Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.22 Nikon U2

本格一眼レフカメラの高性能を、小さなボディにギュッと詰め込み、初心者でも気軽に使える簡単操作が魅力の「ニコン U2」。発売されて間もないこのカメラの新しい機能や、開発時のエピソードなどを、開発リーダーの原正治が紹介します!!

原 正治 (はら・まさはる)

映像カンパニー 開発統括部 第一開発部 第四設計課 主幹
1983年日本光学工業株式会社(現株式会社ニコン)に入社。当時のカメラ設計部へ配属される。入社以来、銀塩一眼レフカメラの設計一筋。U2を含めて7機種の開発に従事し、F60、U、U2では開発リーダーを務める。趣味は、25年間続けていまも現役のサーフィン。学生時代には全日本選手権に出場したほどの腕前。好きなカメラはニコンF2。「F2は中学を卒業してはじめて買ったカメラ。私にとってニコンカメラの原点となっています!!」

「コンセプトは“高性能”、“ユーザーフレンドリー” 誰でも気軽に使える、高性能一眼レフカメラを目指しました」

U2のボディは、重さ385gの超軽量・コンパクト
サイズ。高性能の一眼レフカメラなのに気軽に
持ち歩くことができるのが魅力だ。

まず、発売されたばかりの“U2”が、どんなカメラなのか教えてください。

「一眼レフカメラは、“大きくて重たい”とか、“操作が難しそう”というイメージがありますよね。それを払拭し、初心者が気軽に使える一眼レフカメラを目指しました。カメラはあまり詳しくないけど、“ちょっと差を付けた写真を撮りたい”方にオススメのカメラです」

開発コンセプトはどのようなものですか?

「ずばり、“高性能”と“ユーザーフレンドリー”です」

なるほど。ユーザーフレンドリーとは?

「使う方にとって親切なカメラということです。そのコンセプトに基づいて開発した点を少しご紹介したいと思います。まずは、超軽量・コンパクトサイズのボディです。この超軽量・コンパクト化は、2002年に発売した“Us”から実現していますが、“U2”でも継承した大きなポイントです。いくら操作が簡単でわかりやすいカメラでも、ボディが大きくて重かったら、気軽に持ち歩く気持ちになれませんよね。ですから、高機能でありながらも、コンパクトなボディを実現し、握りやすいグリップや操作ボタンの配置にも意を注ぎました」

確かに気軽に使えるカメラは、扱い易さや持ち運びの手軽さが重要ですね。ほかには、どんなものがありますか?

“U2のできあがりに大変満足しています。
初心者の方からハイアマチュアの方まで幅広
く使っていただきたいカメラです”

「U2では、新しく開発した“マルチディスプレイ・スクリーン”によって、ファインダーを覗きながら撮影情報を確認することができる“オンスクリーン表示”を実現しました。マルチディスプレイ・スクリーンでは、フィルム装填のミスや、巻き戻し済みフィルムの取り出し忘れの警告、電池の残量表示、さらにフィルムコマ残少告知(残り5コマ以下で表示)などが表示されるので、撮影時に起こりやすい失敗を未然に防ぐことができます。フィルム装填が正しくできたか、不安を抱くユーザーの方が多くいらっしゃると聞いています。U2であれば不安やストレスなく、撮影に専念できますよ」

たしかに、撮影途中にフィルムの状況や電池の残量がわかれば、ミスを未然に防ぐことができますね。

「ええ。さらに親切機能として“バリブライト・フォーカスエリア”を用いた合焦フォーカスエリアの表示です。ニコンのバリブライト・フォーカスエリアは、ユーザーが選択したエリアを常時点灯できることで定評がありましたが、U2ではさらに、合焦したエリアを、半押し中は表示し続ける新機能を搭載しました。これにより撮影中にピントが合っているエリアや、フォーカスロックしたエリアを常に視認できます」

なるほど。U2のできあがりはいかがですか?

「満点です(笑)。U2は、初心者が難なく使用できる上に、高機能を満載したカメラなので、ステップアップしたいという方や、写真愛好家が使用されるカメラとしても十分な役割を果たしてくれると思います。このカメラが、“世の中で一番使いやすい”という自負もありますしね(笑)」

「ピント合わせの失敗を防ぐためにさまざまな機能を搭載しています」

U2の開発においてこだわった機能はありますか?

「たくさんありますが、先ほどのバリブライト・フォーカスエリアを用いた合焦エリア表示は、ぜひとも搭載したいということで開発を進めたもののひとつですね。“プロフォトグラファー向けのような上級機種ではないので、ピントが合ったエリアをわざわざ表示する必要はないだろう”という意見も社内にあったのですが、“ピントが合ったところを明確に表示する機能は、簡単に思いどおりの写真を撮るためにはなくてはならない”と思い、是非とも実現したかったのです」

親指で押さえているものが、3種類の“ダイナミック
AFモード”を操作するレバー。親指を少し動か
すだけですぐにモード変更ができるので、ファイ
ンダーを覗きながらでも操作が可能だ。

撮影途中に意図と違うところにピントが合っていることに気付けば、ムダな写真を撮らなくて済みますよね。

「はい。また、せっかくピントが外れていることに気付いても、その後の操作が難しければ、今回の開発コンセプトに合致するカメラとしては不合格です。そこでU2では、5つのフォーカスエリアをコントロールする3種類の“ダイナミックAFモード”を、ボディ背面の専用セレクトレバーによって簡単に設定できるようにしました。普段撮影するときは、カメラが自動的にもっとも近い被写体にピントを合わせる“至近優先AFダイナミックモード”が便利だと思います。また、このモードでは意図しない場所(エリア)にピントが合ってしまうといった場合も、背面のセレクトレバーをカチッと一回操作して、“中央優先ダイナミックAFモード”にすると、画面中央にピントが合うようになります」

なるほど、背面のダイヤルで簡単に操作できるのは、撮影の幅が広がりそうな機能ですが、たとえばどのようなシーンで使うと効果的でしょうか?

「お子さんの学芸会や運動会で写真を撮ろうとしたときに、ほかのお子さんにピントが合ってしまうことがありますよね。シャッターチャンスは一瞬なので、すぐに操作できるセレクトレバーで“至近優先ダイナミックAFモード”から“中央優先ダイナミックAFモード”に変更し、ピントを合わせていただければ、大変便利かと思います」

なるほど。ピント合わせのミスを、こんなに簡単に防ぐ手段が備われば初心者の方でも利用できそうですね。

「そうですね。この便利さは初心者の方はもちろん、ハイアマチュア層の方々にも実感していただけるはずです。私自身もU2で撮影する上で多用する機能です。使い易さは私が太鼓判を押します(笑)」

U2を見つめるまなざしは、まるでわが子に対
するもののようだ。

ほかにU2の開発上、こだわった機能はありますか?

「はい、“フォーカス”機能に、もうひとつ自信作があります。U2には、さまざまなシーンに合わせて写真のできばえをアシストしてくれる、“ポートレートモード”、“風景モード”、“クローズアップモード”、“スポーツモード”、“夜景ポートレートモード”という5つのイメージプログラムがあるのですが、その中の“スポーツモード”でのピント表示にとくに注目していただきたいのです。スポーツモードに設定すると、フォーカスロックを行わず、シャッターを切る瞬間まで被写体の動きに合わせて、自動的にピントを追い続ける“コンティニュアスAFモード”で撮影できます。従来機種のコンティニュアスAFモードでは、合焦と非合焦状態が頻繁に移り変わる場合、合焦エリア表示のチラツキを防ぎ切れませんでした。しかしU2では合焦エリア表示のチラツキを無くし、かつ5点中のどこのエリアにピントを合わせているかを常に表示することができるようになりました。カメラがどこのフォーカスエリアでピントを合わせているのかが分かれば、シャッターチャンスを逃しません」

どこにピントが合っているか刻々とわかるということですね。

「はい。動く被写体にはぜひこのモードを活用していただきたいですね。ただ、スポーツモードの設定方法がわからないとか、被写体が急に動いてスポーツモードにできなかったときであっても、U2はカメラが動く被写体であると認識すると“コンティニュアスAFモード”に自動的に切り替わる“オートAFサーボ”を搭載しています。“オートAFサーボ”は、被写体が静止しているときはフォーカスロックを可能にし、被写体が動いているときは被写体に対してピントを追い続けるフォーカス機能です。
  たとえば、運動会の徒競走などでスタートラインに立っている子供にピントを合わせた後、子供が走りはじめたとします。そのときシャッターボタンを半押しの状態で保ってフォーカスロックにしていたとしても、走り出した子供にカメラが反応してフォーカスロックを解除し、先ほどの自動的にピントを追い続けるコンティニュアスAFの状態になるわけです」

とても便利な機能ですね。しかし、被写体以外の動くものにピントが合ってしまうようなことはありませんか?

「ピント制御上の工夫を入念に行っておりますので、大丈夫です。特に皆さんがご心配されるような、フォーカスロック誤認解除や、急に画面を横切ったものにピントがあってしまう“横切り被写体”などでも誤反応しないチューニングがなされていますのでご安心ください」