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PAGETOP
Vol.
14

小山航平 × AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

58mm f/1.4。記憶の中のイメージを捉えた。

14
自らの持つイメージを写真として定着させたい。通常は複数の撮影フィルムを暗室内で必要なパーツごとに製版用フィルムに落とし込み、最終的に複数のフィルムを重ねて一枚のイメージに仕上げる、アナログ合成という表現を用いている。しかしこの作品では一回の撮影、一枚の写真だけで表現することにこだわった。テーマは都市の夜景である。レンズはf/1.4と明るく、開放側でも点光源の描写に優れた新開発の58mm。カメラボディーには卓越した高感度性能を持つD4を選んだ。
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メインカット

・カメラ : D4 ・レンズ : AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G ・画質モード : 14ビットRAW(NEF) ・撮影モード:絞り優先オート、8秒、f/4 ・ホワイトバランス : 晴天日陰 ・ISO感度 : 100 ・ピクチャーコントロール : スタンダード

作品2

・カメラ:D4・レンズ:AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G・画質モード:14ビットRAW(NEF)・撮影モード:絞り優先オート、2 秒、f/4・ホワイトバランス:電球 ・ISO感度:100・ピクチャーコントロール:スタンダード
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市街地やコンビナートの夜景も撮影したが、メインの被写体は、生まれ育った神戸に近い芦屋浜にある高層住宅群(芦屋浜シーサイドタウン)と決めていた。1979年に竣工したこの高層建築は、当時では画期的なプレハブ工法によるもので、非常に実験的なプロジェクトであったという。その事実を裏付けるかのように、今でもまるで未来からタイムスリップしてきたかのような景観である。この不思議な姿を幼いころから目にしていた。あの頃の記憶をもう一度呼び覚まし、理想のイメージとして定着させるために、雨上がりのクリアーな視界、表情豊かな雲、空に色彩が残る日没直後、海面に起こる表情を狙うための満潮時などの条件を設定し、撮影ポイントに何度も足を運んだ。
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何日もそれぞれの条件が最高の状態になる瞬間を狙い続けた。そして台風が過ぎ去った日の、風が強い夕刻、この一枚を撮影することができた。高く、低く幾重にも流れる雲が空を覆い、満潮に向かう水面にはさまざまな色彩の光が反射する。そして偶然にも、魚の群れによるさざ波がさらに水面に表情を与えてくれた。まるで合成で作り上げたイメージのように、理想の瞬間が重なり、ひとつの情景となった。幻想的な空と水の間に、無数の点光源に囲まれた高層ビル群が静かに横たわる。これからも自らの内なるイメージを表現し続けていく
―― 私のNIKKORで。

作品3

・カメラ:D4・レンズ:AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G・画質モード:14ビットRAW(NEF)・撮影モード:マニュアル、1.3 秒、f/4・ホワイトバランス:オート1 ・ISO感度:100・ピクチャーコントロール:スタンダード

INTERVIEW
MOVIE

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PHOTOGRAPHER

小山航平(こやま こうへい)

NIKKOR

AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

BEHIND THE SCENE

撮影レポート
01
記憶の中にある不思議な景観

  • 芦屋浜の対岸に位置する場所へ到着


  • 撮影ポイントを決めセッティングを開始

神戸生まれの小山先生。夜景撮影というテーマが決まってから京阪神地区のさまざまな場所をロケハンしてくださいました。有名な六甲山からの神戸市街の夜景や、大阪の港湾地域のコンビナートなどそれぞれに魅力的なロケーションでした。しかし先生には今回の撮影に際して心に秘めた特別な場所があったのです。それが、芦屋浜シーサイドタウン。1979年に竣工したこの高層住宅群は工業化工法(プレファブリケーション:プレハブ)と呼ばれる当時の最先端技術を駆使したものでした。その姿は今でもまったく古さを感じさせません。むしろ近未来都市のような印象を放っています。小山先生は幼いころからその景観を目にしており、今回ぜひ取り組みたいと考えていたそうです。撮影ポイントは被写体の対岸に位置する場所。正面に見える高層建築群が、まるで水面に浮かんでいるようにも見えます。
02
点光源をすみずみまで正確に捉えた、58mm f/1.4

  • D4+AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G+DR-5


  • アングルファインダーを覗きながら調整を行う

今回のレンズは、AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G。開放絞りでも画面のすみずみまで点光源を正確に捉える非常に優れた大口径レンズ。まさに今回のような夜景撮影に最適な一本です。さらに、なめらかで自然なボケ味を特徴とし、ポートレート撮影などでも前後の美しいボケによって人物を活かした心地よい表現を可能とします。小山先生も「ポートレートも非常にいい」との評価でした。カメラボディーには、幅広い撮像感度域で安定した性能を発揮するD4を選択。まさに万全の態勢で撮影に臨みました。三脚に機材をセットした後、構図を決める際、小山先生は変倍アングルファインダーを装着しました。昔から中判カメラを使い続けているため、構図決めや微妙な調整はこの方法が最も馴染んでいるそうです。変倍アングルファインダー DR-5は、垂直方向からファインダー像を見ることができ、全視野が見える1倍と、より精密なピント確認が可能な2倍を選択できます。
03
日没後に訪れる、ほんのわずかな理想の瞬間

  • いよいよ日が暮れ、撮影が始まった


  • 空の表情が無くなる寸前まで撮影は続く

決定作品を撮影した日は、このビハインド・ザ・シーンを撮らせていただいた日とは違いましたが、この日の撮影でも日没直後から空の表情、水面に映るイルミネーションなどが刻々と変化し、不思議な空間をつくりあげていました。その変化を見きわめながら、長時間露光で静かに撮り続けます。やがてすっかり日が落ち、肉眼ではほとんど真っ暗に近い状態になりました。しかし、ライブビュー画面に映し出される画像は、点光源を纏った高層住宅群とそれを取り囲む美しい風景を見事に捉えています。「このレンズの持つ驚くほどのシャープさが、イメージしたとおりの世界を表現する大きな力になってくれる」と小山先生はおっしゃっていました。そして、さらにしばらく撮影を続け、夕刻から夜へと時間が経過したころ「そろそろ、空の色がなくなりますね」とつぶやき。「この、わずかな瞬間がとてもいいんですよ」と教えてくれました。

こちらに掲載されている情報は、2013年11月現在のものです。

DATA

撮影日: 2013.10.9
写真家: Kohei Koyama
レンズ : AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
カメラボディー : Nikon D4
キーワード : アート
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