Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.02 COOLPIX995

2001年6月に発売されたCOOLPIX995。900以来のお馴染み「回転ユニット」デジタルカメラがさらにパワーアップして登場!ズームレンズが4倍になっただけじゃない。開発者から、COOLPIX進化の秘密をこっそり聞いた。

木次康雄(きつぎ・やすお)

ニコン映像カンパニー開発統括部第三開発部第一設計グループ
大学では構造工学を学び、メカの設計に興味をもち株式会社ニコンに入社。2インチフロッピーに画像を記録する電子カメラをへて、デジタルカメラ設計に携わる。面倒見がよく頼れるリーダー。

河原巧(かわはら・たくみ)

ニコン映像カンパニー開発統括部第三開発部第一設計グループ
大学では電子工学を学ぶ。デジタルカメラの設計をしたいという動機から株式会社ニコンに入社。画像処理関連の業務を経て、デジタルカメラの設計に関与。グループでも若手のエンジニア。

995はマイナーチェンジじゃない! 「それだけは強く主張したいです」

COOLPIXのフラッグシップ機、995が発売されました。今回は、開発に携わったふたりに、いろいろ話を聞きたいと思っています。ふたりとも、同じグループ所属なんですね?

木次「そうです。とはいえ、担当した部分は割と違うんですよね(笑)。私は、メカ全体の構成を考えたり、他部署との連携をはかるのが995での主な仕事でした」

河原「僕は、おおまかに言えば電気系統というくくりになると思います。ファームウェアの設計や、ユーザインタフェースに関わることを担当しました」

さて! 今回は、強く主張したいことがあるとか?

河原「そうです。声を大にして言いたいです。995は、990のマイナーチェンジじゃないんだ! ということです」

そういえば、名前だけを聞くと、それほど進化していないのではという感じもします(笑)。

木次「シリーズとしてもカメラ名としても、990の後継機であることは確かです。しかし、カメラとしての性能は990からかなりアップしています。たとえば、一番大きな変化は、スピードライトがポップアップ式になったことがあります」

配光がより自然になったスピードライトに より美しい写真が撮れるカメラに進化

ポップアップ状態。「機能面だけで
なく、強度にも考慮して設計してい
ます」

レンズの上についている、このスピードライトですよね。

木次「はい。990では、レンズの左側にスピードライトが内蔵されていました。今回は、レンズの上にポップアップ式で搭載しています。なぜこの形に行き着いたかというと、スピードライトは光軸上、つまりレンズの真上にあったほうが、影がきれいに出るからです。レンズの横にあると、距離によっては影が横に出てしまうことがありますよね。自然に光を行き渡らせて美しい写真を撮るためには、レンズの上でスピードライトが光るのがベストなんです」

光の届く距離を表わすガイドナンバーが、990では9でしたが、995では10となり、ややアップしましたね。これはスピードライトの性能が上がったんですか?

木次「はい、基本的には同じものを使っていますが、性能は向上しています。さらにスピードライトの場所を変えたことで、配光もよくなっています。また、レンズとスピードライトの間の距離があるほど、赤目を軽減する効果があります。その点からもポップアップ形式は最適の形なんです」

社内的にも、そのデザインには賛否両論あったそうですが……?

木次「990と比較すれば、ポップアップ式のぶん、でっぱりができるのは好ましくないという意見が確かにありました。しかし機能的な問題では、ポップアップ式になることのメリットはとても大きいです。この形になったのは、とにかく、いい写真を撮るカメラとしてのこだわりですね」

見やすい背面液晶表示 機動力倍増、操作性もアップ

さっそく995を使ってみたんですが、背面の液晶が以前より見やすくなったなと感じました。これは液晶の質がよくなったんですか?

河原「それもありますが、液晶を後ろから照らす、バックライトを変えたんです。以前は蛍光管を使っていたんですが、今回は白色LEDを使っています。屋内ではそれほど違いが分からないと思うんですが、外に出て太陽光の下で見たときには、液晶の見栄えはとても向上していますよ。お客様にとっては、液晶画面の見やすいのが一番ですから、そこは気を遣っています」

なるほど。これは使ってみないと分からない進化ですね。

河原「カタログスペック的なものの向上はもちろんですが、使い勝手が格段によくなったという、数字には出てこない面もたくさん改良されました」

たとえば?

河原「一番分かりやすい変化はクイックレビュー機能ですね。990からは背面のボタンが一つ増えているんですけれども、撮影モード中に“QUICK”と書いてあるボタンを押すと、撮影中でも画像を再生できるようになりました。一つ前に撮った画像だけでなく、十字キーの操作でどんどんコマ送りして見られますよ。もちろん、シャッターを押すだけですぐ撮影に戻れます」

木次「これはCOOLPIX880で取り入れて、お客様にとても好評だった機能なんです」

河原「今回始めてついた機能に“彩度調整”というのもあります。これは、撮影前に色の鮮やかさが“彩度プラス1”から“彩度マイナス2”までの4段階で設定できるという機能なんですが、“色鮮やかに撮りたいな”と思うときは“彩度プラス1”に設定します。これは、そのままプリントするときに向いていますね。パソコンで写真を加工するときは、彩度をマイナスにしたほうが、適した画像が得られます」