Nikon Imaging
Japan
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銀座ニコンサロン 2010年9月

大西 みつぐ

写真
標準街景
9/1 (水) ~9/14 (火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休

写真展内容

「東京小夜曲」(1999年銀座ニコンサロン)、「路上の温度計」(2004年新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)に続くTOKYOスナップショットのシリーズである。
今回の作品は、再びスナップショットの原点に帰るという意味から単体の標準レンズ1本のみを使って撮影したものである。
標準レンズのフレームの素朴さは、世界へのささやかな窓を開くための出発点になりうるものがある。ストリートという古典的なフィールドにおいて、物理的な距離感と精神的な距離感とがどのように重なるのか、またはズレていくのかということを作者自身でもう一度確認してみたかったという。
さらに、昨今はスナップショットという方法そのものが「盗撮」という言葉にすり替わったり、「肖像権」など微妙な問題に触れることもしばしばあり、急速に写真家の都市における表現スタイルから遠ざかりつつある。
しかしながら、時代とともに変容するまなざし(都市と人間との関係)は、これまでの世界の写真史に照らし合わせるまでもなく、万難を排してもカメラで記されていかなければならないものがあり、新たな時代の新たなスナップショットの標準、あるいは基準線を模索するために、作者はなおもフィールドに出たいと思う。
写真家個々人が「立ち会うこと」と「見ること」に襟を正し、個人のありようを尊重しつつ、カメラを大上段に振りかざすことなく、慎重にそして誠実に、撮りながら考えていくしか手だてはない。そこで作者は、標準レンズの「等倍」という見方と、現場における率直な関係性の中で自然に立ち現われてくるものを今一度落ち着いて見極めて見たいと思っている。
一見、華やかで愉しげに見える「街景」だが、都市に生きる人間の澱のようなものが街角の隙間を刻一刻と流れ続ける情報と色濃く重なり、限りない疲労感をもたらすとともに、流行のtwitterではないが、「つぶやき」を吐き捨てることで現在を確認し続けねばならない自分の閉塞感や焦燥感を感じてしまう作者である。カラー約60点。

作者のプロフィール

大西 みつぐ(オオニシ ミツグ)
1952年東京深川生まれ。74年東京綜合写真専門学校卒業。85年「河口の町」で第22回太陽賞受賞。93年「遠い夏」ほかで第18回木村伊兵衛写真賞受賞。現在日本写真家協会会員、ニッコールクラブ顧問、東京綜合写真専門学校、武蔵野美術大学非常勤講師。
写真展に、「横丁曲ればワンダーランド」「周縁の町から」「東京小夜曲」「路上の温度計」(ニコンサロン)など他多数。著書・写真集に「Wonderland」「遠い夏」「下町純情カメラ」「東京手帖」「デジカメ時代のスナップショット写真術」ほか。

吉野 正起

写真
道路
9/15 (水) ~9/28 (火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休

写真展内容

道路はすごい。話はそこにつきる。たとえば津軽の北端の、吹雪も怒濤も真横にすっとんでくる水際に、岩山をぶちぬいた素掘りの隧道が今ものこっている。昔の人の、文字どおり岩をもうがつ根性の産物だ。あるいは、お茶の緑もうるわしい清水の山の天空に、空中ブランコみたいな高架道路が全容をみせはじめている。もう未来世界の曲芸だ。
とにかく昔のでも今のでも、作者はいちいち胸がふるえる。そしてその感動には、恐怖もまじっている。特殊な道路にかぎらない。孤独な山里につづく一本道だって、除雪作業でへしゃげたガードレールだって、意味はおなじだ。
道路は、無益で無害な机上のお絵かきではない。道路は、ただの強烈な意志だ。ぐちゃぐちゃの敗戦国だった日本の、やけつくような願望を実現したのが、今の日本の道路だ。高温多湿の山岳国で、しかも冬には豪雪地帯で道路の敷設と維持というのは、おそろしいような大事業だ。カラー約50点。

作者のプロフィール

吉野 正起(ヨシノ マサキ)
1960年埼玉県生まれ。早稲田大学文学部卒。日本写真芸術学会会員。93年ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ・コミュニケーションズMA、95年第6回写真「ひとつぼ展」でグランプリ受賞。
写真展に、96年「飛地の外の風景―成田空港周辺―」(銀座ガーディアンガーデン)などがある。

照井 四郎

写真
紀州人
9/29 (水) ~10/12 (火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休

写真展内容

紀州・紀の国は歴史に彩られたいにしえのロマンが息づく山と海の国である。2004年7月、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され、にわかに脚光を浴びるようになった。
雪国育ちの作者が、冷たい雪の降らない南国に憧れ、「新紀州人」となって早40年という歳月が流れ過ぎた。
作者は、本格的に高野の「お山」と、3,600峰という大小さまざまな山が連なる熊野の森を駆けめぐって20年が経つが、野趣にあふれ、深遠な大自然の懐にもぐり込み、神秘的な光景に出合うと、心が震えるという。しかし、何よりも強く心を揺さぶられ、癒されるのは情が厚く、あけっぴろげな地の人々の暮らしにふれた時である。
一期一会に胸を膨らませ、まるで蟻のごとく巡った車の走行距離は40万キロを越えた。作者自身、改めてその道のりに驚いているが、作者にとってふるさと回帰ともいえる「お山と熊野」への行脚は終わりそうにない。
本展では、1993年より撮りためたものを展示する。モノクロ約50点。

作者のプロフィール

照井 四郎(テルイ シロウ)
1948年秋田県横手市生まれ。フォトスタジオを経営するかたわら、作家活動を続ける。86年閉山した日本最古の石炭の島「高島炭坑」に10数年通い、ヤマの運命をカメラで追い続けた。その後、紀州に流れる川の自然と人々の暮らしに目をむける。95年1月17日早朝、突然「神戸」を襲った大地震を発生翌日から現地で野宿し記録。現在熊野の森とモンゴルの草原をライフワークとして活動している。日本写真家協会会員。二科会会員。
写真展に、87年「ヤマが消えた」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン・和歌山・横浜)、92年「紀の国の川」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン・神戸)、95年「阪神大震災―お兄ちゃんは死んだ」(キヤノンサロン/銀座・大阪・福岡・札幌・名古屋)などがあり、著書に88年「地底の炎は消えた」(日本写真企画)、92年「紀の国の川」(IPC)、95年「阪神大震災―瞬間証言」(朝日新聞社)、98年「神棲む森―熊野」(アガサス)などがある。
また、2004~10年、NHKテレビ(和歌山)「ネイチャークラブ」「ハートプラザ」「ウェーブ写真館」のコメンテーターを務め、08年「太陽と草原と―モンゴル訪問10年」を朝日新聞和歌山版に1年間(42回)連載している。

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