Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

talk! talk! talk! 建築家・山本理顕さん


バックナンバー
建築家・山本理顕さん

建築家

山本理顕さん

世界中から注目を集める建築家・山本理顕さん。建築を設計するプロセスや設計コンペにて、写真表現は非常に重要な役割を担うのだという。同じ建築でもアングルの切り取り方で見え方が全然違ってくるのが面白い、という建築家ならではの写真の楽しみを語って頂きました。

プロフィール

やまもと・りけん 1945年生まれ。1971年東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了。1973年山本理顕設計工場設立。2007~横浜国立大学大学院工学府Y-GSA教授。
主な作品(受賞)に岩出山町立岩出山中学校(毎日芸術賞)、埼玉県立大学(日本芸術院賞)、公立はこだて未来大学(日本建築学会賞作品賞)、東雲キャナルコートCODAN(グッドデザイン賞金賞、BCS賞特別賞)、横須賀美術館(神奈川建築賞、BCS賞)福生市庁舎、ナミックス・テクノコア(BCS賞)など。近年のコンペ受賞作品として天津図書館(2009年)、チューリッヒ国際空港複合施設(2010年)、ソウル江南ハウジング(2010年)など。その他、北京、ソウル城南、アムステルダムなどでも複合施設、公共建築、集合住宅を手掛ける。
主な著書に『新編 住居論』(平凡社ライブラリ)、『つくりながら考える/使いながらつくる』(TOTO出版)、『地域社会圏モデル』(INAX出版)など。

Beginning 出会い

建築家はほとんど例外なく写真オタクだというほど、写真は重要な表現方法

建築家にとって、写真とはどんな存在でしょうか?

建築家にとって写真表現は最も重要な表現方法の一つです。建築を設計するプロセスでも、あるいはクライアントにその建築の内容を説明するときにも、あるいは設計コンペのときにも、写真表現は非常に重要なのです。設計をするときに沢山の模型を作ります。そしてその模型写真を様々な角度から撮って、実際に設計した建築がどのように見えるか検討します。写真の撮り方次第で全く違った建築に見えるので、ライティングや背景やアングルには細心の注意を払います。パソコンの画面で修正したりしますが、やはりきちんとした写真を撮るというのは建築家にとって大切な技能の一つなのです。旅行に行って好きな建築や都市の写真を撮ることもあるし、これから作る建築の周辺環境を写真に撮ることもあります。建築家はほとんど例外なく写真オタクだと思いますね(笑)。

写真の善し悪しの判断もできなくてはいけませんね。山本先生の模型の写真を見ますと、本物の建築に見えます。

必ずしも本物のように見せることを目的にするわけではありません。ときには非常に抽象的な写真を撮ります。自分がどのような建築を目指したいのか、どのような構造システムで作るのか,どのような原理で作るのか、それを確認するために抽象的な模型をいくつも作ります。もちろん実際の建築にできるだけ近づけるように作ることもあります。今はCG(コンピューター・グラフィック)のテクニックが非常に進んでいますから、模型よりも簡単にリアルな絵を作ることができます。でも、スケール感を確認するには模型が圧倒的に有効です。50分の1スケールの模型には、同じスケールの人形を入れて上から写真を撮ったり,下から撮ったり,様々な角度から写真を撮ってスケール感を確認します。チューリッヒの計画は27万平米という巨大建築なので、1/1000、1/500、1/300、1/100、1/50というような様々なスケールの模型を作って何度もシミュレーションを繰り返します。

すごい作業ですね! その色んな知識や考え方から、新しい建築が生まれるんですね。

本当にすごい作業で(笑)、知識はもちろん必要ですけど、知識というのはそのときの建築によって違うんですよ。だからその都度知識を吸収しているという感じでしょうか。知識だけではなくて、どのような環境の中に作るかということで建築はその都度全く変わってしまいます。環境に対する解釈は、それぞれの建築家の考え方によって全く違ってきます。つまり単に知識だけで建築ができるわけではありません。