Nikon Imaging
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新宿ニコンサロン


川廷 昌弘展
[「松韻」~劉生の頃~]

3/10 (火)~3/16 (月)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休



<写真展内容>
日が暮れてきた。まもなく江ノ島の燈台に灯りが点る。
ここに大きな旅館があった頃は、部屋から海の向こうに江ノ島が見えていた。
その頃、このあたりに岸田劉生が6年ほど暮らして、娘や風景を描きまくっていた。
劉生が写生をしている時に抜けた風。描いた光。今も昔も変わるはずがない。
僕が生まれ育った芦屋も海辺の町だった。しかし海は埋め立てられ、町は阪神大震災で瓦解した。喪失感を写真集「一年後の桜」で表現したが、心に刻まれた「松韻」が聞こえる風景を、仕事で転居する事を契機に探すことにした。
芦屋と同じモダニズム文化を嗅ぎとり、湘南・鵠沼の東屋旅館の跡地に家を建てた。この町では「松韻」があちこちから聞こえてくる。しかし、開発による変化は激しく、撮影した場所も次々失われていくようになってきた。
相模湾に面し、塩害を防ぐために黒松を植える事で、自然共生を図ってきた先人たちの知恵。それを忘れた持続可能ではない開発。
僕は「松韻」が聞こえる風景を撮る。地域の大切な資産、守りたい風景、記憶の風景を撮る。
モノクロ55点。



<作者のプロフィール>
川廷 昌弘(カワテイ マサヒロ)
1963年兵庫県芦屋市生まれ。86年博報堂入社。現在博報堂DYメディアパートナーズ勤務。93年大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ)夜間部卒業。
主な写真展に、92年「週末の楽園 ―Minami-boso―」(銀座、梅田キヤノンサロン)、94年「憧憬」(mole/東京・ブレーンセンターギャラリー/大阪)、98年「一年後の桜」(サードギャラリーAya/大阪)、2001年「ロスト・マイ・ワールド」(銀座ニコンサロン)、02年「なまず石」(サードギャラリーAya/大阪)、03年「一年後の桜クロニクル」(ビジュアルアーツギャラリー/大阪)、04年「白杭の季節 ―湘南―」(銀座、梅田、名古屋、福岡キヤノンサロン)、06年「一年後の桜」出版記念展(西法寺/芦屋)、07年「白杭の季節」出版記念展(ギャラリーGAZEBO/神奈川・鵠沼海岸) 以上個展、98年「兵庫アート 震災と写真/ドキュメントを越えて」(銀座・神戸)、00年「震災と美術―1.17から生まれたもの」(兵庫県立近代美術館)、「描かれた芦屋の風景」(芦屋市立美術博物館) 以上グループ展、がある。
また、出版物に05年『一年後の桜』(蒼穹舎)、07年『白杭の季節』(リコシェ)があり、ワークショップに07年「湘南、記憶の風景を撮る」(平塚市美術館)がある。
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