ワークス Vol.40 クローズアップスピードライトコマンダーキット R1C1 |

ワイヤレスリモートスピードライト(SB-R200)2台と手元での集中設定を可能にしたコマンダー(SU-800)をセットにし、プロのライティング環境を手軽に再現できるようにした「クローズアップスピードライトコマンダーキット R1C1」。今回は開発スタッフ2名の熱い想いをご紹介します。
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松井 秀樹 (まつい・ひでき) 映像カンパニー 開発本部 第一設計部 第五設計課マネジャー 入社後、現在までスピードライトの開発に携わる。その間、多くの陸上用スピードライト、SB-104やSB-105などの水中スピードライト、アクセサリー、制御用カスタムICの回路設計等を担当。趣味は、写真を撮ること。「以前は家族写真が多かったのですが、最近は旅行や料理など日常風景を撮影する機会が増えました。なにげない出来事もアングルを変えるだけで新しい発見になります、その想いをR1C1で実現したかったのです。」 |
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陳 照祥 (Chen Zhao Xiang チェン ジャオ シャン) 映像カンパニー 開発本部 第一設計部 第五設計課 副主幹 中国の大学を卒業し、北京の電力関係の研究所に勤め、その後日本の大学院に留学。卒業後1996年に株式会社ニコンに入社し、その間、約10機種のスピードライトの開発と電気回路設計を担当。「師匠である松井に教わってスピードライトの奥深さがわかってきたところです。」 |
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アクセサリーを同梱したスピードライトのキットは、斬新な企画ですね。
「クローズアップスピードライトコマンダーキット R1C1」とは、どんなものなのでしょうか? 松井 「クローズアップ撮影用のスピードライトでは従来のSB-29sのように、ケーブルでつながれていてレンズの左右あるいは上下に2灯の発光部を設定するのが一般的でした。ところが、スタジオでの商品撮影などをされるプロフォトグラファーは『このような専用スピードライトは使っていない、クローズアップ撮影で綺麗に撮るならトップライトを入れた3灯が基本だ』と皆さんおっしゃるのです。そこで、ワイヤレスでのリモート発光やグループ制御ができるニコン・クリエィティブライティングシステム(CLS)の仕組みを採り込み、スタジオ撮影のノウハウを卓上で再現できるよう、できるだけコンパクトにまとめたのがR1C1です。」 内容物が非常に充実していますが、この構成にされた理由は?
陳 「クローズアップスピードライトキットケース(SS-MS1)ですが、R1C1に含まれるSB-R200は2灯なのに、ケースには3セット分の収納スペースがあります。普通、ケースではきっちり入るように作りますが、ここでも『3灯が基本』を守りたかったのです。より上を目指すお客様は3灯にされるでしょうから。」 松井 「最近は、個人の方でもインターネットオークションへの出品などでクローズアップ写真を撮る機会が増えていますよね。オークションでは、写真の美しさによって入札価格が大きく違ってくるといいます。撮影シーンを考えると、どんどんモノが増えてしまうのですが、3灯のスピードライトで綺麗な写真を撮って欲しいのが、望みなのです。」
松井 「撮る人は2灯では満足できないですよね。左右の2灯と、トップライトに1灯を入れて影を消すのが一般的なやり方で、クローズアップ撮影でプロの方は被写体の正面からスピードライトを光らせることは絶対にしません。長年、スピードライトを開発してきた私が言えることではないのですが……、つまり、スピードライトは、本来、カメラのホットシューに直接装着するように作ってはいけないのではと?(笑)SB-R200でワイヤレスにこだわったのもその点です。」 |
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SB-R200をワイヤレス化した理由を教えてください。
陳 「SB-29sの改造品を使って、発光部を離すとどのようなことが可能になるのか、どこに問題があるのかなどを徹底的に調べて、ケーブルにしよう、いやワイヤレスにしようと半年ばかり議論をしていました。SB-29s のように発光部をリング状の支持具に固定しようという案もありましたが、それでは片方を下に動かすと、もう片方は上に動いてしまい、光量バランスやライティングの設定効果などが崩れてしまいます。その上、ケーブル接続の場合使い勝手の良さにも欠けてしまいます。ですから従来のマクロ撮影専用スピードライトの固定概念にとらわれずに『ワイヤレス』にして個別に『自在に』動かせるようにしたわけです。」 松井 「開発者としては、やはり多くのユーザーに使ってもらえる製品を作っていきたいのです。ところがクローズアップ撮影は専門性が高いためか、今までユーザーに敬遠されることが多かったのです。一般の撮影にも使えるスピードライトとして展開するためにも、CLSを使いたいという考えがありました。CLSならば、私たちがやりたかった3灯以上の撮影もできるため、結果的にワイヤレスになったとも言えます。」 ワイヤレス化を達成するのに難しかったところは?
陳 「もうひとつ、SB-29s の後継というのも大切でした。同価格帯に抑えるように検討したのですが、ケーブル方式よりもワイヤレス方式のほうがどうしても高コストになってしまいます。最終的にはワイヤレスのメリットを選択したわけですが、この価格で受け入れてもらえるのかが心配でした。開発スタッフが総力を挙げて、低コスト化のために部品点数を減らし、限られた電池のパワーで発光回数を多くするように低消費電流回路を設計して、堅牢性を保ったまま贅肉を徹底的に削っています。幸い被写体の近くで発光するクローズアップ用スピードライトですから、高いガイドナンバー(光量)は要求されません。極力小さなコンデンサや入手しやすい小型リチウム電池(CR123)を採用しています。」 なぜアタッチメントリングが大きいのか? と思っていましたが、細かいこだわりなのですね。
松井 「リング上の移動も片手で楽に行えますし、着脱も容易にしてあります。というのも撮影中にすっと外して、好きな位置で迅速に撮影を続けて欲しいからです。このときにケーブルがあると、場所はある程度自由になってもケーブルが写りこんだり、影が出てしまったりしますよね。長年、スピードライトの設計に関ってきましたが、このR1C1は何か違う、わくわくする感じがします。ユーザーの方々にお話をうかがっても、使っていただいて楽しいとおっしゃっていただき、ほっとしています。」 |
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