Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2010年11月

照井 四郎

写真
紀州人
10/28 (木) ~11/3 (水)
【10/28(木)‐10/31(日)】11:00~19:00
【11/1(月)‐11/3(水)】10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

紀州・紀の国は歴史に彩られたいにしえのロマンが息づく山と海の国である。2004年7月、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され、にわかに脚光を浴びるようになった。
雪国育ちの作者が、冷たい雪の降らない南国に憧れ、「新紀州人」となって早40年という歳月が流れ過ぎた。
作者は、本格的に高野の「お山」と、3,600峰という大小さまざまな山が連なる熊野の森を駆けめぐって20年が経つが、野趣にあふれ、深遠な大自然の懐にもぐり込み、神秘的な光景に出合うと、心が震えるという。しかし、何よりも強く心を揺さぶられ、癒されるのは情が厚く、あけっぴろげな地の人々の暮らしにふれた時である。
一期一会に胸を膨らませ、まるで蟻のごとく巡った車の走行距離は40万キロを越えた。作者自身、改めてその道のりに驚いているが、作者にとってふるさと回帰ともいえる「お山と熊野」への行脚は終わりそうにない。
本展では、1993年より撮りためたものを展示する。モノクロ約50点。

作者のプロフィール

照井 四郎(テルイ シロウ)
1948年秋田県横手市生まれ。フォトスタジオを経営するかたわら、作家活動を続ける。86年閉山した日本最古の石炭の島「高島炭坑」に10数年通い、ヤマの運命をカメラで追い続けた。その後、紀州に流れる川の自然と人々の暮らしに目をむける。95年1月17日早朝、突然「神戸」を襲った大地震を発生翌日から現地で野宿し記録。現在熊野の森とモンゴルの草原をライフワークとして活動している。日本写真家協会会員。二科会会員。
写真展に、87年「ヤマが消えた」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン・和歌山・横浜)、92年「紀の国の川」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン・神戸)、95年「阪神大震災―お兄ちゃんは死んだ」(キヤノンサロン/銀座・大阪・福岡・札幌・名古屋)などがあり、著書に88年「地底の炎は消えた」(日本写真企画)、92年「紀の国の川」(IPC)、95年「阪神大震災―瞬間証言」(朝日新聞社)、98年「神棲む森―熊野」(アガサス)などがある。
また、2004~10年、NHKテレビ(和歌山)「ネイチャークラブ」「ハートプラザ」「ウェーブ写真館」のコメンテーターを務め、08年「太陽と草原と―モンゴル訪問10年」を朝日新聞和歌山版に1年間(42回)連載している。

第16回酒田市土門拳文化賞受賞作品展
三栖 幸生

写真
時景(ときけい)
11/4 (木) ~11/10 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者が身の回りの景色を撮るようになったのは、懐かしい景色が変わっていくことへの郷愁と残しておかなければとの小さな使命感だった。
撮り始めた頃は、日本全体が生活のリズムを無視したかのように激しく動いていたときである。東京近郊の作者の住む町も、日々に変化していた。建物が壊されて空き地が目立ちはじめ、次々に新しい建物や道路がつくられていった。バブルに踊らされ、そしてはじけた時代背景の中、変化する瞬間、懐かしい風景、気になった景色にレンズを向け続けた。
更地になった空地をみると、そこにどんな建物があったのか思い出せないことが多い。見慣れていたはずの景色は、時間の経過とともに作者の記憶の外に流れ去って、変化してしまった景色が以前からの変わらぬ景色に映ってしまう。時間の流れの中で見つめてきたものを忘れてしまわないために、記録と記憶に留めるために作者は地域を見つめた。その景色はその時代に確かにそこにあった。
撮影期間は1990年から2008年までの19年間で、撮影地は神奈川県県央地区(厚木市、大和市、海老名市、伊勢原市、綾瀬市、愛川町、清川村、相模原市城山町)と隣接する町田市、横浜市、川崎市、茅ヶ崎市、寒川町、松田町である。モノクロ30点。

作者のプロフィール

三栖 幸生(ミス ユキオ)
1945年神奈川県生まれ。64年県立厚木高校卒業。68年日本大学文理学部卒業。2006年3月厚木市役所定年退職(38年間勤務)。09年3月厚木市市民ギャラリー(3年間勤務)。日本写真協会会員。厚木写友会会長。
写真展に、09年「時 ときけい 景」(銀座ニコンサロン)のほか、厚木写友会、東京カメラ倶楽部、モノクロームの会等においてグループ展多数開催。

有野 永霧

写真
日本人景 三角地
11/11 (木) ~11/24 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

「日本人景」は、日本人が作り出した風景を見つめることにより、日本民族のものの見方・考え方をはじめ、美意識や感性など、日本人がもつ特性を探ろうとするものである。
“三角地”は、その国の国土や民族の特徴をよく表している。Y字路に挟まれた三角地は特殊な空間であり、四角地と比較すると利用法ははるかにむつかしい。さまざまな難条件をクリアするためにより英知を結集しなければならない。その思考過程で国民性の重積がなされて、日本の風景が形成されていく。利用の結果として生まれた三角地の姿から、日本人の特質を探ろうという作品である。カラー40点。

作者のプロフィール

有野 永霧(アリノ エイム)
1941年兵庫県生まれ。大阪学芸大学(現大阪教育大学)卒業。81年タイムライフ写真年鑑新人賞、85年尼崎市民芸術奨励賞、94年第19回伊奈信男賞、02年尼崎市民芸術賞を受賞。
ニコンサロンでの個展に、78年「there WAS … ヨーロッパにて」、80年「虚実空間・都市 日本編」、83年「虚実空間・都市 ロンドン編」、「虚実空間・都市 ニューヨーク編」、89年「空蝉の都市 日本編」、94年「空蝉の都市 ヨーロッパ編」、96年「空蝉の都市 アメリカ編」、97年「無名のアースワーク シーサイド編」、99年「無名のアースワーク 国道筋編」、2003年「虚実空間・日本人景」、06年「無名のアースワーク 地中海編」、07年「無名のアースワーク アメリカ編」、09年「日本人景 温泉川」などがあり、他にアメリカ、イギリス、オランダ、ドイツ、中国、韓国などでの海外展がある。
写真集に『虚実空間・都市』『都市からのメッセージ』『都市』『虚実空間・空蝉の都市』『虚実空間・空蝉の風景』などがある。

juna21 高橋 あい

写真
ヤマ・ムラ・ノラ 子どもたちの 未来の子どもへ
11/25 (木) ~12/1 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

松山市から車で1時間、西日本最高峰石鎚山の麓に位置する愛媛県久万高原町は、平均標高800mと山深く、四国の中でも珍しく雪の降る地域にあたる。数年前までは、林業を主な産業として賑わっていたが、「平成の大合併」と呼ばれる5年前の町村合併や国産木材価格暴落に伴い、仕事が減り、土地離れをする住民は少なくない。
植林を施された久万の「山」は人間のエネルギーで作られた「山」である。ネイティブアメリカンの教えに「風景というのは、出来事なのだ」という言葉がある。その出来事は体感として伝わってくる。人々は山と共に暮らし、風景を作ってきたのだ。観光地だと旗をあげなくても、流れ星が流れ、ホタルが飛び交う。この土地に住む人にとっては当たり前の光の流れに、作者は何度も立ち止まった。
秋祭りやお正月に、帰る場所のあることの温かさは何にも代え難いものである。作者はその温かさが永劫であることを願ってやまない。写真に写される風景と写らなかった風景を土地の人に尋ねながら、土地の実相を知りたいと思っている。
なお、展示する作品は久万高原町立美術館2009年度自主企画展「帰去来今」展(出展者:萱原里砂・笹岡啓子・高橋あい)のために制作および発表した作品をもとに制作したシリーズである。

作者のプロフィール

高橋 あい(タカハシ アイ)
1980年東京生まれ。2003年多摩美術大学美術学部情報デザイン学科卒業。ギャラリー(イル・テンポ)、多摩美術大学情報デザイン学科研究室勤務を経て、08年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻に在籍(10年3月修了)。写真の他に、ドキュメンタリー映画や舞台の制作も行う。知的障害者と健常者のグループ「がやがや」での活動として、08年度明治安田生命支援事業・エイブル・アートオンステージにて、鶴見幸代・山田珠実・小島希里らとともに舞台作品を発表。また、08年より映画「久高オデッセイ生章」の演出助手を務めたことをきっかけに沖縄県の取材を始める。現在は沖縄大学地域研究所特別研究員として沖縄県久高島やアイヌ文化の撮影を継続して行っている。
作品は、二人展「私展―淡い光の中で」(PLACE M)、グループ展「をちこち」(多摩美術大学)などで発表している。

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