Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.04 ニコンU

軽くてコンパクトなボディに、本格的な機能が満載。プロ顔負けの写真が簡単に撮れる、フレンドリーな操作性が国内外ともに大好評のニコンU。その開発から発売までかかわってきたマーケティング部の萩森さんに、発売にいたるまでの裏話や、諸外国でのカメラ事情などを聞いた。

萩森恭一(はぎもり・きょういち)

大学卒業後、石油会社勤務を経て「自分の会社で作ったものを売る仕事につきたい」という動機から、平成元年に株式会社ニコンに入社。平成5年よりフランスの販売子会社に出向し、管理部門、マーケティングの仕事を経て、平成11年10月に帰国。現在の映像カンパニー商品統括部マーケティング部第一マーケティング課に所属。

販売側から新製品開発に携わる萩森さん ニコンUにまつわるエピソードを披露!

萩森さんはマーケティングの立場からニコンUにかかわったそうですが、具体的にはマーケティングとはどんな仕事なんですか?

「簡単にいえば、販売側から商品開発に携わり、企画部門と共に商品としてまとめていくことです」

販売側から商品をまとめるというと?

「いちばん最初の仕事は、販売サイドの意見を開発サイドに伝えることなんです。まず〈こういうカメラを作ろう〉という企画、つまり新製品のカメラのコンセプトや仕様の概要を、開発および企画部門と協議を始めます。私たちはその仕様等の情報を販売サイドに提供し、さまざまな意見を収拾して、開発サイドにフィードバックします。カメラの仕様が固まってきたら、将来の販売数量や採算性の検討、販売拠点との販売数量の交渉をすることはもちろん、その商品の名前を考えたり、市場価格を調査したうえでの価格設定も当課が担当しています」

新製品の開発にマーケティング部が関わるのは開発の最初の時点からですか。

「はい。やはり新製品に販売サイドの意見を反映させていくためには、最初の時点から関わっていくことが必要です。マーケティング部というと、市場の調査ばかりしているように思われがちですが、市場の立場から開発の協力をするのがメインの仕事です。新製品の開発に主眼をおいて市場調査を行っています」

萩森さんはどんな製品を担当しているんですか。

「一眼レフをはじめとするシステム系(交換レンズ、アクセサリー等)全体を担当しています。ニコンUは、僕が99年10月に海外勤務から帰任して最初にかかわった機種なんですよ」

ニコンU命名の由来は「親しみやすさ」普及機ながらF80から継承された高性能が魅力!

F80から継承された、高速・高精度
の5点測距離オートフォーカス。

ニコンの35mmフィルム用の一眼レフは最初に「F」がつくのが通例です。今回この機種に、あえて「ニコンU」という名称を付けたことにはマーケティング上の狙いがあるんですか?

「一種のイメージ作りと考えています。具体的には、国内市場において当社の一眼レフカメラは、その性能、質感の高さやしっかりした製品作りが、高級機、ならびに中級機において、多くのプロやハイアマチュア層からきわめて厚いご支援をいただいております。しかし、一般のお客様に対するイメージが、今一歩希薄でした。そこでこの機種が、ファミリー層をはじめとする一般のお客様を対象にした普及機という商品コンセプトである点を強調し、新たなニコンのイメージを作るために、新たな名称を付けることにしました。一般のお客様層を対象とする普及機となりますと、「重い」とか「難しい」という印象を払拭しないと、敬遠されてしまいます。そこで、今回質感が高く軽量かつ簡単に使える一眼レフを投入するのを機に、そのイメージに結び付く新たな名称を打ち出したかったんです」

「U」という名前自体はどこから来たんですか?

「やさしさ、親しみやすさが感じられる名前を考えてきた結果、やわらかい印象のある日本語の“遊”“優”という音をイメージさせる意味で、アルファベットの「U」に決定しました」

萩森さんから見て、ニコンUのもっとも大きな特徴は何ですか?

「お手頃な価格でありながら、F80という上位機種の機能をいくつか取り入れていることです。例えば、高速・高精度の5点測距オートフォーカスは、F80から継承されている機能です。測距点の位置、フォーカシングの早さなど総合的に判断して、最適化しています。また、オートブラケティング機能も盛り込んでいます」

■オートブラケティング機能(補正値F1.0)

適正
-1段
+1段

上位機種F80の良さが最大限にいかされていますよね。

「はい。それでいながら、一眼レフをはじめてお使いになるお客様にも簡単に操作ができ、小さく、軽く仕上がった点が、ニコンUのいちばんの特徴であるといえます」

操作性の高いフレンドリーなカメラ「細部の作りにも手を抜きません」

大きくて見やすい表示パネル、操作性の高い露出モード
ダイヤル。
レンズを確実にホールドするメタル製レンズマウント。
「パーツの素材にもこだわった作りです」。

「実物を見ていたただければお分かりいただけると思いますが、ボディ上面の表示パネルも大きめで、撮影情報も大きく表示されます。これは、小さい文字はちょっと見づらいという方に配慮しています。露出モードダイヤルも大きくし、あくまでも操作性にこだわっています」

デザイン的にはどうですか?

「F5から始まったニコンの一眼レフのデザインを踏襲しています。グリップ部分の赤い楕円形のモチーフは、ニコン一眼レフの特徴的なデザインです。一部のクールピクスにも採用されています」

高品位な感じで、ニコンらしさのあるデザインですよね。

「実際に、作りも本当にしっかりしています。例えば、レンズマウントをとってみても、あくまでもメタル製にこだわっています。先ほども申し上げましたが、“普及機でありながら高級感を出す”というコンセプトがあります。これによって、“ ニコンのカメラは、本当に丁寧に作ってある。レンズマウント一つにもこだわるのがニコンだ”というお誉めの言葉を、海外でたくさんいただいています。」

パーツの素材もしっかりしていますね。銘板にもいろいろな意見があったと聞いていますが?

「そうなんです! 販売サイドでは、メッキ製の銘板を見て“良いねえ、高級感が出ているよ!”と大好評だったんです。しかし、一般のプリント銘板に比べてコストがかかるため、採用するか、しないかが議論の対象になりました。最終的には、国内向けのニコンUには高級感のあるメッキ製銘板を採用しました。だから銘板は思い出深いですね。苦労してコツコツとコストダウンを検討したのに、銘板ひとつでプラスマイナス・ゼロになりましたから(笑)。これもこだわりの一つですね」