Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.08 COOLPIX5000

広角3倍ズームニッコールレンズ搭載、高性能5メガデジタルカメラCOOLPIX5000。
デザイン担当者が、COOLPIX5000とニコンカメラについて語ります。

小林宏司(こばやし・ひろし)

ニコン・映像カンパニーデザイン部主幹研究員
小学校ではサッカーと野球、中学では陸上、高校からはアメリカンフットボールとスポーツ一筋。都立西高で「工芸」の先生に出会い、デザインを意識。千葉大学工学部工業意匠学科卒業後、1982年に株式会社ニコンに入社。カメラを中心に、顕微鏡、測定機、投影機、双眼鏡、スキャナなどの機器のデザインにも携わる。カメラはF5、プロネアS、COOLPIX950、COOLPIX990、COOLPIX5000 のデザインを担当。

デザインと機能の調和が目標 クルマのヘッドライトから、デザインの発見も

小林さんは、ニコンのカメラデザインには長く関わっていらっしゃいますが、今回は、COOLPIX5000についての話はもちろん、ニコンのカメラデザインについてもお伺いしたいと思っています。まずズバリ、COOLPIX5000のデザインのポイントは何ですか?

「いろいろありますが、まずはスピードライト窓に注目していただきたいですね」

そういえば珍しい形をしていますよね。

「スピードライトの窓というと、四角だったり、真ん丸だったりするのが多いですよね。だからこそ、そこにデザイン的な新しさを取り入れたいと思いました。
 それで、何か光るもの光るもの……と考えていたところ、車のヘッドライトを参考にすることを思いついたんです。ヘッドライトを眺めるために、道路をぼんやり眺めてたりして(笑)、そうしてできたのが黒いボディにやや逆三角の白いスピードライト窓、というデザインです。カメラ以外のデザインも、とても勉強になるんです」

スピードライトの形と白い窓。黒ボディとのコントラストを狙ったデザインだ。
背面から見たCOOLPIX5000。COOLPIX995からさらに進化したフリーアングル液晶モニタと、ボタン周囲が特長!

シャッターボタンの周囲も特徴的なような気がしますが。

「そうですね。ホールドしたときの手の形を考慮すると、シャッターボタンは垂直方向についているよりも、やや斜めについているほうがボタンを押し込みやすいんです。最近の一眼レフカメラでは、みんな前方に角度がついています。内部構造からいったら、ボタンは垂直についているほうが設計しやすいと思いますけれども。このカメラはあくまで使い勝手を重視しています。
そして、ホールディングしやすいグリップと押しやすいシャッターボタンを繋ぐ“掛け橋”としてのシャッターボタン周囲を、縦長のデザインにしました。シャッターボタン周囲のデザインとスピードライト窓、それにファインダー対物窓の三つは、それぞれに異なった形をしていながら全体としての調和を意識しました。また、この三つの色につきましては、黒やダークグレーも検討しましたが、あえて明るいシルバーにしてボディとのコントラストをつけました。形の特徴を色でアシストしたかったからです」

第一試作のモックアップ。左は縦長
タイプ。右はニコンSP風。
再提出したスケッチから作ったモッ
クアップ。小林氏は、実はシルバー
ボディもかなり気に入ってたそう。

では、苦労した点はどういったところでしょう?

「はい。はじめはさまざまなモックアップ(試作デザイン)を作りました。ニコンSP風のデザインや、縦長タイプなどいろいろです。しかし“いまいちだね”とか、“どこかで見たことあるようなカメラだね”と言われてしまいました。デザイン検討会でもまとまらず、何枚もスケッチを描いたり、他の部署の方にご意見や方向性を聞いて、デザインを変えてみたりしました。しかし、なかなかいい案が浮かばずに行き詰まっていました。
 そうこうしているある日の夕方、デジタルカメラ開発のゼネラルマネジャーと設計担当のグループリーダーの二人に呼び出しを受けたんです」
そして、ホールディングしやすいグリップと押しやすいシャッターボタンを繋ぐ“掛け橋”としてのシャッターボタン周囲を、縦長のデザインにしました。シャッターボタン周囲のデザインとスピードライト窓、それにファインダー対物窓の三つは、それぞれに異なった形をしていながら全体としての調和を意識しました。また、この三つの色につきましては、黒やダークグレーも検討しましたが、あえて明るいシルバーにしてボディとのコントラストをつけました。形の特徴を色でアシストしたかったからです」

ちょっとドキドキしちゃいますね (笑)。

「“何か怒られるのかなー”と思いました(笑)。しかし、“多少のことは設計でなんとか努力するから、もっと楽にやってみてはどうか”という激励だったんです。  そういう前向きな姿勢でやるから頑張れよ!って背中を押された感じがして、非常に楽になりましたし、本当にうれしかったですね」

その後できたスケッチがこの二つ、シルバーボディのタイプと、ブラックボディのタイプなんですね。

「はい。3日後に再度スケッチの検討会があった時にこれを提出したら、“やればできるじゃないの”という感じですんなり受け入れられたんです。やはり、お二人の激励の言葉が後押ししてくれたんだと思います。
 そして、これらの案でモックアップを作ってみようという話になり、スタイリングとボディカラーの検討が始まりました。最終的に皆さんの意見からブラックボディのタイプに決まりました。 どちらかというと、色が先に決まって、形がそれに合っていたのでブラックボディのタイプが支持されたようです。理由としましては、910、950、 990、995と、COOLPIXの高級機では黒・ダーク系を採用していましたから、その流れから、995のさらに上を狙う機種としては、シルバーではなくブラックの方がふさわしいだろうということです。伝統と信頼の実績あるF5をイメージさせたいということもありました。