Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.13 D100

小型・軽量ボディに超高画質と快適な操作性がこめられたレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ、D100。
6月に発売されたばかりの新機種の機能と小型ボディに隠された秘密を、開発リーダーがこっそり紹介!

若林勤(わかばやし・つとむ)

ニコン映像カンパニー開発統括部第一開発部第二設計課主幹
1981年、東京工業大学・大学院機械物理工学専攻を修了後、株式会社ニコンに入社。当時のカメラ設計部に配属、カメラの機構部・構造部の設計、設定・操作表示部分の開発に携わる。'98年からF80開発リーダー、D100の開発リーダーも務める。高校・大学と鉄道研究会に在籍。「鉄道模型が好きで、鉄道写真も撮っていました。旅行が好きなんですが、やはり旅行にカメラは欠かせませんね」。

D100の最大の特長は「小型で軽量」 フィルム一眼レフカメラ感覚で使えるのが魅力

これは便利! 電源を切っても、
写真撮影の残り枚数を表示。

まず、D100のおすすめポイントを教えてください。

「いろいろあって迷いますが、小型・軽量という点をまず一番に挙げたいと思います。D100開発の狙いは、 D1シリーズよりももっと気軽に、もっと多くの方に使っていただけるレンズ交換式のデジタル一眼レフカメラを作ることにありました。小型・軽量化はこの製品のコンセプトに必須の目標だったのです」

具体的にはどのくらいの重さなんですか?

「電池抜きの重さで約700グラムです。D1シリーズが電池抜きで約1.1キロの重さですから、かなりダイエットできました。  もちろんD1シリーズの重さはその高性能を保つために必要なものですが、気軽に使うにはちょっと重過ぎますよね(笑)。D100は、電池もD1シリーズのものより小さいですから、バッテリーパックなどを付けても、持った感じはトータルでずっと軽く仕上がっています。  またD100は希望小売価格30万円。D1シリーズよりずっとお求めやすい価格です。

D1Xは59万円ですから、約半分の価格になったわけですよね。

「はい。それでいながら、有効画素数6.1メガピクセルという高精細画像を保っています」

CFカードを差し込むときにも分かる小型化への努力 「まったく新しいカメラを作るという意識でとり組みました」

D100は軽量化にこだわったということですが、軽量化はどうやって達成されるものなんですか?

「軽量化は、小型化とほとんどイコールなんですよ。小さくすれば軽くなる。また言うだけなら簡単なんですが、これを実行するのがなかなか難しいのです。
 小型化の鉄則は、とにかく“一からやり直し”にあります。たとえば、D1をベースに考えて新しいカメラを作ろうとすると、やはりD1と同じ大きさになってしまいます。
 小型化のためには、とにかくカメラ内部の配置や回路部分の工夫をする必要があります。だからD100を開発するときは、D1という前例を捨てるというか、一度頭の中をリセットして、まったくの新しいカメラを作るという意識で取り組みました」

ゼロからのスタートというわけですね。

「そうですね。やはりカメラ内部は全部考え直すつもりでやりませんと……。私はF80の開発にも携わったのですが、F80もD100と同じように、フィルム一眼レフカメラの小型・軽量化を狙ったものでした。このときも一度頭のなかを白紙に戻して、一からカメラの中身を考え直した経験があります」

CFカードのスロットはややななめ
になっている。これも省スペース設計
のため。

カメラの中身を考え直すというと、具体的には?

「分かりやすい例をあげるなら、CFカード(コンパクトフラッシュカード)のスロット部があります。
 一眼レフカメラの場合、カメラ正面向かって左サイドに、シャッターの駆動機構が入っています。デジタルカメラになると、さらにそこにCFカードを入れるスロット部も作らなくてはいけないんですね。
 COOLPIXシリーズのようにCFカードをレンズ面に平行に差し込む形にすると、一眼レフカメラではカードがシャッター駆動機構にぶつかってしまいます。かといってCFカードをカメラの背面からレンズ面に直角に差し込む形にすると、カードの幅だけカメラに厚みが必要になってしまいますよね。すると、ボディの左サイドがどうしても大きくなってしまうのです。  カメラ全体を小さくするには、たとえばCOOLPIX5700みたいな形、ボディの左サイドの幅を大きくして、右サイドの幅をカットして、カメラの左右の長さをつめればいいという考えも生まれます。しかし、レンズ交換式カメラの場合、右サイドにはレンズ着脱ボタンなどの機能をつけなくてはいけません。
 そこでいろいろと検討の結果、CFカードをややななめに差し込むことで解決しました。一方、ボディの右サイドには外部コネクタを全部配置して、左右のボディの幅のバランスをとりました。やはりD100は、F100のようなフォルムに近付けたいという目標もありましたので……。
 小型化には搭載部品の選択などももちろん重要ですが、こういうささいな機構にも小型化へのこだわりがあるのです」

D100という製品名についてですが、これは、D1がデジタルF5をめざしたように、D100はF100のデジタルカメラ版のような位置付けだと考えてよろしいのでしょうか?

「そうですね。D1シリーズはニコンのデジタルカメラの最高機種ですが、やはりなかなか手を出しにくい価格だし、大きい、重いなどの理由で敬遠される方もいらっしゃると思うんです。F100は、F5の高性能をコンパクトにまとめ、小型・軽量化した機種です。そういう意味でD1シリーズとD100の関係は、F5とF100の関係と同じといえますね」