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大阪ニコンサロン


第6回三木淳賞/奨励賞受賞作品展
村上 友重写真展 [球体の紡ぐ線] (第6回三木淳賞)
吉田 明宏写真展 [記憶の地図 ~The wind of Nepal~] (三木淳賞奨励賞)
高木 美佳写真展 [みね] (三木淳賞奨励賞)
1/27(木)~2/1(火)
10:00~18:00
会期中無休



[球体の紡ぐ線]

<村上友重写真展内容>
本展の、作品のイメージの核となっているのは、「写真を撮った地点や時点、その点を繋いでいくと、やがてそれらが線になり、この地球という球体の上で紡がれていく」ということである。
また、これらは「写真を撮る」という目的を超えて、まだ知らない世界を見てみたいという単純で、しかし強い衝動によって、作者が突き動かされた結果、生まれた作品たちと言える。
したがってこの作品は、これから先もゆるやかに続いてしまうように作者は思う。それは作者がどこにいても、何かに出会い、感動し、そこで写真を撮りたいと思う限り続いてしまう生の営みのようなものだからである。カラー34点。



<授賞理由>
作者村上氏は、己の写真表現の基本姿勢として「地球という球体の上で、私が写真を撮った地点、時点が繋がれて、やがて大きな線を紡いでいく」とテキストを添えている。このことを示す具体として、写真作品群を知覚することは、この作品を見る者に容易ではない。テキストとその具体としての写真とのキョリから、彼女の写真に対して過大な期待を抱いているように感じられる。しかし、カメラによる表現の具体性―現場における撮るという身体行為―が、“知”を越えて与えてくれる快感を疑うことなく許容する姿、それはあまりに楽天的ではと思う程だが、その純粋に撮ることに賭ける姿勢が新鮮である。
作品に現れている透明な空気感、漂う不可視な意味性は、そんな彼女の楽天的ともみえる写真への期待感から生まれているのだろう。
特に最近の若い人たちの間で、自分の姿に即するという表現のあり方が流行り、外より内、他者より自己に比重がかかり、直接現実へ向おうとしない傾向のなかにあって、自らの身体を現実の中に浸し、他者との共通感覚を発見しようとする行動力、意志力から生まれてくる新鮮な映像は、今後大いに期待できる逸材であると評価された。




<作者のプロフィール>
1980年千葉県生まれ。2000年早稲田大学第一文学部入学。04年同校(文芸専修)卒業。



[記憶の地図 ~The wind of Nepal~]

<吉田明宏展写真展内容>
今回作者が制作した「記憶の地図」の中の写真は地図(地表の状況を縮尺して平面に表したもの)であった。正確に言えば、作者の考える内面的な大地をペーパー上に投影した地図の断片である。
この作品の背景には、作者が生まれて育った東京都市という空間が密接に関わっている。時が忙しく流れ、平らな光が街を照らし、人々の顔には表層感が漂う。そしてノドがかわく…。
その対比として位置するものが今回の地図だと言える。その中で作者は、都市空間と異なった場所で暮らす人々の儚さ、強いては人間だけに与えられた特別な感情というものの偉大さを、静かな空気感の中で表そうとしている。
作品はネパール王国で撮影し、祈り、瞑想、横顔など自然の中で生きるネパールの人々の思想、存在感が強く感じられるもので構成されている。そして何よりも作者の出会った感動の記録こそがこの地図のインデックスとなる。モノクロ30点。




<授賞理由>
ネパールのルポルタージュものは、ここ数年他に多く見ることができるが、この作者の作品は、単なるエキゾチズムに魅せられたルポルタージュではない。
不可視な聖なるものに対峙し、祈り瞑想する人々の姿を通して、可視世界しか信じ得なくなってしまった我々の状況―高度情報化社会を逆照射しようとする試行が高く評価された。




<作者のプロフィール>
1980年東京生まれ。2001年東京工芸大学芸術学部写真学科入学。現在同大学4年次在学中。2005年4月アマナ所属予定。



[みね]

<高木美佳写真展内容>
偶然写した一枚の写真から祖母「みね」の撮影が始まった。
成人した作者が実家を離れて7年。痴呆が進み、遠い記憶の中に生きる祖母。
同じ時間を共有することで彼女の目線から見えるもの、感じるものを作者は体験し、作者にとって楽しい時間であった。
しかし深く、厳しい現実に直面することでもあった。撮影のために帰郷しても、彼女の機嫌が悪い時は撮影できないこともしばしばあった。また、最初はよくても途中で機嫌が悪くなると撮影できない。
本展のテーマは、痴呆と共に生きる祖母「みね」。そして「みね」と共に生きる作者とその家族たちである。モノクロ約30点。



<授賞理由>
過去の全ての記憶を失った作者の祖母のルポルタージュだが、作品の基層に流れるテーマは、空(くう)をみつめる祖母「みね」の純な瞳には何が映っているのか、何を眺めようとしているのかを、カメラで追うことで発見したいとする意志である。そのテーマに対する的確な表現が高く評価された。




<作者のプロフィール>
1974年埼玉県生まれ。95年日本写真芸術専門学校卒業。98年編集プロダクション写真部、写真事務所勤務を経てフリーランスとなる。98年、「chú」において第7回コニカ特別賞(新しい写真家登場 '97年度下半期ベスト1)を受賞。
写真展に、97年「chú」[新しい写真家登場](コニカプラザ)、98年「chú」[カレイドスコープ:90年代の女性写真家たち] 東京写真月間’98(新宿パークタワー1階 アトリウム)、99年「棄」[OBSERVER/1970年代生まれの写真家たち] (コニカプラザ西ギャラリー)などがある。
また、清里フォトアートミュージアム/ヤングポートフォリオに「chú」がコレクションされている。
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