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talk! talk! talk! イラストレーター・福田利之さん


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イラストレーター・福田利之さん

イラストレーター

福田利之さん

糸井重里氏主催のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載中の、写真に描かれた愛らしくどこか不思議な雰囲気を持つキャラクターがとても楽しい人気コーナー「福田のフォト絵」。撮った写真の上にイラストを描き加えてしまうという「フォト絵」の作者は、イラストレーターの福田利之さん。大学生の頃からずっと描き続けてきたという「フォト絵」、その誕生のきかっけから作品づくりの面白さまで独特の世界についておうかがいした。

プロフィール

ふくだ・としゆき。1967年、大阪府生まれ。1989年、大阪芸術大学グラフィックデザイン科卒業。以後大阪を拠点に多数の個展を開催する。昨年から東京にも拠点を置き、エディトリアル、広告の仕事を中心に活躍の幅を広げている。これまでの受賞歴にイラストレーションCHOICE入選、JACA展入選、サンヨウポスターデザインコンペ奨励賞他。2005年に初の作品集「チョコロム!」(パークエディティング)を発売。
大学生の頃から写真に絵を書く作品を作り始め、2004年から「ほぼ日刊イトイ新聞」で「福田のフォト絵」として連載開始。掲載枚数は350枚を超えている。「福田のフォト絵」はこちら(http://www.1101.com/fukuda/index.htmlイメージ:ポップアップウィンドウ)。また、3月からは福田さんがデザインしたという生地「csokolom!(チョコロム!)」の展覧会がシャムア(大阪)、カナカナ(奈良)、ハコ(葉山)、ロバロバカフェ(東京)で順次行われる。

ずっと側にあったカメラ「でも写真が大好きということはなかったんです」

イラストレーター・福田利之さん

今お使いのカメラはフィルムカメラなんですね。

はい、このニコン35Tiを中心に使いながら、最近はデジタルカメラも少し使ったりしています。35Tiはもらいものなんですよ。友達が出したCDのジャケットをちょっと描いてくれと言われて、そのお礼にもらいました。

ニコンの高級コンパクトカメラですね。

すみません、カメラについてはあまり詳しくなくて。

通常のコンパクトカメラと違って露出を変えられたり、レンズによりこだわったりしたカメラなんですよ。

そうなんですか。特にカメラにこだわりもないので、今持っているカメラに合わせて使っているだけなんです。このカメラは簡単に使えていいですね。露出もファインダーを覗いた状態ですぐにわかりますし。
もう1台のカメラはニコンEMで、僕が一番最初に使っていたカメラなんです。中学生の頃に父親に買ってもらいました。

さすが、こちらはなかなか年季が入っていますね。

今もしっかり使えますよ。丈夫ですね。何回かはあの、ホールなんとか……をしているんですけど。ホール、アウトでしたっけ?

ああ、オーバーホールですね(笑)。

そう、そうです(笑)。本当に詳しくなくてすみません。
それまで父親に何かを買ってもらったことってなかったんですけど、初めて父親に買ってもらったのがニコンEMで。父がフォトグラファーだったものですから、その流れもあって買ってくれたんです。

お父様の影響でカメラを始めたのですか?

あ、いえ、そうではなくて、カメラを買ってもらったのは中学生当時にカメラブームみたいなものがあって、友達が持っていたので僕も欲しいと言ったんだと思います。父親がフォトグラファーということで、逆にそれまではカメラを拒絶していたんです。こう、親に反発してしまうような感じで……。

反抗期のような。

ああ、そんな感じかもしれません(笑)。カメラが嫌というより父親のしていることと違うことをしたいという感じだと思います。だから、その後も写真を撮ってはいたんですが“写真大好き、カメラ命!”みたいな時期があったわけではないんです。弟が今フォトグラファーをしているんですが、僕は絵描くことの方が好きだったのでずっと絵を描き続けてきました。「フォト絵」に関してもなんとなくカメラは側にあったので、言い方は悪いんですが利用してみるかというような気持ちだったんです。

大学時代から書き続けてきた「フォト絵」は “よこしま”な動機で生まれた!?

写真の上に絵を描く「フォト絵」。福田さんにタイトルと撮影地名を付けていただいた。「やかましポスト」/ハンガリー・ブダペスト
写真の上に絵を描く「フォト絵」。
福田さんにタイトルと撮影地名を
付けていただいた。「やかましポスト」
/ハンガリー・ブダペスト

その、撮った写真を活かしながらイラストを描き加えるという「フォト絵」ですが、描き始めたのはいつ頃からですか?

えーと、いつ頃だったかな……。社会人になる前あたりに「イラストレーション」という雑誌の「ザ・チョイス」という誌上コンペに「フォト絵」を出して入選したことがあって、その時点で何枚か描いていたはずなので、たぶん大学4年生か3年生か、そのあたりからだと思います。
ちょうど大学3、4年ですから、卒業後の進路と言いますか、イラストを描いてどうやって食べて行こうかみたいなことを考えていた時期だったんです。その頃、赤瀬川源平さんたちが結成した路上観察学会の活動に影響を受けていまして、僕もこんなことをして生きられたら面白いなと思ったんです 。

いろいろな街を散策をしながら、不思議な建物や看板などを見つけて写真を撮るというような活動ですよね?

はい。それが果たして就職につながるかと言ったら違うような気がするんですけど、その頃は街歩きをして、それが職につながったらいいなと思っていたんですよね。写真を撮るだけじゃなく、イラストを組み合わせて路上観察学会みたいなものができたら、もしかしたら食べていけるかなって考えたりしたんです。ですので、「フォト絵」は何かカッコいいアーティストっぽい理由がある訳ではなく、もっとよこしまな感じの(笑)、不純な動機で生まれたものなんですよね。

とても面白いきっかけだと思います。「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載されるようになったのは2004年から、最近ですね。

そうですね。「フォト絵」はそれからもただの趣味と言いますか、それに近い世界でずっと描き続けていたんです。面白いものができたときに周りの人に見せて、感心を示してくれるとうれしいなという感じで。たまたま「ほぼ日」の今の担当の方に見せて面白いと思ってくださって、糸井重里さんにそのとき初めて「フォト絵」という名前をつけていただいて連載を始めました。「ほぼ日」のおかげでようやく世間の目に届くようになったんです。

「象のすべり台」/大阪・中大江公園
「象のすべり台」/大阪・中大江公園

学生時代から描き続けてようやくという。

ええ、「ほぼ日」に掲載されるまではほとんど日の目を見ていないですから、ほんとに、誰にも喜ばれないものをずっとやってきたんだなぁと思います(笑)。
それでもここまでずっと描き続けてきたのは、正直"なんとなく"という部分もあるんですが、ただこのスタイルは自分のオリジナルだという意識が結構あったので、続けていかないといけないんじゃないかという気持ちもあったんです。