーディアンガーデン・東京/ギャラリーヒラキン・岩手)、08年「明日を作る人」(新宿ニコンサロン)、09年「今、そこにある旅」東京写真月間(コニカミノルタフォトギャラリー)、10年「Drawing 明日をつくる人 vol.2」(トーテムポールフォトギャラリー・東京)

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