Nikon Imaging
Japan
プレミアム会員 ニコンイメージング会員

銀座ニコンサロン


秋山 忠右展
[intersection 2000-2005 ドリームランド VI]

9/19 (火)~9/30 (土)
10:00~19:00
9/23 (土)、24 (日) 休館



<写真展内容>
作者は、都市というものは、良くも悪くも、時代、時代の精神を反映する鏡だと信じて、これまでその姿をフィルムに定着させてきた。そうした観点で、作者が生まれ、育ち、これまで40年以上もカメラを片手に歩き回ってきた東京という都市を改めてみつめ直してみると、絶えず増殖し続ける日本の首都は、まるで「おもちゃ箱」のような都市だと実感する。
由緒ある西欧の街並みに比べたら、東京は確かに歴史的な一貫性はないし、色彩的にもデザイン的にも統一感がまるでない。絶えず破壊と再生が繰り返され、新しく建てられた建物はそれぞれが勝手に自己主張しているが、だからこそ作者は、この巨大な生命体に不思議なエロスを感じる。
作者はこの生命力を「東京性」と名付けてきた。この「東京性」が最もラディカルな形で噴出し出すのは、1964年に東京オリンピックが開催されてからで、この年を境に東京は高度成長を続け、95年にバブル経済が崩壊するまですべてがこの街に集中し、貪欲な生き物のようにうごめいてきた。この40年は、作者が写真を撮り始め、作品を発表してきた期間と重なり、作者のやり方でこの「東京性」を映像化してきた。
作者に東京の異なった姿を見せてくれるきっかけとなったのは、ヘリコプターに乗って空から「東京性」を撮影するプロジェクトを始めてからである。ひとたび鳥瞰してみると猥雑さは捨象され、眼下に西洋化した都市の相貌が現出した。そこには作者が想像したこともないほど取り澄ました顔があり、とくに郊外はそれが顕著で、それまでの「東京性」とは異質な風景が、クールな表情を浮かべていた。
このよそよそしさ、空々しさの正体を突き止めるべく、作者は都市生活者のベッドタウンとして開発された東京の周縁部を歩き回った。この「ニュータウン」と命名された空間を撮影するうちに作者は奇妙な不在感を感じ、「ドリームランド」と皮肉をこめて呼ぶようになった。
山や丘に造成された「ドリームランド」には、作者が愛着を感じてきた「東京性」は排除されていた。なぜ建設されたばかりの団地や公園が、作者の目には廃墟のように映ってしまうのか。空々しい雰囲気はどこに起因するのか。極度に人工化された都市空間に、死の臭い(タナトス)さえも嗅ぎ取ってしまうのは作者だけなのか。この空気を映像化しようと作者はこの20年、日々悪戦苦闘している。カラー50点。



<作者のプロフィール>
秋山 忠右(アキヤマ タダスケ)
1941年東京品川生まれ。64年早稲田大学政治経済学部を経て東京綜合写真専門学校研究科卒業。石元泰博氏に師事。65年「若い群像」で第2回太陽賞受賞。70年東京綜合写真専門学校講師に就任。91年第39回ACC全日本CMフェスティバル・テレビCM部門優秀賞受賞。92年第39回カンヌ国際広告映画祭ファイナリスト入賞。98年伊奈信男賞特別賞受賞。2001年学校法人写真学園理事に就任(05年評議員、理事辞任)。東京都写真美術館に作品(92年「若い群像」、03年「空撮大東京」)収蔵。日本写真家協会会員(65年~)。
写真展(個展)に、68年「人間砂漠」、73年「チャンテイツク・バリ」、77年「舞楽而留-1908」、83年「区」、86年「周縁遊歩」、「TOKYO METROPOLITAN NOW」、90年「国境流浪」、91年「空撮大東京」、94年「SKY LANDSCAPE」、95年「ドリームランド」、96年「PARK ドリームランドII」、98年「臨海景 ドリームランドIII」、2000年「farmer 1995-1999」02年「一つ目小町 ドリームランドIV」04年「ZONE 郊外・事件の記憶」などがあり、その他国内外の写真展に出品している。また写真集は、『国境流浪』(90年・平凡社)、『空撮大東京』(91年・昭文社)、『日本空中紀行―SKY LANDSCAPE』(94年・時事通信社)、『国境流浪』上下巻(98年・京都書院)、『NIPPON AIR SCOPE』『TOKYO AIR SCOPE』(以上99年・京都書院)、『farmer』(00年・冬青社)、『ZONE 郊外・事件の記憶』(04年・日本カメラ社)など多数。
ニコンイメージングプレミアム会員
ニコンイメージング会員