Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

ザ・ワークス Vol.01 D1X/D1H

D1がさらに進化した!プロが求めるデジタルカメラ、D1X&D1H。高性能スペックを現実にした製作現場の生の声を、特別レポート!

山野省三(やまの・しょうぞう)

ニコン映像カンパニー第一開発部第三設計グループ
D1、D1X、D1Hでは電気回路の設計、ソフトウェアの開発に関与。株式会社ニコンに入社以来、銀塩カメラの設計に携わる。品川区西大井・大井付近はニコンのグループ会社が集まるため、子供のころからニコンはなじみ深い会社だったという。「電気の仕事がしたいと思って地元で仕事を探したら、自然とニコンになりました。僕が子どもの頃は万事が悠長でしたから、会社の塀を乗り越えて、敷地内で遊んでいても叱られなかったものです。いい時代でしたね」。

スペックの進化以上に、使いやすさが格段にアップしたD1X

山野さん、いよいよD1X登場ですね??

「ええ、開発者一同、ほっとしています。製品の形が出来てからも、発売直前ぎりぎりまで品質保証の面からさまざまなチェックを受けるので、最後まで気が抜けないんです。とはいえ、まだD1Hが残っていますが(笑)」

今回のD1XおよびD1Hは、ハイスペック化もさることながら、D1からのフィードバックが存分に活かされているとか。

「そうです。D1Xは総画素数5.47メガピクセル、 D1Hは秒5コマ・最大40コマの高速連続撮影というのが、それぞれの大きな特長です。しかしスペックの進化以上に、D1で多方面からご指摘いただいた点を、最大限に反映させています。99年秋に発売されたD1は、ニコンが独自にはじめて手掛けた、35ミリフィルムレンズ対応の一眼レフデジタルカメラですが、おかげさまで多くのご好評をいただきました。しかし一方で、ユーザーの方からさまざまなご指摘をいただいたんです。それを反映させたことで、高性能以上に、より使いやすいデジタルカメラになったと自負しています」

D1のフィードバックを最大限に反映。「ユーザーの方の声がいちばん貴重です」

「写真を撮られるのは苦手だから」
と言いながらも、カメラの話になると
生き生きとしゃべる。身振りを交えて
熱く語る。

たとえばどんな点が使いやすくなりましたか?

「カメラの背面に、画像を映すTFT液晶モニター(以下液晶モニター)がありますよね。D1開発当時の私たちは、この液晶モニターについては、撮った画像を確認するという機能に重きをおいて考えていました。そのため、カメラの設定内容は下のパネルで表示していました。しかし、小さな表示パネルでは情報量が少なくて分かりづらい、というご指摘を多くいただいたんです。そのご意見を活かして、D1X、D1Hでは液晶モニターにメニュー表示をして、カメラの設定ができるようにしました。

ほかにも、D1では、撮影する機能と、撮った写真を見るモニター機能を、ダイヤル操作で切り替えていたんですが、D1X、D1Hではふたつの機能をボーダーレスにしました。つまりD1では、撮影 したものを液晶モニターで再生している間は、ダイヤルの切り替えをしないと撮影が出来なかったんですね。

しかしそれでは、液晶モニターで写真を確認しているときに絶好の撮影タイミングが来た場合、“ダイヤル操作時間のロスでチャンスを逃してしまう"というお声を聞いたもので、ダイヤル操作なしに、モニター機能と撮影機能を行ったり来たりできるようにしました。つまり、再生しているときでも、すぐ撮影モードに移行できるんです」

なるほど。ユーザーの方の貴重なご意見が反映されましたね。

「いただいたご指摘については、対応可能なところにつきましては極力対応いたしました。D1を開発するうえでも、使い勝手については検討を重ねていたのですが、やはり実際のユーザーの方のご意見で勉強させていただいた点が多かったです。もちろん、ご要望と技術の兼ね合いというのはあるのですが、やはりいちばん大事なのは、ユーザーの方が快適にカメラを使えるということですから」

これがD1の背面。「液晶モニター自体、銀塩カメラにはありませんからね。デジタルは機能の足し算ばかりです(笑)」
1999年秋に発売されたD1。D1での試行錯誤、その後のフィードバックがあったからこそ今のD1X、D1Hが生まれた。

外見を見ただけでは、XもHもD1とほとんど変わらないですよね。でも中身はガラリと変化しているということですね。

「ええ。使い勝手がよくなっただけではなく、とても安定した性能のメカになりました。D1が安定していないというわけではないのですが、D1という前例があったからこそ、より洗練されたメカとしてD1Xを世に送りだすことが出来たと思っています」

山野さんの担当箇所では、どこが改善されましたか?

「たとえばカメラを制御するプログラムでは、スピードライト調光の仕組みが、従来までの銀塩とデジタルでは、まるで違うんですね。だからD1では、新しいプログラムを作らなくてはいけなかったんです。D1ははじめての本格的デジタルということもあって、技術面ではいろんな面で試行錯誤の連続でした。その苦労した経験があったからこそ、D1Xではそれをさらにブラッシュアップできたと思っています」

「ゆっくり高画質のものを撮るならX、待ったなしの撮影にはHがおすすめです」

D1XとD1Hの特長はそれぞれ高画素と高速連写ですよね。高速連写でありながら高画素というのは、やはり開発が難しいんでしょうか?

「そうですね。もちろん、Hの性能がXに組み込めたらそれは万々歳ですけれども、いまの技術ではそれが難しいと言わざるを得ません。画素数が多いとそれだけ読み出し時間がかかりますから、記録するバッファの容量をそれだけ大きくしなくてはいけません。高画質も高速も、というのは、今の技術レベルでは両立が難しいですね。これからの課題だと思っています」

D1XとD1Hはユーザーの方にどんな使い方をしていただきたいですか?

「やはりD1Xは画素数の高さを活かして、たとえばスタジオで物を撮るなど、やや静的なものをゆっくり撮るのに適していると思います。一方のD1Hは、とてもアクティブな印象のカメラです。D1と総画素数は同じですが、秒5コマ、最大40コマを連続して撮ることができるので、スポーツや報道など、待ったなしの対象を撮るのに最適だと思います。D1Xが静ならD1Hは動って感じですね」