Nikon Imaging
Japan
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ニコンサロン bis 新宿 2011年11月

juna21 斉藤 麻子

写真
FIELD NOTE
11/1 (火) ~11/7 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

作者は、2008年に工事現場で少し赤味を帯びた土を見た際に、「関東ローム層とはいつ頃の、どのようなものだったのか?」と疑問に思った。以来、「露頭」(地層や岩が露出しているところ)を撮影し始めた。
二千万年も前に火山の爆発によって噴出した火山灰や、約三億年も前に形成された海洋プレートに乗って運ばれてきた石灰岩。本展では、これら地質時代の産物である“露頭”と、それをとりまく現在の風景を、一秒にも満たないシャッタースピードで切り取り、記録したものを展示する。
カラー30点。

作者のプロフィール

1975年神奈川県生まれ。2001年東京ビジュアルアーツ夜間部卒業。
写真展に、10年「Exposures」(コニカミノルタプラザ/新宿)、11年第4回写真「1_WALL」展(ガーディアンガーデン/銀座)などがある。

ニッコールクラブ

写真
「大自然に抱かれた最果ての地、極東ロシア・サハリン」撮影ツアー作品展
11/8 (火) ~11/14 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

本展は、今年7月14日から19日のスケジュールで実施された「大自然に抱かれた最果ての地、極東ロシア・サハリン」撮影ツアーへの参加者と、ニッコールクラブ顧問・海野和男、スタッフの合同写真展である。
極東ロシア・サハリンは、かつては「樺太」と呼ばれ、多くの日本人が暮していたところである。近年では北部のエネルギー開発などの産業が盛んだが、いわゆる観光開発はほとんどされておらず、まさしく手付かずの原風景や素朴な人々の素顔がそこにあった。
広大な原野が続く中をサハリン鉄道が走り、ツアーではその鉄道に乗車して、列車内でモデル撮影やスナップ撮影を行った。また、様々な草花が咲き誇る州植物群特別保護区でネイチャーフォトに挑戦し、ロシア伝統の家庭菜園付き別送“ダーチャ”群や小さな集落を訪れて、地元の人々とふれあいながらのスナップ撮影は、参加者も印象深かったと思う。
日本時代に建築された遺構が数多く残されており、神社跡や製紙工場跡など特別許可を得ての撮影もあった。海岸には廃船等も残されており、彼の地ならではの風景も大変魅力的であった。
ツアー参加者の中にはサハリンで生まれ育ち、66年前にコルサコフ港から日本本土に渡られた方もいて、66年ぶりに訪問した生まれ故郷、僅かな記憶を頼りにその生家のあった場所をツアー参加者の協力で探しだすことができたことは、意義ある出来事であった。
かつて宮沢賢治が、亡くなった最愛の妹の魂の行方を求めて行き着いたのが樺太(サハリン)だった。当時の樺太鉄道(サハリン鉄道)に乗って北を目指した賢治、その旅の経験が代表作『銀河鉄道の夜』のモチーフになったと言われている。
サハリンは、たしかに風土は厳しく、風景は少し寂しげだが、人々は親切で温かく、陽気でとても魅力的な笑顔が印象的であったように、一般のツアーとは異なる特別なツアーの良さを余すところなく写真で表現した作品を展示する。

日本鉄道写真作家協会

写真
Attracted Railways -鉄路の世界-
11/15 (火) ~11/21 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

「鉄道写真」というと、一見鉄道車両のみに主眼を置き、それらを撮影することと思われがちなため、他の撮影ジャンルに比べ、やや専門的なジャンルというイメージが強いのではないかと思われる。しかし、昨今の鉄道ブームに見られるように、鉄道というものは我々の日々の生活の一部であり、沿線の四季をはじめ、旅情や乗客、そして駅に集う人々の人間模様など、車両そのもの以外にもたくさんの魅力的な世界があり、それをプロ写真作家集団として多くの人に伝えようとしている。
本展では、あえて鉄道車両に主点をおかず、鉄道全体の世界観を主題とし、会員それぞれの考える鉄道の魅力を各々のセンスで切り取った作品を展示する。
鉄道に興味のない人でも「ああ、旅に出たいな」「鉄道っていいな」とふと感じる作品である。
カラー約40点。

ギャラリートーク開催のお知らせ

出展会員によるギャラリートークを写真展会場にて開催いたします。ぜひご参加下さい。

日時:11月20日(日) 【1回目】13:00~14:00 【2回目】17:00~18:00
出席:猪井貴志、中井精也、山﨑友也、村上悠太ほか(予定)
会場:ニコンサロンbis新宿
※入場無料・予約不要です。当日は直接会場にお越し下さい。

juna21 池田 啓介

写真
Slum Walker
11/22 (火) ~11/28 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

ふり返ると、この10年間、作者は都市部にできた貧困層の居住地域であるスラムエリアばかりを撮り歩いてきた。
コミュニケーションが欠落する都市部のなかにあって、豊かな対人関係を実らせているスラムエリアは、カラカラに乾いた都市砂漠のなかに巣くった人間たちのオアシスである。多くの問題を抱えながらも、彼らは笑い、怒り、喜び、涙し、喜怒哀楽の感情を惜しみなく使い切って、腐ることなく活き活きと生きている。
本展では、生きる力に満ちた人々の暮らすスラムエリアを撮り歩いた10年間をふり返り、ケニア、南アフリカ、エチオピア、インド、バングラデシュ、カンボジア、フィリピン、モンゴルの計8カ国のスラムエリアで出会った人々を撮影した作品を展示する。モノクロ68点。

作者のプロフィール

1976年神奈川県生まれ。99年大阪体育大学卒業。大学卒業後スポーツインストラクターとして就職するも、世界放浪の夢をかなえるべくわずか2年で退社。2000年から東南アジア、南アジアを中心に放浪を開始し、旅のなかで写真撮影に没頭する。02年にNGOの活動の写真撮影の依頼で初めてケニアを訪問した際、首都ナイロビに広がるキベラスラムを目の当たりにし、大きな衝撃を受ける。以後、世界の「スラムに暮らす人々の日常」をテーマに撮影を続け、雑誌を中心に写真記事を発表し続けている。
清里フォトアートミュージアムに作品が収蔵されている。

juna21 第13回三木淳賞受賞作品展
添田 康平

写真
Not yet refugees
11/29 (火) ~12/5 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

写真

タボサンは唐辛子の瓶を丸ごと口の中に入れる。それを見る度に僕は大きく笑う。
タボサンは汗をかき、涙を浮かべる。きっと、タボサンにとってもそれは大変な事なのだろう。ただ、僕を楽しませてくれているのかもしれない。
ある日、タボサンと連絡が取れなくなった。僕はタボサンの立場を知っているから不安になった。
僕とタボサンがあったのは二年前。ミャンマー人の友達のゾウが紹介してくれた。タボサンさん。ゾウはそう言って少し笑った。
タボサンは難民だ。正確には難民の申請中だ。でも、僕とタボサンの間柄にはあまり重要なことではない。ただ一緒にいたいだけなのだ。
タボサンは僕と会う少し前まで入管の収容所に8ヶ月収容されていた。僕達はその時出来た友達の所を訪ねに行く。神奈川や山梨、栃木に群馬。皆、仮放免という一時的な保釈状況にいる。何年も申請し続ける者も少なくない。そして、いつまた収容されるかわからない。
ガラスに仕切られた部屋にタボサンが来る。
「スリランカの家族に電話してる?」と聞くと、「してる」と答えた。「でも、収容所に入ったことは秘密にしてて普段と変わらない」と、答えた。タボサンは母親が心配するから、と嘘をついた。
タボサンが写っている写真を毎回差し入れた。タボサンはゆっくり写真を見て、ニコニコしている。「ありがとう」タボサンは僕に言う。
その内、家に入管から手紙が届くようになった。封筒の中には手紙の他に絵も添えられている。ヘンテコな絵だけど、毎回僕を楽しませてくれる。モノクロ30点。

授賞理由

作者、添田氏と難民申請中のタボサン氏の交遊の記録である。
現在日本政府に難民指定の申請を出し続けているミャンマーから出国してきたタボサン、しかし、タイトルにあるように「not yet refugee」である。
日本の入国管理局は、先進国の中でも厳格な制度を布いて、容易に申請を受諾しない。その、国内的状況を、表現対象としているのではないが、08年に作者は、偶然なことから、タボサンと交流を持つ関係になる。不定期に難民収容所の収監、出監を繰り返させられるタボサン。収容所内からの作者への手紙、解放されて友人を訊ね歩くタボサン、突然の再勾留。そんな経緯の中で、二人を取り巻く日常の関係を淡々と記録している。
しかし、作品内容は、単に二人の関係性に留まるものではない。核心は、今日的な制度のなかでは、「人」は、何処に所属するか? したいのか? 許されるのか? そこから疎外されることの怖れを提示していることである。
われわれは、日常的に国家という枠を意識することなく生きているが、タボサンが格子戸のむこうへと収監されてゆく後ろ姿を眺めながら、添田は「日本国」という抽象を収容所という物理的な空間の向こうに意識化している。タボサンが消えた向こうが日本なのか? 見送っている自分側が日本なのか? 己が立っている位置は、一体どこか? という自己相対化の想念にまで、彼は、行き当たっている。
人は、多くの枠に所属して生きている。家族に、会社、地域社会、そして国家に。そこから逸脱することで発生する困難と怖れを、「Not yet refugees」は淡々とした日常の記録で見事に表現している。
日本という特殊事情を背景に、添田のメッセージは、人は皆、地球人であると言うことであろう。

作者のプロフィール

写真

1984年東京生まれ。08年日本写真芸術専門学校夜間部卒業。鈴木邦弘氏に師事。09年桑原健太と桑田企画を設立。同年桑田企画Magazineを創刊。
写真展に、09年「seifu show 2009」(清風荘)、10年「seifu show 2010」(武蔵野公会堂ホール)などがある。

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