Nikon

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周辺まで像が美しく保たれていて夜景撮影には最適のレンズだ

AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRの実力を試すために選んだ場所は、常夏のシンガポール。湾岸部を中心にユニークな建築物が建ち並び、独特の都市夜景を形成している東南アジアの国である。私が最初に確かめたかったのは画質だ。D810にAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRを装着して撮影した画像をチェックすると、画面の隅々までシャープかつコントラストの高い描写で、格段に画質が向上していることが実感できた。「ED非球面レンズを使用することで、各種の収差を効果的に抑えている」という触れ込みどおり、夜景写真のクオリティーを高めるうえで重要なコマ収差の補正も良好。画面周辺の点光源が流れることなく丸く描写され、フチに発生しやすい偽色もほとんど感じられない。点光源が多い夜景写真にとって、ED非球面レンズの効果は絶大といってもいいだろう。このレンズのお陰で今までより数段、質の高い夜景写真を撮ることができるようになった。夜景撮影では三脚が立てられない場所も多く存在する。有名なマーライオンパークの広場もそんな場所だ。ここは常にたくさんの観光客であふれ、また細かい霧状の水しぶきが飛んでくるので、三脚をじっくり構えるというよりは素早く撮影したいスポット。手前から奥までシャープに写そうと思い、絞りをF8に設定するとシャッター速度は1/4秒になったが、VR機構のお陰でぶれることなく撮影することができた。この強力なVR機構は、三脚が立てられない場所や立ち位置が動く船上など、さまざまなシチュエーションで効果を発揮し、夜景撮影の表現領域を大きく広げてくれるだろう。さらに、このVR機構だが、ニコンでは望遠系のレンズにしか搭載されていなかった三脚の微振動を軽減してくれる「トライポッドモード」が搭載されている。手持ち撮影と三脚撮影を切り替えるときに、いちいちVRをオフにしなくていいので、大変便利な機能だ。ほんの数日間の撮影であったが、このレンズの画質の素晴らしさと“夜のスナップ”における新たな表現の可能性に胸を躍らせる有意義な旅となった。


丸田あつし(まるた あつし)

1968年生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業、同大学院中退。1994年にデザイン会社(有)マルタアドバタイジングに入社。グラフィックデザイナーに加え、夜景フォトグラファーとして本格的に活動をはじめる。 現在、世界各地の夜を撮影することをライフワークに写真雑誌・週刊誌グラビア・写真展などで活動中。実兄である夜景評論家・丸々もとおとの夜景関連出版物の全撮影を担当。2014年からはパナソニック株式会社の事業カレンダー『世界の街とあかり 人・くらし・街』の撮影を担当。写真集に『亜細亜ノ夜景』(河出書房新社)『世界ノ夜景』(ダイヤモンド社)『世界夜景』(中国語・繁体字版/大売文化有限公司)『夜光列車』(光村推古書院)『夜城』(世界文化社)『日本の夜景』『東海道夜景五十三次』(エンターブレイン)『最新版 日本夜景遺産』(河出書房新社)『LIFESCAPE〜息づく夜景』(角川書店)など。写真展に「SUPER NIGHTSCAPE」(ギャラリー 1/f)「癒しの下町夜景写真展」(東京電力TEPCO浅草館)「Silhouette(シルエット)展」(ACギャラリー)「東海道夜景五十三次展」(テレコムセンター展望台ギャラリー・サンシャイン60展望台ギャラリー・にいざほっとぷらざ)「世界の夜景写真展」(平林寺・睡足軒)「世界の夜景」(コニカミノルタ・満天ギャラリー)「世界の街角夜景」&「日本の夜景ベスト30展」(サンシャイン60展望台ギャラリー)「香港夜景写真展 COLOR OF WONDER」(六本木ヒルズ・ ヒルズカフェ)「写真で彩る“夜のきらめき”」(東京ミッドタウン・FUJI FILMSQUARE PHOTO IS)「世界夜景写真展」(大阪府咲洲庁舎展望台52階アルタヴィスタ)など。 公益社団法人 日本写真家協会会員。「夜景フォトグラファー・丸田あつしの公式サイト」http://www.nightonearth.jp/

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『デジタルカメラマガジン』2015年10月号掲載記事より