Nikon Imaging
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新宿ニコンサロン


岡 寿克展
[消息]

8/12 (火)~8/25 (月)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
8/17 (日)、8/18 (月) 休館



<写真展内容>
平凡な日常の連続が一つの節目を迎えた今日、作者は60才定年。撮り続けてきた「写真」を振り返ると、母、義母の死等去り行く人が多くなり、作者自身、「死」はそう遠くないと予感している。
「写真」という、ある意味暴力的に「人」の一瞬を掠め撮るという後ろめたい行為の中で、唯一度だけ人の役に立ったかもしれない写真を本展で展示する。
岩手県花巻市の宮沢賢治記念館で、中年の女性が「写真を撮って下さい」と申し出てきた。聞くと、ご主人の故郷花巻に越して来て、半年でご主人が他界。今は、郷里の東京の施設に在る母に、自分が元気でいることを知らせたいが、写真も送りたいので是非撮ってほしいということだった。家に帰ってから写真を送ったところ、しばらくして野菜とお菓子、拙き文字で書かれた礼状の入ったダンボール箱が送られて来た。あれから3年、この女性の「消息」は如何ばかりかと、作者は妻と語り、思いを巡らした。
「人間は本質的に自己中心的に生きるものであって、他者よりは本能的に自己を守る生き物です。他者のことは、本来どうでもいいのであり、うとましく思うことのほうが自然です。」
タイトル「消息」を拝借した詩人吉野信氏の言葉だが、それにかかわらず、私たちは「他者」との深いかかわりにより、自己の欠落したピースを埋めながら「死」に向って一歩一歩生きて行かなくてはならない。この世は「他者」によって出来上がり、作者自身も「他者」であり、なつかしくも、うとましくもある。「他者」との出会いを撮影した「写真」を並べるというささやかな行為で、この世界の小さな欠落を拾うことができているのかなと、作者は思っている。カラー40点。



<作者のプロフィール>
岡 寿克(オカ トシカツ)
1947年生まれ。子供のころから“美術”を志していたが、高校時代に「ダダイズム」「マルセル・デュシャン」等と出合い、さらにあの時代吹き荒れた反権力闘争に被れ、高校中退後長く港湾労働に従事。その後地方公務員となり現在に至る。
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