Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.33 ワイヤレストランスミッターWT-2

デジタル一眼レフカメラでの撮影画像データの無線LANによる高速転送や無線カメラコントロールを可能にするワイヤレストランスミッターWT-2。デジタル撮影の可能性を広げる新発想のアクセサリーとして注目を集める製品の魅力を、商品企画担当者の視点からご紹介します。

川路浩平 (かわじ・こうへい)

映像カンパニーマーケティング統括部所属
1993年入社。設計者としてF5、F100、F80、F6などの銀塩系一眼レフカメラの開発に携わった後、商品企画部門に異動し、現在は一眼レフカメラ上位機種やスピードライトのマーケティングを担当。自らも写真を趣味とし、中学時代以来常時何かカメラを携帯している。「企画する人間はユーザーとしての視点・経験が必要」が信条。運動不足解消の為、水泳を励行しているとのこと。

デジタル撮影の利便性を飛躍的に向上させるワイヤレストランスミッター。開発のきっかけはユーザーの声に。

画像データの無線転送を可能にするWT-2。カメラ本体
の底部に取り付けて使用する。
カメラと一体になる構造は、機動力が重要となる報道の
現場で高い評価を受けている。

今日はワイヤレストランスミッターWT-2を中心にいろいろお話をうかがえるということですが、まず、この製品の概要を簡単にご説明いただけますか。

「ワイヤレストランスミッターWT-2は、無線LANにより撮影画像データをカメラからPCに転送する製品で、D2X/D2Hsへの装着が可能です。従来は撮影した画像データをPCに移すためには、カードリーダーを使用してのデータ受け渡しやUSBケーブルなどでカメラ本体とPCを接続する必要があったわけですが、ワイヤレストランスミッターをカメラに取り付けておけば撮った瞬間から画像データをPCに転送していくことができますし、撮影者の行動範囲をPCと接続したケーブルの長さで制限させることもありません。画像データを送信した後に、メモリーカード内のデータを自動で削除する機能を搭載していますし、PTP/IPモードでの通信の場合には、カード無しでも撮影・転送できますので、メモリーカードの空き容量を気にする必要もなくなるという利点もある製品です。」

なるほど。便利そうですね。

「今度発売になるWT-2の前身としてWT-1という機種が2003年に発売されているのですが、当時はこういった発想の製品が市場には全く出ておらずゼロから自分たちで構想を練りました。今回のWT-2ではそのWT-1の経験をフィードバックし、大幅な機能と使い勝手の向上を行っています。」

製品カテゴリー自体が全くのオリジナルということですね。そのような提案型の製品を開発しようというきっかけはどういうところにあったのですか?

「例えば、大きなイベントなどで、プレスセンターに戻って画像データを渡すということでは、せっかくのデジタルの速報性が損なわれます。また、有線で送信しようとすると、接続端子のあるところまで行く必要がありますし、有線LANの設置は大変な労力を伴います。そこで、もし無線LANのアンテナをプレスセンターの近くに立て、フィールドから一気に送信出来れば相当の時間と労力の節約になるのではないか?また、プレス基地にカメラマンが戻れない山上の現場やヘリコプター上などから画像データを無線送信出来れば便利ではないか?という報道要望を具体化したのが最初のワイヤレストランスミッターWT-1で、D2Hのアクセサリーとして開発し2003年にD2Hと共に発売しました。報道要望があるとはいえ、形態とか機能など実際用いられるであろう状況を想像しながらの企画でした。」

新発想の製品に対する市場の反応はどんなものだったのでしょう?

「オリンピックやテニスのウィンブルドンなどの大きなスポーツイベントでは、昨今、テロ防止のために試合が始まったら指定された取材位置からの移動を制限されたり、パソコンの持ち込みが制限されるなど規制が厳しくなっているのですが、WT-1を使ったカメラマンからは取材位置からプレスセンターにリアルタイムで送信できて便利だったという感想をいただきました。
 また、思いがけなかったのは、スタジオ撮影をメインになさるお客様からも、電源などのコード類は1本でも少ない方が有難いなどの観点から大きなご興味を持っていただいたことですね。
 WT-1は画像データの送信をするだけでしたが、無線でのリモートコントロール機能も入れて欲しいとの要望も出てきましたし、「もっと接続設定を簡単にして欲しい」とか、「もっと高速で転送したい」などの改良要望もいただきました。  世の中にない種類の製品を出すに当たっては、手さぐり状態の感もありましたが、WT-2の開発にあたってはWT-1で市場からいただきましたご要望や反響を生かすことが出来たのは、大きな収穫でしたね。」

速い。簡単。便利。満を持して発売されたWT-2が提供する価値。

今回発売のWT-2は前身のWT-1から大幅に機能アップされたということですが、具体的にはどんなところが変わったのですか?

「第1に、FotoNation社の開発したPTP/IP(Picture Transfer Protocol over Internet Protocol)の採用と、PTP/IPと組んで接続設定をサポートする「ワイヤレスコネクティングユーティリティー」の同梱により、無線LANへの接続設定が非常に簡単になりました。WT-2ではPTP/IPを基本として、ニコン独自にデジタルカメラへの応用を行いコンピュータとの間で画像転送を実現しました。なお、WT-1では、FTP(File Transfer Protocol)のみでの画像転送でした。
 第2に、IEEE802.11g規格に対応したことで画像転送速度が飛躍的に速くなりました。IEEE802.11gで通信が確立した場合、WT-1の対応規格であったIEEE802.11bでの通信に較べて、理論的には約5倍の速度で転送することが可能です。  第3に、画像処理ソフト「Nikon Capture 4(ver4.2)」のカメラコントロール機能でのワイヤレスコントロールが可能になりました。
 大きなポイントはこの3つになります。」

進化を遂げたWT-2ですが、手応えはいかがですか?

WT-2と「Nikon Capture 4(ver4.2)」を組み合わせて行
うコンピュータからの撮影操作は、デジタル撮影の
領域を大幅に広げる。

「一番手応えを感じたのは、接続が簡単になったことでしょう。WT-1に対しては、ネットワークに詳しくない人には接続設定が難しすぎるという声があり、今回のWT-2ではそれをどうやって改善していくかが重要なポイントとなっていました。PTP/IPの採用と「ワイヤレスコネクティングユーティリティー」の同梱に加え、使用説明書やウェブでも使い方もWT-1のとき以上に判り易く解説するようにしたので、あまりネットワーク関係の知識のない方でも抵抗感なくお使いいただけるようになったのではないかと感じています。」

「Nikon Capture 4」のカメラコントロール機能の使用が可能というのもかなり魅力的に聞こえますね。

「そうですね。もともとカメラコントロールというのは、「Nikon Capture 4(ver4.2)」をインストールしたパソコンと対応するカメラをUSBケーブルなどでつなぐことで、露出モードや画質モードをはじめとする様々な設定や操作をパソコン側でコントロールする機能です。WT-2では、この機能をワイヤレスで実現可能ですので、例えば鳥の生態を撮影したい時に、巣の近くにカメラを設置して実際のコントロールは鳥を驚かさないように離れたところで行う、など、撮影シーンによって様々な使い方が考えられると思いますね。この様な使い方の場合にも、WT-1から採用しておりますカメラ一体形式は便利と思います。」

撮った画像データを送るだけではなくて、撮影操作も可能なのですね。

「その通りです。アテネオリンピックの時にWT-1を付けたD2Hを水中ケースに入れてプールに沈めて、コードでアンテナだけをプールサイドに出しておいて選手の泳いでいるところの水中写真を転送したカメラマンがいました。このときはWT-1でしたからシャッターレリーズは別のケーブルを介して行ったのですが、もしこれがWT-2とD2XやD2Hsの組合せであれば、シャッターレリーズやAF・露出操作もワイヤレス操作でできたことになりますね。」