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大阪ニコンサロン


juna21
石川 直樹展 [THE VOID]
辰巳 唯人展 [On Platform]
岡原 功祐展 [Resistance <ダルフール内戦>]
喜多村 みか展 [Einmal ist Keinmal]
3/30(木)~4/4(火)
10:00~18:00




[THE VOID]

<石川 直樹展>
撮影地は、ニュージーランドの北島、先住民のマオリの聖地として受け継がれるいくつかの原生林である。太平洋島嶼部には、海図やコンパスなどの近代計器を用いず、星や風、潮流や鳥などあらゆる自然現象を頼りに舟を目的地に導く古代航海術が受け継がれている。作者はその航海術を知るマオリの古老を訪ね、カヌーが生まれる神聖な場所を教えてもらった。そこは深い森だった。
原生林の奥へ入り込んでいくと、自分がどこへ向かっているのか、どこにいるのかさえもわからなくなるような感覚に襲われる。タイトルである『The Void』は、「空間」「無限」「すき間」といった意味をもっている。マオリの聖地は、そこを入り口にしてどこへでも伝っていける一種のエアポケットとして機能していた。すべての森はひとつの森であり、ひとつの森はすべての森に通じている。
人々を島へ導いたカヌーは、この地で生まれ、海を渡り、やがて朽ちて再び森へと還っていく。はじまりであり、終わりでもあるこの土地の先には、島の過去と未来、そして広大な海が常に在り続けている。そのような場所の存在をほんの少しでもわかちあえたらと、カラー約20点を発表する。



<作者のプロフィール>
石川 直樹(イシカワ ナオキ)
1977年東京都生まれ。94年インドを一人旅し、以後、世界中を旅しながら作品を発表。2000年地球縦断プロジェクト「Pole to Pole」に参加し、北極から南極までを人力で踏破。01年チョモランマ(8848m・チベット)に登頂し、世界7大陸最高峰登頂を達成。02年早稲田大学文学部卒業。04年熱気球による太平洋横断に挑戦するも、ハワイ沖に着水。
現在、東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程に在籍しながら、ネガカラーによる作品を制作。人類学、民俗学などの領域に関心をもち、行為の経験としての移動、旅などをテーマに作品を発表し続けている。
個展:03年「for circumpolar stars 極星に向かって」(エプサイト、東京)
グループ展:04年「Visions on the move」(graf media gm、大阪)、「On The Edge of Nowhere 二つの異なる“自然”」(Kuspace Wien、ウィーン)、「フォトドキュマン STILL & MOVE」(杜のホールはしもと、神奈川)、05年「Project the Projectors 東京芸術大学大学院先端芸術表現専攻 修了作品展」(旧坂本小学校、東京)、「SKY HIGH」(KOPキリンプラザ、大阪)
写真集、著書:01年『この地球を受け継ぐ者へ』(講談社)、03年『大地という名の食卓』(数研出版)、『POLE TO POLE 極圏を繋ぐ風』(中央公論新社)、05年『全ての装備を知恵に置き換えること』(晶文社)、『THE VOID』(ニーハイメディアジャパン)





[On Platform]

<辰巳 唯人展>
地下鉄の駅で電車を待っているとき、理由もなくホームの先に続くトンネルが気になってしまうことがある。暗闇の中からは、地下水の流れる音がかすかに聞こえてくる。送風機が唸り、遠くを走る電車の音が反響し、騒音ともつかない静かなざわめきがトンネルの空間を満たしている。だが、そのような静寂も、電車がホームへと近づいてくると破られてしまう。そして電車の発車と共に、駅は再びもとの静けさに戻っていく。
今回の写真展で作者が試みたのは、自身の位置は光りに満ちたホームの上に制約されつつも、そこから闇に包まれたトンネルの方向へとまなざしを送り続けて、撮影することだった。ホームもトンネルも「私たちが通過していく」という意味では、等しい空間と言えるのではないだろうか。モノクロ29点。



<作者のプロフィール>
辰巳 唯人(タツミ ユイト)
1980年生まれ。2004年京都大学総合人間学部卒業。同大学大学院人間・環境学研究科修士課程入学。京大写真部在籍。





[Resistance <ダルフール内戦>]

<岡原 功祐展>
2003年に内戦が始まったダルフール。気になり始めて1年後、作者はようやく取材に行くことができた。目に飛び込んできたのは、医療テントに続く難民の列、栄養失調で息絶えそうな子供、殺されて放置されたまま腐った死体。
温和で優しいスーダン人がなぜ闘うのか? 背景などは理解できても、彼らの人となりを知っていくと、感情では理解しがたい。作者が一緒に過ごしたゲリラたちの目は、不思議なくらい「疑い」を持っていなかった。
「食べるものをくれ」と言いつつも、何もできない作者にレンズを向けさせてくれた人たち。皆それぞれに必死だった。そんな彼らに応えたい、ダルフールに生きる彼らの姿に目を留めてほしいと願い、作者も必死に撮影した。モノクロ約50点。



<作者のプロフィール>
岡原 功祐(オカハラ コウスケ)
1980年生まれ。早稲田大学教育学部卒業。アフリカ諸国、南米コロンビアなどを中心に撮影を続けている。若手ドキュメントグラファーの集団「U-Press」に所属。





[Einmal ist Keinmal]

<喜多村 みか展>
「Einmal ist Keinmal(アインマル イスト カインマル)」とは、「一度しか起こらなかったことは、一度も起こらなかったようなものだ」という意味のドイツの諺である。このように言われると、人が過ごしていく時間の中で起こるすべてのことが、軽々しくて、意味のないことのように感じられるかもしれない。人との出会いや、何かを思うこと、いろいろなものを見て聞いて感じること、そられすべてが何もなかったのと同じだと……。しかし、撮影者は「残したい」という欲求に突き動かされて、瞬間瞬間にシャッターを切る。だから、「一度しか起こらないこと」を「二度以上」眺めることができる。
Einmal ist Keinmalは本来、悲観的、虚無的な意味の諺だが、作者は肯定的な意味を含むものとしてとらえようとしている。なぜなら、同じことが何ひとつ起こらないということは、逆にそれは「一度も起こった」のであり、その瞬間はとても貴重だからだ。そして、「一度しか起こらなかった」ことは、一枚の紙の上に、確実にもう一度再現される。



<作者のプロフィール>
喜多村 みか(キタムラ ミカ)
1982年福岡県生まれ。2005年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。
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