talk! talk! talk! : フォトグラファー、モデル 東野翠れんさん |
|
モデルの仕事はいつ頃から始めたのですか?
最初は、中学生のときに通っていた美容院の美容師さんに声をかけられて雑誌の撮影に参加させてもらったんです。もともとモデルもあまり興味がなかったんですが、その美容師さんが好きだったので遊びのような感覚でたまにやるぐらいだったんです。でも原宿を歩いているときにひろみちゃんに偶然声をかけられて、「ファッション雑誌でモデルをやらない?」って言われて。その仕事をきっかけにモデルとしてよく声を掛けていただくようになったんです。 モデルにもともと興味がなかったのですね。
そうですね。モデルというイメージが凄く “メディアに出てる”という感じがして、雑誌に出ることが自分にとっていいことなんだろうか、いい影響を与えるんだろうかって考えてしまって。結果的にひろみちゃんに声を掛けられたことが良かったんだと思います。彼女となら何か面白いことが始まりそうな予感がして、それまで躊躇していたけれどやってみたら凄く楽しかった。 HIROMIXさんとの出会いはとても大きなものだったんですね。
そうですね。不思議ですけど、人との出会いにはこれまで本当に恵まれてきたなぁと思います。その人たちなしではやって来れなかったと思うし、やる気もなくなっていたんじゃないかな。 私は、仕事だからといって自分の表現を変えたり無理したりすることがあまり得意ではないんです。たとえば必要のないところで無理にポーズをつけて撮影しなくちゃいけないとか、ポージングをたくさんしてと言われても、だったらもっとカッコ良くできる人に頼めばいいのになと思うし。でも、これまでそういうことはほとんどなかったんです。ありがたいことに、私の“楽しいな”“面白いな”という気持ちを表現できる仕事が多くて、それは周りの人に本当に恵まれているんだなと思います。 学校を卒業されてからは事務所などに所属せず、フリーという形でモデル、フォトグラファーといろいろな活動をされているんですね。
はい。フォトグラファーもそうなんですが、モデルもやりたくてやりたくてという感じでもなかったし、今も執着心があるわけではないんです。でも、高校生のときにそういう出会いがあって、写真にしろ雑誌にしろ、何かみんなでモノを作るということは凄く楽しいと思ったし好きになりました。 本当は、高校を卒業してから写真の専門学校や大学に行こうかと思っていろいろ探したんです。でもどの大学もしっくりこないし、写真の専門学校に行って今まで自由に撮っていたものが型にはまってしまうかもしれないと思うと恐かったんです。だったらモノを作る楽しさを追求したいというか、社会勉強のような気持ちでこの仕事を続けてみようと思って今に至るという感じですね。
|
|
先日初の写真集が発売されたそうですね。
はい、これまで撮った写真をまとめて、それに自分で文章を書き添えました。 なぜ写真集を作ろうと思ったのですか?
2週間もあればまとまる気がするなんてうっかり言ったものの、迷いに迷って結局1年ぐらいかかってようやくできたんです。あまりにも手間と時間をかけたので、やっとという思いよりもとうとう出てしまったという感じなんです。寂しいし恐いし、もう出なくていいのにって思うぐらい(笑)。 膨大な写真の中から掲載するものを選んでいくのは大変な作業なんでしょうね。
何かテーマを決めて選べば早くまとまるかなとも思ったんですが、無理矢理テーマを決めたら自分の感じとは違う方向に向かっていってしまったので、テーマを決めずに感覚だけをたよりに選んで流れを作りました。まずそれに数カ月かかって……凄く大変な作業でしたよ。 タイトルの「Lumiere(ルミエール)」にはどのような思いが込められているのですか?
フランス語で“光”という意味です。日本語の“光”や英語で“ライト”というと意味が限定されてしまうと思うのですが、直接的な光のイメージではなくて、私が見ていたいものという気持ちを込めてつけました。 それから、この写真集は“流れ”だなと思ったんです。映像みたいに絵が流れているというとニュアンスが違うけれど、最初にカラーコピーで本の構成が出来上がったのを見たとき、私が5、6年撮ってきたものがこうしてこの1冊に、ひとつの流れになってまとまったんだなと凄く思って。本にならなくても、もうこのカラーコピーでいいって思ったぐらいうれしかったですね。 翠れんさんが撮り続けて来た、見続けて来た数年間がそのまま込められているんですね。
本当にそうだと思います。カメラは旅行にも仕事にもいつでもどこでも持って行ったし、家の中でも撮っていたし、私の生活の一部でしたから。 写真を撮り始めた頃のことで、今でもたまに思い出すことがあるんです。カメラのことなんて何もわからなかった頃、プリント代0円でできるからって近所の本屋さんにフィルムを出して(笑)、2日後ぐらいに上がったものをワクワクしながら受け取って、帰り道にすぐ袋を空けて見ながら帰るんですよね。そのときに、自分の写真を見てドキドキしたんです。自分の写真を見てちょっとドキドキしてうれしくなったり興奮したりするようなこの感じを、これから先もずっと持てたらいいなって思ったのを覚えているんです。写真に限らず、モノ作りをする上で凄く大切な感覚なんじゃないかと思うし、この先もその気持ちを持てるような自分でありたいというか、そういうことをしていきたいと思います。 |
|
翠れんさんにとってのカメラ、写真とはなんですか?
ご飯を食べるときに彩りがかわいいなと思ったら食べる前にまずカメラカメラって思ったり、朝起きて雪が降っていたら撮らなくちゃと思ったり……さっきも言ったように生活の一部ではあると思うのですが、何かというはっきりした言葉は出てこないです。でも、たとえば絵を描くのが好きな子供は何も考えずにとにかく何か描いているでしょう? それと似たような感じではないかと思うのですが……。 では、写真を撮る一番の面白さは何ですか?
一番の面白さ……。目に見えているものを撮っているのに写真にすると違って出てくるところとか、ピントも露出も思い通りにはいかないところも面白かったし、ああしてみようとかこうしてみようとか考えたり、ちょっとしたことなんですけど……。あの、何でしょうか、うーん。すみません、よく分かりません(笑)。 理屈で考えるより、撮ることがただ好きで楽しいというような感じなのですね(笑)。
そうなのかもしれないです。でも、ただ楽しく撮るというだけではなくて、写真は何かを写すものだから撮ることで何かを伝えていくべきなのかなとは思います。たとえば戦場カメラマンはその現状を伝えるという目的があって撮っていて、写真というメディアを通して強い意志を伝えようとしている人もいるわけですよね。戦争ということでなくとも、今自分が生きている環境の中で疑問に思うことや何かを感じることがあって、それを写真で伝えることがもしできるのならば、私も伝えていくべきなのかなと……。 写真に何かメッセージを込めたいという思いがある?
できればいいなと思うんです。何かはっきりとしたメッセージが撮れるかというと、それは自分の写真ではないと思うので今はまだ撮れません。伝えたいこともはっきりしたものはないんです。でもせっかく生きているわけだから、楽しんだり悲しんだりするこの気持ちを持って撮る、写らなくてもそういう気持ちを込めて撮ることが大事だと思います。
|






