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私のNIKKOR | MY FAVORITE NIKKOR

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Vol.
10

岸本 勉 × AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II

300mm f/2.8。追い続けるための片腕である。

メインカット

メインカット

・カメラ : D4 ・レンズ : AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II ・画質モード : 12ビットRAW(NEF)・撮影モード:マニュアル、1/2000秒、f/3.5 ・ホワイトバランス : オート ・ISO感度 : 400 ・ピクチャーコントロール : スタンダード

“敬意”。アスリートたちにレンズを向けるとき、胸の内にはいつもその思いがある。人間が己の肉体と精神の限界に挑むところにこそ、追い求めるものが見える。だからこそ“スポーツの瞬間”を独自の視点で撮り続けたい。

今回は世界でも屈指の急流と言われる、四国、吉野川でリバーカヤックの撮影に挑戦した。レンズは300mm f/2.8。非常に明るい大口径望遠レンズで、初めてこのレンズを手にしたとき、そのキレの良さに圧倒されたことを今もはっきりと覚えている。カメラボディーは高感度・高速性能に優れ、このレンズと相性のよいD4を選んだ。

作品2

作品2

・カメラ:D4・レンズ:AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II・画質モード:12ビットRAW(NEF)・撮影モード:マニュアル、1/2000 秒、f/4・ホワイトバランス:オート1 ・ISO感度:200・ピクチャーコントロール:スタンダード

300mm f/2.8とD4、これに加えて400mm f/2.8という装備が、ヨーロッパ、アジア、南米など、世界を駆けまわるこの仕事で常に行動を伴にする相棒たちである。吉野川での撮影ポイントは、水流の速さ、水の量、ドロップと呼ばれる落差ともこの川で最大級の場所であった。

人ひとりの小さなカヤックは一瞬で真っ白な激流にのみ込まれてしまう。海とはまた違い、荒々しいうねりとブレイクが猛烈なエネルギーによって永遠のように続く。岸には巨大な岩が立ち並び、足場は最悪だがそのおかげで変化に富んだアングルを得ることができた。

作品3

作品3

・カメラ:D4・レンズ:AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II・画質モード:12ビットRAW(NEF)・撮影モード:マニュアル、1/2000 秒、f/9・ホワイトバランス:オート1 • ISO感度:200・ピクチャーコントロール:スタンダード

取り回しがよく手持ちで軽快に動けることも300mm f/2.8の利点である。岩の上を移動しながら、ベストポジションを決めその場所で待つ。透き通る碧い清流を真っ赤なカヤックが最も大きなドロップに吸い込まれるように近づき、顎を開けて吼えるホワイトウォーターに突っ込む。その直前、爆発する白い飛沫の奥に、激流を鋭く刺すアスリートの眼を捉えた。

真っ赤なカヤックが白い怪物を切り裂く瞬間を確かに捉えた。これからも、肉体と精神の限界に挑むものたちを撮り続けていく ―― 私のNIKKORで。

INTERVIEW MOVIE

●閲覧するデバイスや回線速度に応じて解像度は調整される場合があります。

PHOTOGRAPHER

岸本 勉
岸本 勉(きしもと つとむ)

1969年、東京生まれ。スポーツフォトエージェンシー、フォート・キシモトのスタッフフォトグラファーとして活動した後2003年に独立し、PICSPORT(ピクスポルト)を設立。サッカーW 杯は1994年のアメリカ大会から、夏季・冬季オリンピックはともに1992年アルベールビル、バルセロナ大会より世界中のスポーツイベントを撮り続ける。日本スポーツプレス協会(A.J.P.S.)理事/国際スポーツプレス協会(A.I.P.S.)会員

プロフィール

NIKKOR

AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II
AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II

描写力を追求した大口径望遠レンズ

効果的にブレを軽減するVR II、ゴーストやフレアの少ない鮮明な画像が得られるナノクリスタルコートを採用。開放F値が2.8と明るい、プロフェッショナル愛用の大口径望遠レンズです。クリアーで抜けのよい画像に、迫力と緻密の共存する世界が広がります。

製品情報more
レンズ解説

BEHIND THE SCENE

撮影レポート
01
日本屈指の峡谷と世界有数の急流

四国の高知県と徳島県を流れる吉野川上流の“大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ)”が今回の撮影場所でした。「ぼけ」とは、谷の両岸に山が迫る険しい場所のこと。さすが、四国遍路の難所として名を馳せただけあって、周囲の山々に楔(くさび)を打ったような険しく深い谷の底を清流が蛇行しています。トロ場(流れがゆるやかな場所)と早瀬が幾重にも続く変化のある流れのため、リバーカヌーやラフティング(ゴムボートでの川下り)の名所として世界的にもその名が知られているそうです。暴れ川とも称される吉野川。数億年にもわたる年月、繰り返された氾濫によって、穿ち、削り取られた峡谷の岩肌。そして想像を絶する水の力が上流から運んだであろう巨岩・奇岩が荒々しく壮観な景色をつくりあげています。まさに、アスリートたちが肉体と精神の限界に挑戦するにふさわしい神聖な場所だと感じました。

02
取り回しのよい大口径望遠レンズ

谷沿いの道から川岸までは、相当な高低差があります。ほとんど山登り(山下り)のような状態での移動でした。時には道すら無くなり、大きな岩の上を伝ってようやく辿り着くことができます。まさにシークレットポイント。しかも機材は300mm f/2.8とD4。別に400mm f/2.8とD4に1.4倍のテレコンバーターも用意しての撮影です。近づくと川幅はかなりあって、カヌーの通る位置には容易に近づけません。迫力のある瞬間を撮るためにはやはりここまでの装備は不可欠。しかし、今回のメインとなった、300mm f/2.8とD4は、装着時のバランスがよく、また意外にコンパクトなため撮影時の取り回しはよいようです。岸本先生は手持ちで、足場の悪い岩の上を器用に移動しながらアングルを探していました。また、ナノクリスタルコート採用のため、逆光などを気にすることなく、ベストなアングルを探すことができたようです。

03
白い怪物に挑む、赤いカヌー

メインカットが撮影されたポイントは、吉野川、大歩危・小歩危の中でも、トロ場から川幅が急に狭くなる場所で、ドロップ(水の落差)が連なり、大きな岩が水流を複雑に変化させる難所。岸辺にはさまざまな岩が張り出し、新鮮なアングルでの撮影に臨めます。流れが激しく、ドロップによって生じるホワイトウォーターも巨大。轟音をたてて身をくねらせるその様は、まさに“怪物”でした。そこにパドルという鉾(ほこ)を持って果敢に切り込んでいくアスリートたち。岸本先生もレンズを手にシャッターをきり続けます。カヌーは一瞬で白い怪物に呑み込まれ、次の瞬間その腹を裂くように再び水面に浮かび上がります。それは、本当にまばたきする間の出来事。その中で今回の一枚が生まれました。真っ赤なカヌーが白い飛沫に突っ込む瞬間のドラマ。狙っていた顔へのフォーカスが見事に決まっています。そこには、この瞬間の先を射るアスリートの鋭い眼がありました。

こちらに掲載されている情報は、2013年7月現在のものです。

DATA

  • 撮影日: 2013.5.25・26
  • 写真家: Tsutomu Kishimoto
  • レンズ : AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II
  • カメラボディー : Nikon D4
  • キーワード :スポーツ
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