Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.37 Capture NX

全世界で愛用されているフォトフィニッシングソフトウェア「Nikon Capture 4」の後継として市場に登場する「Capture NX」。革新的な操作性と豊かな表現力がデジタル写真編集の新たな可能性を感じさせる、と評判のソフトウェアについて開発者の想いに迫ってみました。

木村 啓太 (きむら・けいた)

映像カンパニー開発統括部第一設計部第四設計課マネジャー
1985年入社後、電子スチルビデオカメラの電気系統、測光回路等の開発に携わった後、写真電送機の電気系統、フィルムスキャナーのハードウェアおよびファームウェアの開発担当を経て、1994年に発足したソフトウェアの開発グループに参加。以来、一貫してソフトウェアの開発に携わる。プライベートでは、スポーツクラブでエアロビクスを楽しむ活動派。

次世代フォトフィニッシングソフトウェア「Capture NX」誕生。部分編集という新たな機能を加え「Nikon Capture」から大幅にパワーアップ。

満を持して発売される「Capture NX」。

「Nikon Capture」の後継となる「Capture NX」がいよいよ発売となります。まずは、今回の製品が「Nikon Capture」のバージョンアップではなく、名称も新たな新製品として発売されることになった経緯についてお聞かせください。

「両製品ともに、デジタルイメージを編集するソフトウェアであるという本質は変わりません。現像処理や現像後の編集処理をするための製品という定義は一緒です。ただ、今回、U Point™テクノロジーという新技術を搭載することにより、これまで「Nikon Capture」では行えなかった部分的な編集が簡便に行えるようになりました。これはニコンの写真編集ソフトウェアにとって大きなブレークスルーであり、名称も変え、新製品として市場に打ち出そうという戦略を決定づける原動力になったと考えています。」

なるほど。かなり画期的な製品のようですね。

「そうですね。操作の簡単さという面では非常に革新的だと思います。部分的な編集を行うためには、その編集したい部分をまず選択しなければならないですよね。例えば、被写体の顔に編集を加えたいと思った時、画像データには「ここが被写体の顔だ」という情報は含まれていないわけですから、編集したい人間がその部分を選択していく必要があるわけです。従来の画像編集ソフトウェアでは、この選択をするためにはマウスなりペンツールなりを使って編集したい部分の回りに枠を作っていかなければならない。さらに形通りに枠を作るのは難しく、補正をしながら選択していかなければならないということで、非常に手間がかかります。Capture NXが採用しているU Point™テクノロジーというのは、これを自動化する技術です。顔の部分を選択したければ、顔のどこかをワンクリックするだけで自動的に全体が選択されるため、複雑な操作はいっさいなしで、簡単に部分編集を行うことができるんですよ。」

「Capture NX」の「NX」にはどういう意味があるのですか?

「「連携」という意味を持つ「Nexus(ネクサス)」という単語の省略形で、撮影するためのハードウェアであるカメラと、それに付随するスピードライトや交換レンズなどのアクセサリー類、さらに撮った後の画像を楽しむためのソフトウェアといった、デジタル画像のための一連のシステムを連携させるツールという、製品のポジショニングを表現しています。」

名称から「Nikon」が外されていますが、これには何か理由があるのでしょうか?

「一つには、「Nikon Capture」の認知が市場である程度確立されており、最近では「Capture」として親しまれるようになってきていたため、あえて「Nikon」という冠にこだわる必要はないだろうという判断がありました。「Nikon Capture NX」となると、名称としては長すぎるのでシンプルにしたいという意向も強かったですしね。更に、ニコンで撮影した画像専用のソフトウェアというイメージを持たれたくないという意識もありました。」

確かに、JPEGやTIFFファイルに対応しているということは、どんなカメラで撮影した画像でもこのソフトで編集作業ができるということになりますね。

「もちろんです。将来的には、より汎用性を高めていくことも考えています。」

直感的な写真編集を可能にするU Point™テクノロジーが、既存の画像処理の概念を根本から変革する。

今回の開発にあたっては、米国のNik Software, Inc.との共同作業もあったとうかがっています。Nik Software, Inc.というのはどのような会社なのですか?

「もともとは、光学フィルターのシミュレートソフトウェアの開発で有名になった会社です。たいへんユニークな技術を持った会社で、偏光フィルターの効果や様々なモノクロのニュアンスをデジタル処理で演出するといったフィルターのシミュレートの他にも、ペンタブレット用にドライバーソフトや筆圧に応じてブラシの描画を調整するエンジンなども開発しています。「Nikon Capture」や「PictureProject」のプラグインとして販売されている「nik Color Efex™ Pro」もNik社の開発した製品です。」

「Capture NX」の開発にあたって、パートナーシップを組むことになった経緯を教えてください

「Capture NX」の大きな魅力の一つ
は、編集したいエリアを指差すよう
な感覚で選択できる、直感的な操
作性。

「もともと、ニコンは、「Nikon Capture」開発の資産としてのRAWデータの現像処理技術には、かなり自信を持っていました。ただ、その概念があくまでも写真を仕上げる「現像処理」というところにあったので、これまでは画像全体の処理しかできませんでした。部分的な編集という要素を取り入れていこうという意向が固まりつつあるところへ、Nik社が画像の上にポイントを置くだけで部分選択が可能になるU Point™テクノロジーを紹介してくれたのです。まさにそれは「Nikon Capture」が必要としていた技術であったため、パートナーを組んで次世代の「Capture」を作ろうという方向に話が進んでいきました。」

なるほど。U Point™テクノロジーがパートナーシップおよび「Capture NX」誕生のきっかけになったわけですね。

「先ほども少しお話ししましたが、このU Point™テクノロジーを使うと、被写体の顔を編集したいと思ったら顔上のどこかをクリックするだけで、画像上の肌の部分を全て選択することができます。プリントされた写真を指差して「この顔がね」と言えば、その指差している部分が一部でも話しかけられた相手は顔全体のことを話しているのがわかる。それと同じ感覚で画像の選択、編集ができるので、私たちはその操作性を「直感的」と表現しています。細かな調整もスライダーを使って行える等、写真編集にあまりなじみのない方でもわかりやすく使いやすい、画期的な技術です。」

直感的な操作性とは、なかなか興味深いですね。

「U Point™テクノロジー以外にも随所にこのコンセプトは活かされていますよ。例えば、シャープネスを強めて画像の解像感を高めたいというような場合でも、ブラシを使った部分編集を行えば、調整したい部分に絵筆を使って書き込んでいくような直感的な編集が可能になります。筆圧調整の併用により、シャープネスの強さも部分部分で簡単に調整できます。」