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大阪ニコンサロン


ニコンサロン特別展
江成 常夫展
[昭和史の風景 偽 満洲国]

9/8(木)~9/13(火)
10:00~18:00
会期中無休





<写真展内容>
昭和6年(1931年)9月18日、中国・旧満洲奉天(現・東北部瀋陽)の郊外、柳条湖で起きた関東軍による鉄道爆破謀略に始まる満洲事変は、翌年3月1日の満洲国建国と深く関わっている。
「満洲国」の建国に際しては清朝の末帝・愛新覚羅溥儀を執政に据え、独立国を装い、五族(日、満、漢、蒙、鮮)共和と楽土の建設が謳われた。しかし独立国を標榜した「満洲国」は、日本の軍部主導の傀儡国にすぎず、現地民は収奪に近い土地買収や強制労働など人権を蹂躙した差別を強いられた。
敗戦直前の昭和20年('45年)8月9日、ソ連軍(当時)の急襲のもと「満洲国」は崩壊し消滅した。
作者は戦後中国に取り残されてきた日本人戦争孤児の身元調査が開始された昭和56年('81年)春から平成7年('95年)にかけ、日本が支配した「満洲国」を14年にまたがり歴訪してきた。その地は南の大連から奉天(現・瀋陽)、首都だった新京(現・長春)、ロシア色が残るハルビンなどの主要都市と、日本人が開拓入植したソ連(当時)国境に近い奥地にまで及んだ。
このなかで格別作者の心に響いたのは、敵国の孤児を育てた中国の養父母に象徴されるように、日本の植民地支配を寛大に受け止めた中国人と、支配者としての認識を埋没させてきた日本人の大きな精神的落差だった。
国交回復後、日中間では現代史認識のうえで軋轢を繰り返してきたが、今年4月、中国の上海、北京で起きた激しい反日デモは、その感情が鬱積していることを如実に示した。中国ではかつての「満洲国」を「偽満洲国」とし、常套語になっている。
「偽満洲国」の実像をとらえたこの作品は平成7年にモノクロ作で発表したが、今回は『昭和史の風景 鬼哭の島』と連係させ、カラー作品を主軸に再構成し、日本を15年戦争に陥れた『偽満洲国』を昭和史の風景として浮き彫りにしている。
100×120cmカラー10点・モノクロ14点・大全紙カラー20点。



<作者のプロフィール>
江成常夫(えなりつねお)
1936年神奈川県生まれ。毎日新聞社を経て74年フリーに。渡米・74~75年ニューヨーク滞在、78~79年ロサンゼルス滞在。ニューヨークでの日本人「戦争花嫁」との出会いをきっかけに、以後中国にとり残された戦争孤児、孤児を生んだ「満洲」、「ヒロシマ」など一貫して「昭和15年戦争」をテーマに、草の根の視点に立って写真活動を続ける。現在ニッコールクラブ会長、ニコンサロン運営委員、九州産業大学大学院教授。
写真展に、1976年「家族・ニューヨーク」(新宿ニコンサロン)、80年「花嫁のアメリカ」(銀座ニコンサロン)、85年「シャオハイの満洲/百肖像」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、99年「昭和・家族の肖像」(新宿パークタワー・ギャラリー1)、2000年「昭和史の風景 花嫁のアメリカ1978―1998/シャオハイの満洲/ヒロシマ万象」(東京都写真美術館)など多数。
著作・写真集に、『ニューヨークの百家族』(76年・平凡社)、『花嫁のアメリカ』(81年・講談社)、『シャオハイの満洲』(84年・集英社)、『まぼろしの国・満洲』(95年)、『ヒロシマ・万象』(2002年・以上新潮社)、『レンズに映った昭和』(05年・集英社)ほか多数。
81年第6回木村伊兵衛賞、85年第4回土門拳賞、95年第37回毎日芸術賞、2001年日本写真協会賞、第50回神奈川文化賞などを受賞。
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