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大阪ニコンサロン


juna21
濱口 香奈子展 [時差2時間からの便り]
保戸塚 千真展 [Purkinje]
吉原 かおり展 [カプセル アパート]
野村 次郎展 [ある日]

11/29 (木)~12/4 (火)
10:00~18:00
会期中無休




[時差2時間からの便り]

<濱口 香奈子展>
3年前に祖父が死んだのがきっかけとなり、作者は宗教に対して疑問と複雑な気持ちを持つようになった。
日本と同じ仏教国で、多くの共通点があるタイに行けば答えが見つかるのではないかと考え、作者は2006年の1年間に3回ほどタイのバンコクに足を運んだ。しかし、多くの寺院は観光地化されており、納得がいくような答えを見つけることができなかった。
そうした中でふと街のなかに目をやると、ここは日本ではないのかと錯覚するような風景や人々の姿が目に留まるようになった。このとき作者は、時差2時間という差があるとはいえ、同じアジア人であり、どこか共通する記憶があるのではないかと考えるようになった。
このことに気づいたことで作者は、自然と自分の中で共通する記憶と感じた風景や人々の姿を写真に収めるようになっていた。
本展で作者は、作者が感じた共通する記憶を亡くなった祖父や両親、友人、そして多くの人に便りとして受け取って欲しいと願っている。モノクロ作品。



<作者のプロフィール>
濱口 香奈子(ハマグチ カナコ)
1982年鹿児島県生まれ。2005年九州産業大学芸術学部写真学科卒業。同大学大学院芸術研究科写真専攻(博士課程前期)入学。07年同卒業。06年第7回上野彦馬賞入賞。
写真展(グループ展)に、05年「卒業制作展」(九州産業大学アートギャラリー/福岡)、06年「works’」(福岡県立美術館)、「SIX SENSES 六つの感覚」(コニカミノルタプラザ/新宿)、07年「丸尾研究室写真作品展」(福岡県立美術館)がある。





[Purkinje]

<保戸塚 千真展>
刻々と過去になっていく現在を、追いすがるように定着させていったものたち。しかし、それは離れれば離れる程曖昧さを増し、喪失感とともにかつて自分の前に存在していたのか戸惑いに陥る。死んでしまったものたちは定着された記憶の中でこれから過去を生きていく。カラー作品。



<作者のプロフィール>
保戸塚 千真(ホトヅカ チマ)
1983年東京生まれ。2006年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。





[カプセル アパート]

<吉原 かおり展>
わずか1畳半のプライベートルームと、それ以外の生活は共有空間になっているカプセルアパート。作者はこのカプセルアパートに1年以上も住み、退室してからも住人の写真を撮り続けてきた。そしてパブリックとプライベートの狭間を揺れながら、人間とは何か、自分とは何かと、無意識に問い続けた。
住人の数だけある「ここに住む理由」。それぞれ故郷があり、今があり、未来がある。その人生の過程のうちの一点だけ重なっているのが「カプセルアパート」である。カラー作品。



<作者のプロフィール>
吉原 かおり(ヨシハラ カオリ)
1980年兵庫県生まれ。東洋大学社会学部卒業。ギャラリープレイスM「夜の写真学校」(瀬戸正人主宰)に参加。





[ある日]

<野村 次郎展>
撮る行為を重ねることで自分の中で何かが沈殿し、底の方でリンクし始める。集まった写真が何を意味しているかわからないが、現実というあやうい時間に身を委ねて生きている中、それらの写真を眺めると自己安堵する。それはきっと錯覚にちがいないのだけれども。
作者は人気のない世界が好きだった。そんな場所を求めて多摩川か地元の奥武蔵の山へ散策に出かけ、写真を撮った。今はもうなくなってしまったが朝霧のたつ妻坂峠から大持山へ抜ける蔦のある景色。崖くずれの絶えない逆川林道や大名栗林道。姉の住むあきる野市にある多摩川上流の音のない林の中。
時間のない世界に生きていると、時間を感じさせない世界が愛おしく思える。山の中にある作者の家も時間がない。祖母が作者の家に遊びに来たのは、亡くなる1年くらい前のことであった。5月の気持ちのいい季節だったような気がする。庭に椅子をもっていき、祖母を座らせ、お茶を飲んでもらった。小さな花を手に渡すと、何十分もその花を見つめていた。その姿が忘れられない。部屋の中でもときどき思い出したように昔の事を話し、満足するとじっとしている。薄暗い部屋の中を、杖を使ってゆっくりとゆっくりとスローシャッターでもブレないくらいの速度で歩いていく。家の10歳になる吠えない犬を見ていると、祖母を思い出す。みんな時間から遠ざかった住人で、その背後に世界はない。静けさだけが残る。モノクロ作品。



<作者のプロフィール>
野村 次郎(ノムラ ジロウ)
1972年東京都生まれ。大学を休学してインドに滞在。東京綜合写真専門学校除籍。武蔵大学中退。2000年写真を再開。工事現場に魅せられ、フィルム200本を撮影。01~02年プレイスMのワークショップに参加。02年個展「Silence」を発表。以降、家族や身の周りの人、林道のカーブや河原を摂りつづけている。
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