Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.14 COOLPIX5700

一眼レフカメラに匹敵する性能を小型・軽量ボディと低価格で実現し、8倍ズームのニッコールレンズを搭載したCOOLPIX5700。
新商品の新しい機能や設計の裏話などを二人の開発者にインタビュー!

横沼則一(よこぬま・のりかず)

ニコン映像カンパニー開発統括部第三開発部第二設計課主幹
81年、株式会社ニコンに入社。入社後すぐに、カメラの設計に携わり、COOLPIX900よりデジタルカメラの設計を始める。一番愛着のあるカメラはCOOLPIX950。「デジタルだからというのではなく、いわゆるカメラとしての操作性・スピードを目指したので苦労しました。しかし、最後にはやっとニコンらしいカメラがつくれたなという充実感と満足感がありましたね」

相川敏哉(あいかわ・としや)

ニコン映像カンパニー開発統括部第三開発部第一設計課主幹
83年、株式会社ニコンに入社。入社後はフィルムスキャナの設計に従事し、2001年デジタルカメラの設計部門に移る。デジタルカメラの設計に移って最初の製品とのことですが、COOLPIX5700に愛着はありますか?「非常にありますね。スキャナの設計とは全然違いますので、毎日が勉強でした。早朝から深夜までカメラと格闘して辛いときもありましたけれど、充実感はひとしおです」

COOLPIX5700のコンセプトはスピード!! モニタ表示のタイムラグも解消

フレーミングが非常に速い!!ボタン
配置のひとつひとつが設計の苦労
のあと。
「こんなに速く手を動かしても、実際
の手とモニタの手にズレが生じない
んですよ」と熱心に語る。

COOLPIX5000の兄弟機として発売されたばかりのCOOLPIX5700ですが、COOLPIX5700の特徴をひと言で表現すると?

横沼「ズバリ、スピードです。ひとつは移動するスピード。通常の一眼レフの280mmレンズというと、かなり大きなものになってしまいますよね。それに比べCOOLPIX5700は、鞄のなかにも入るし、片手でも持てます。サイズを小さくすることにより、カメラを持って目的地まで移動するスピードが格段に速くなったと思います。
 もうひとつは、カメラを取り出して構えるまでのスピード。ボタンの配置等を工夫して操作性をよくしたのはもちろんですが、電源を入れてから起動するまでのスピードやズームのスピードにこだわりました。COOLPIX5700は、35 mmから280 mmの8倍ズームですが、端から端まで約2秒しかかかりません。ですから、非常にフレーミングが速いのです」

なぜスピードを設計のコンセプトにしようと思ったのですか。

横沼「ヒントはCOOLPIX5000なんですよ。COOLPIX5000は写真をバンバン撮るというよりも、きちんとフレーミングをしてじっくり構えて撮るタイプ。その対極にあるのは、やはり素早く撮るということですよね。そこから COOLPIX5000のよさを受け継いだうえで、スピードを追求することにしたのです」

撮影時にストレスを感じやすいモニタのスピードも速くなったということですが。

横沼「レンズの前でバイバイをするように手を振るとおわかりいただけるのですが、従来のデジタルカメラですと、実際の手とモニタの手の動きにズレが生じるんですよ。しかし、COOLPIX5700はこれがほとんど起きない。だからゴルフのインパクトの瞬間も逃さないんですよ。」

今までのカメラだと、笑った瞬間にシャッターを押したつもりでも、実際には笑った後の顔が撮れていたりしますよね。

横沼「そうなんですよ。そして、撮った後にもっといい顔になっているときもありますよね。従来のデジタルカメラですと、次の写真を撮るまでにどうしても1~2秒はかかってしまうものですが、COOLPIX5700はすぐに次の写真が撮れますので、シャッターチャンスを逃さないんですよ」

スピードということでほかに何かこだわったことはありますか。

相川「望遠域でのマクロ撮影が容易なスーパーテレフォトマクロモードですね。特にテレ端での最短撮影が50cmというところです」

「デザイナーと意見のぶつけあいも……(笑)」 高性能8倍ズームレンズへの挑戦

なるほど! こんなに小さいのにも
ちやすい。レンズも指にぶつから
ないぞ。
8倍ズームなのに非常にコンパクト。
これならスポーツ観戦にもぴったり。

COOLPIX5700は高性能8倍ズームが大きな特徴となっていますが、レンズはどの段階で設計するものなんですか。

相川「レンズは一番初めに設計します。とくにこのCOOLPIX5700、レンズの設計に多くの時間をかけましたね。レンズの大きさをある程度決めてから、本体の大きさを設計をするのが一番効率的なんです」

35mm~280mmの高倍率ズームレンズですから、設計に苦労があったのでは?

相川「様々なところからもっと本体を小さくしてほしいという要望がありましたので、レンズ設計にも配慮しました。
 また小型軽量化の実現と280mmレンズの両立は、バランス的に非常に苦労しましたね」

横沼「要求されるデザインと求める性能のバランスが難しいですね。小さくしようとすればもっと小さくすることはできるのですが、そうすると性能が落ちてしまう。  このクラスは性能が第一にあるのですが、お客さまにとって使いやすいサイズでなくてはなりません。デザインのセンスも問われます。与えられたデザインの中に機能を押し込めるのが最初の苦労でしたね」

具体的なエピソードなどはありますか。

横沼「始めは構えたとき、指がレンズにぶつかるという話もありました。レンズと指の間をあけようとするとサイズを大きくしなければなりませんから、デザイナーが許しませんよね。こちらは操作性を考えて持ちやすくしようとか、ボタンのガタつきなどを止めようと考えるんです。するとサイズはどんどん大きくなってしまって……。デザイナーとしては、またまた許せませんよね。もう議論はつきません(笑)」

レンズを8倍ズームにしたのはなぜですか。

横沼「例えばスポーツ撮影等の際、5倍6倍では満足できないのではないかと思いました。クイックレスポンスを実現しつつ、8倍ズームを搭載することで、激しい動きのあるシーンでも、迫力ある撮影が実現できるのです」