Nikon Imaging
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ニコンサロン bis 新宿 2011年7月

菊嶌 郁俊

写真
出会いの印象 ~写真による自分史50年~
6/28 (火) ~7/4 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

本展は、作者が趣味として写真を撮り始めた昭和36年から平成22年までの50年間に撮影したものを展示する。
この間に撮影したフィルムの本数は、ライカ判で約1400本、ブローニイ判で約2000本を超えている。
50年を過ぎたら写真展を開催するという考えで、テーマを決めて撮影してきたわけではないが、作者の写真を撮る姿勢は、一期一会の諸々の出会いの中で、何かを強く感じて心に残るような風景を映像として捉えたいという思いであり、その姿勢で撮影を続けてきた。
作品の展示は、単純に1年につき1作品を選び、配列は撮影年順である。
撮影年月日と撮影場所はすべて記録してあったので、いつ、どこで、何を見、何を感じたのかがわかり、写真による日記帳のようなもので、いわば「写真による自分史」である。
モノクロ50点。

作者のプロフィール

1931年東京都八王子市生まれ。57年明治大学法学部卒業。66年アサヒカメラ賞「自由写真の部」第1位入賞。79年第29回国立公園写真コンクール・カラーの部において、「朝の涸沢」1等。税理士。日本山岳会会員。ニッコールクラブ銀座支部会員。フタバフォト?楽部会員。
写真展に、70年「雪の山」(銀座ニコンサロン)、97年「風景の鼓動~自然との出会い」(新宿ニコンサロン)、2002年「風景の鼓動~白い自然との出会い」(銀座ニコンサロン)、04年「尾瀬ヶ原~下ノ大堀の自然」(新宿ニコンサロン)、08年「下町の人~向島界隈」(ニコンサロンbis新宿)などがあり、写真集に97年『風景の鼓動~自然との出会い』(創林社)、02年『風景の鼓動~白い自然との出会い』、04年『尾瀬ヶ原~下ノ大堀の自然』(以上朝日新聞社)などがある。

保科 宗玄

写真
京島空間
7/5 (火) ~7/11 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

ある地域を何度も何度も繰り返し訪ねると、一期一会の感触とは違った出会いをたくさん体験する。作者にとってある地域は墨田区京島で、その町空間へ繰り返し通うと、忘れかけた人の情や暮らしの大切な部分を思い出すという。
高度成長とともにビル化された町々も多く、何時の頃からか隣人すら知らない、否知らないほうがいい…と言った風潮がなきにしもあらずとなっているようだ。
京島を訪れていると、「東京の町はそうじゃなかった。京島のような町だったんだ」と気づかされる。
作者は、展示する作品から、繰り返し訪れることで出会えた町の人々の表情を通して忘れかけたものを思い出してもらい、京島の町空間から感じてもらいたいと思っている。カラー39点。

作者のプロフィール

1956年生まれ。約10年間にわたり野鳥―とくにカワセミ・ヤマセミの撮影をする。その後、ジャズのライブ撮影や街角のスナップなど、主に人を対象とした撮影に機軸を移し、今日に至る。その中でも、繰り返し訪れることでライフワークとなりつつあるのが墨田区京島の街並みと人々の撮影である。

桑田 太

写真
蘇レ金太郎
7/12 (火) ~7/18 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

岡山県北東部にある勝央町で写真展をしたことが縁で、作者の同町通いが始まった。
台風による倒木、高速道工事の建機類、熊注意の看板、そして町のシンボルの金太郎像を見て、作品創造を思いたった。
山に囲まれた西国の某所で、一歩入るとこの町でも美名を借りた開発ながら荒廃を目にする。今はいないと聞く熊に注意を呼ぶ看板が空しいが、町中いたる所で現在の熊、すなわち建設機械類が山を削り、涙が湧き出る。樹木を倒す木々の声なき声、工事が進むさまは暴れ熊に見えた。エンジン音の止まった“熊”、停止し静まった“熊”は不気味で近寄り難い。作者は怖々そっと写した。
「そうだ、町に鎮座する坂田の金太郎に、この町の山を、川を、田を、良き方向に導くため、お目覚め願ったら…」
坂田の金時こと坂田の金太郎は、九州遠征の途次、熱病に罹り、ここ勝央町で亡くなった。齢55歳だったという。
シンボル像は、幼児で「金」の腹当てを着け、まさかり担いで熊にまたがっている。金太郎さんに“早く”と声援したい。少しは良き昔日に気づくのかもしれないから。モノクロ35点。

作者のプロフィール

1940年北朝鮮咸鏡南道生まれ。46年日本へ引き揚げる。71年印刷業経営の傍ら写真を始めるが、数年で止める。2000年4月経営を定年で交替し、23年ぶりに写真を再開。アサヒカメラへ組み写真を応募。04年から数十枚以上による写真集に目覚める。個展・グループ展多数。
写真展に、06年「遅春」、09年「庭端」(以上ニコンサロンbis新宿)などがあり、写真集に05年「汐入川」、11年「庭端」などがある。

八木澤 扶美子

写真
生き抜く -祈りの民・チベット-
7/19 (火) ~7/25 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

作者はここ数年、激変していく中国各地の都市・農村を見てきたが、チベットという辺境の地さえも驚くほどの変容を遂げた。「中国化政策」は一段と拍車がかかり、チベットの人口をはるかに超える中国人の流入は、チベットの伝統・文化・宗教・言語などを抹殺する最終的手段となっている。ラサをはじめとする各都市は中国の観光地と化し、年毎にチベット色は薄れていっている。
それでも、まだ豊かな自然に恵まれた東部(カム・アムド地方)は、一昨年・昨年と大地震が襲い、いくつもの震源地は壊滅的被害を受けた。折りしも日本もこの春、地震・津波・原発事故など未曾有の災害の中で、何とか力を合わせて復興に立ち上がろうと心をひとつにしている。この惨禍の中で、快適・便利という文明に寄りかかり、効率という数字に縛られ、それに支配されてきた今までの日本の姿を考え直す必要も生まれている。
貧しくとも「大自然の営みの中に生かされている命」「永遠のいのちの流れの中の自分」ととらえ、常に感謝の祈りの中にあるチベット人のブレない民族の確かさを見ていると、人間として最も大切なことはどんな困難な中でも「生き抜く」ことだろうと思われる。我々日本人も、今この世にあることの幸せに思いをいたし、謙虚な知性・知恵を持ち合って、力強く行きぬくことにしたいと心から思う。
本展を、作者はささやかな応援歌になればと願っている。カラー48点。

作者のプロフィール

ギャラリー「銀座・スペース5」において個展4回開催。雑誌「アサヒカメラ」で「いのち輝く大地」(05年9月号)掲載。ニッコールクラブ会員。

juna21 矢内 美春

写真
愛をさがしに
7/26 (火) ~8/1 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

1991年6月、NHKの報道カメラマンをしていた作者の父は、長崎県雲仙普賢岳の火砕流で殉職した。当時作者は1歳だったので、父親がどんな人物かわからなかった。
父の不在について、作者はこれまで目を瞑ってきたが、昨年成人式を迎えたことをきっかけに、父を知るための旅に出る事にした。
昨年の夏、父が撮影したホームビデオを見つけた。ビデオには作者が1歳の誕生日を迎えるまでの日々が記録されていた。作者は、父が愛用していたフィルムカメラで、テレビ画面に映し出された当時の記録を、複写した。当時父が見ていた同じ光景を、ファインダーを通してみたいと思った。液晶画面を通してかつてあった出来事を見るという行為は、今まで想像していた父との距離感によく似ていた。
ホームビデオを複写したことは、他者によって作られた現実を、コピーで所有し自らの現実にしたいという気持ちで行った。まるで過去を追体験しているようだった。
今年は雲仙普賢岳の噴火から20年という節目の年でもある。本展には作者が現場を訪れた際に撮影した写真も織り交ぜた構成となっている。
作者は、ここから新たなスタートが切れるのだと思っている。モノクロ35点、カラー1点。

作者のプロフィール

1990年北海道生まれ。2008年東京工芸大学芸術学部写真学科入学。現在同大学在学中。
雑誌掲載に「フォトコン」(2011年8月号)がある。

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