Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.15 NPS(Nikon Professional Services)

オリンピックやワールドカップなどのイベントでプロカメラマンのサポートを行うNPS(Nikon Professional Services)。そのNPSのまとめ役として世界で活躍する星氏の活躍ぶりを紹介します!!

星 勝広(ほし・かつひろ)

ニコン映像カンパニーマーケティング統括部第二マーケティング部販売促進課主幹。1986年、株式会社ニコンに入社。当時の光機貿易部に配属。1989年、当時のカメラ貿易部(現販売促進課)に移り、主に海外でプロカメラマンへのサービスを手がける。現在はオリンピックやワールドカップなどのスポーツイベントを中心に活躍中。学生時代はテニス、ワンダーホーゲルの同好会に在籍。趣味はクルマ、スキー、ビリヤード等。「もともとスポーツは見るのも自分でやるのも大好きです。この仕事を始めてからはカメラのおもしろさだけではなく、ファインダー越しに見る選手の表情を追うのも楽しいですね」

オリンピックやワールドカップなどの国際イベントで大活躍!! 「子供のころから憧れている大会に携われるのが何よりの喜びです」

1つの大会でこんなにもたくさんの
機材を用意。これが対応の速さに
つながるとのこと。運ぶだけでも
大変そう……。
イベント会場に作られたNPSの作業
スペース。イベント中、カメラに何か
あっても、熟練の修理技術者がすぐ
に対応してくれます。

ズバリNPSとはどのような活動なのですか?

「ニコンプロサービス(Nikon Professional Services)のことです。プロのカメラマン向けのサービスで、日本にも海外にもあります。私の所属している第二マーケティング部販売促進課が全体を統括しておりまして、私は主に海外を担当しています」

各国にあるのですか?

「日本以外にも、ヨーロッパの主要な国、アメリカ、カナダ、オーストラリア、香港、シンガポール等ですね」

主にどのような活動をされているのですか?

「オリンピックやサッカーのワールドカップ等のスポーツイベント、サミット等の公的イベントなど世界中から報道カメラマンが集まるところに出向いて、機材の点検、清掃、応急修理、機材の貸し出し、使い方の説明、画像処理・電送の技術的サポート等、多岐に渡ります」

オリンピックやワールドカップに行けるのは、うらやましいですね。

「ええ。周囲からも良くそう言われます。実際には体力の限界にチャレンジすることもしばしば。でも、子供のころに憧れていた大会を実際に目の前で見て、自分が何らかの形で携れるのは夢のようなことです。  試合前後の選手の表情を見られるのも非常に楽しみですね。カール・ルイス(※1)が試合前に緊張した面持ちで、精神統一をしている表情や、セルゲイ・ブブカ(※2)が棒高跳びで失敗した後、報道陣をまいて競技場から逃げていく時の表情などは今でも忘れられません」

ところで、NPSのサービスはいつごろから始まったのですか?

「大きい大会でサポートを始めたのは、東京オリンピックからだと聞いています」

歴史を感じますね。実際にこの仕事に関わり始めたのはいつ頃からですか?

「90年頃からです。始めはプロカメラマンのサポートをしなければならないという会社の姿勢とはうらはらに、大層なことは何もできず、こちらが教えてもらうような立場でした(笑)。各国のスタッフとともに、さまざまなイベントに参加し、多くのプロカメラマンと話して経験を積むうちに、自分が果すべき役割を考えていくようになりました」

いろいろな段階があって今があるわけですね。NPSの中での星さんの役割というのは?

「全体の統括です。こうしたプロのカメラマンが多勢集まる国際イベントで我々がどのようなサポートをしていくかを考え、それを実行するのに必要な環境を整えていくことです。また、実際に現場のスタッフをとりまとめていくことも自分の役割です」

本当に全ての統括ですね。交渉事などで、苦労されたエピソードはありますか?

「ありますね。かなり以前のことですが、現地の組織委員会とさんざん話し合ってほとんどのことが決まった直後に事態が急変し、呼び戻されてやり直したことがあります。やっと終わって帰れるとほっとしていたので、おあずけをくらった気分でしたよ(笑)。こういう大会って何があるか本番が始まるまでは分かりません。その時の社会情勢で、一度決めたことが全部振り出しに戻るというようなこともあります」

これまでに危険な体験をした等のエピソードはありますか?

「個人的になんですが、あるオリンピックでテロリストの喉を噛み切るように訓練された警察犬に後をつけられたことがありました。振り返ったときには、もうその犬は構える態勢でしたね。一歩でも動いたら襲われると思って、熊に会ったときのように死んだふりですよ(笑)」

  • ※1カール・ルイス(アメリカ):1961年7月1日生まれ。陸上男子100m、200m、走り幅跳びの選手。1984年、ロサンゼルスオリンピックで4冠王を達成し、一躍スーパースターに。その後不調とも騒がれたが、1991年、東京世界陸上の100mで世界新記録を出し優勝。復活を世に知らしめた。
  • ※2セルゲイ・ブブカ(ウクライナ):1963年12月4日生まれ。陸上男子棒高跳びの選手。1983 年、ヘルシンキ世界陸上から6連覇し、「鳥人」と呼ばれる。1985年、パリ国際陸上で初の6mの壁を破る。1988年、ソウルオリンピックで金メダル。世界新記録の更新は35回。

スタッフ編成の苦労も。だからこそ「コミュニケーションが大事なんです」

海外のスタッフともコミュニケー
ションを欠かさない星氏。世界の
いたるところに友人ができたそう。

ひとつの大会にかなり大勢のスタッフが動員されるのですか?

「大会の大きさなどによっても違いますが、オリンピックなどの大きな大会では、本当に大所帯になります」

海外の大会であっても、日本からも大勢出向くのですか?

「これもやはり開催国や大会の大きさなどにもよります。修理技術者や使い方を説明するスタッフなど、NPSの人間だけではなくいろいろな部署からのエキスパートが集まっています」

チーム編成などで苦労されることも多いのでは?

「はい。いつも気を配るポイントは言葉の問題です。ひとつの大会の中でも勤務時間や場所に応じていくつかのチームにわけるのですが、そのチーム編成で重点を置いているのは言語のバランスです。それぞれ違った言語を話す人たちを同じチームに入れることによって、少しでも多くの国のお客さまに対応できるようにしています。  ただ、そうするといろいろな国の人が集まるわけですから、そのチーム内でのコミュニケーションも重要となります。一応英語を共通語としていますが、人によりレベルも異なりますからね」

さまざまな国の人がひとつのチームとなるわけですから、言葉やコミュニケーションなどの気配りは大変ですね。

「私も普段から各国の文化や歴史はできるだけ理解しようと努めています。あとは、とにかくみんなとよく話し、コミュニケーションをとることですね。たくさん話すことで相手の人間性も理解できますから。そのため、片言ですが多くの言葉を覚えようと努力はしています。そうすることで自分の視野が広がるような気がしますし、おかげさまで友人は増えましたね」