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talk! talk! talk! 映画カメラマン・早坂伸さん


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映画カメラマン・早坂伸さん

映画カメラマン

早坂伸さん

映画カメラマンとしていくつもの作品に携わり、芝居を魅せる映像を撮影してきた早坂さん。映画『あたしとあたし』の撮影を担当し、その後もD90を使って新たな映画撮影をしている。また写真を趣味とし、腕前もプロ級。映画人の彼が語る映画撮影と写真撮影の特徴やそれぞれの楽しみ方、またゴットファーザーの話から新作映画の話にいたるまで、バラエティに富んだトークをお楽しみください。

プロフィール

早坂 伸(はやさか しん)。1973年11月29日生まれ。宮城県出身。
千葉商科大学商経学部卒。日本映画学校映像科卒。中日新聞東京本社編集局にて契約社員として5年間勤務。98年からフリーの撮影部。阪本善尚氏、萩原憲治氏、佐藤和人氏、佐々木原保志氏、上田義彦氏らに師事。日本映画撮影監督協会(J.S.C.)所属。
作品として、『青~chong~』(99年、李相日監督、PFFグランプリ他を受賞)、『青の瞬間(とき)』(01年、草野陽花監督)、『東京大学物語』(05年、江川達也監督)、『リアル鬼ごっこ』(07年、柴田一成監督)『呪怨 黒い少女』(09年、安里麻里監督)などがある。

Beginning 出会い

きっかけは巨匠たちとの出会い!

まず映画『あたしとあたし』の撮影で、始めてD90を使った感想を聞かせていただけますか?

一番衝撃的だったのは、被写界深度ですね。ビデオカメラとはかなり差があります。ビデオカメラは被写界深度が深い、フラットな映像が性格といえるんですが、D90は被写界深度の浅い、ボケのきれいな映像が撮れる。わかりやすく言えばフィルムのムービーカメラの映像に近くて、高級感のある映像なんです。それにはとてもわくわくしました。

草野監督もやはり、被写界深度のことをおっしゃっていました。

最近の映画はビデオカメラで撮影することが多いので、フィルムのムービーカメラのような映像が撮れることにはやはり驚きなんですよ。ビデオカメラで被写界深度の浅い映像を撮る場合には、レンズにフィルターのような機材をつけなくてはいけなくて、予算もかかりますし、強引に背景をぼかしている画が、僕はあまり好きではないんです。だから余計にD90の映像には魅力を感じます。

『あたしとあたし』ではそういった特徴が活かされていましたね。

はい。それに僕は写真も好きで撮るんですが、自分の持っているレンズを使って映画を撮れることが面白かったですね。普段使い慣れている愛着のあるレンズで映画を撮るということは、思い入れも強くなりますし、精神的に楽しかったんですよ。

写真への興味は、映画を撮るようになったことでわいたのですか?

そうですね。ムービーカメラマンの助手時代から、仕事現場でスチールカメラマンの方々と接する機会がたくさんあったんです。上田義彦さんや藤井保さんといった写真界の巨匠と呼ばれる方々の仕事風景を見ているうちに、写真に興味がわきました。

なるほど、フォトグラファーの方々ともお仕事されていたのですね。

はい、フォトグラファーと接する機会は多かったんです。上田義彦さんは広告の写真を撮るだけでなく、CMの監督もされるんですね。だいたいCM撮影の現場には、ムービー部隊とスチール部隊がいて、スチール部隊のメンバーは上田さんの事務所のスタッフの方々で、ムービーの方は我々フリーの人間が担当していました。ある程度チームは固定されるので、僕は2年弱くらい上田さんと仕事をしていたんです。そういう職場環境もあって、写真は身近な存在でした。

第一線の方々とお仕事をする機会があるのは、とても刺激が多そうですね! 印象に残ったことなど教えていただけますか?

正直何が面白かったかというと、フォトグラファーの方の人間性なんです。ずっと映画畑だった僕の目に、スチールの方の考え方が新鮮に映って、惹き込まれましたね。たとえば、映画のカメラマンは格好をつけたがる雰囲気があるんですが(笑)、上田さんしかりフォトグラファーは子供みたいに無邪気で、自分の撮ったものを自分から「これいいでしょ!いいでしょ!」と言ってきたりするんです。そのギャップにまずびっくりしましたね。そんな人柄を見ているうちに、写真も見よう見まねで始めたという感じです。露出など技術に関してはムービーカメラと通じるところがあるので、苦もなく操作できましたし、中判カメラや大判カメラでも撮影するようになりました。