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talk! talk! talk! 女優・麻丘めぐみさん


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女優・麻丘めぐみさん

女優

麻丘めぐみさん

子役デビュー後トップアイドルになり女優へ、現在は舞台のプロデュースなども行い、今なお活躍の幅を広げる女優、麻丘めぐみさん。実は「カメラ屋さんに行くと1、2時間は動けなくなる」と言うほどのカメラ好き。仕事柄小さな頃からカメラに慣れ親しんでおり、5年前から本格的に撮りはじめたという。舞台プロデュースにかける思いの高まりとともにカメラへの思いも強くなっていった麻丘さん。写真を撮る楽しさ、面白さと合わせ舞台作りの魅力についてもお話いただいた。

プロフィール

あさおか・めぐみ。1955年、大分県生まれ。大阪育ち。1959年、梅田コマ劇場にて初舞台を踏み、以来、子役・モデルとして活躍する。1972年「芽ばえ」で歌手デビュー。同年、レコード大賞最優秀新人賞を受賞。1973年「私の彼は左きき」で日本歌謡大賞放送音楽賞、レコード大賞大衆賞を受賞。一躍トップアイドルとしての地位を確立し、その年のNHK紅白歌合戦初出場を果たす。以降、女優として数多くのドラマ・舞台に出演している。
数年前からJAZZを勉強している。最近では小劇場のプロデュースや自ら演出したりと舞台制作に意欲的に参加し、2002年から「Theater Dreams Company(シアタードリームズ・カンパニー)」を立ち上げ活動を続けている。

演劇プロデュースをきっかけに 本格的に始めたカメラ

TDC初期の作品「Ties」で使われた写真。チラシのイメージに合わせ、ロケハン、衣装なども自らの手で行っている
TDC初期の作品「Ties」で使われた写真。
チラシのイメージに合わせ、
ロケハン、衣装なども自らの手で行っている

写真を撮り始めたのはいつ頃からですか?

最初に写真に興味を持ったのは、私が歌を唄っていたころ、義理の兄が私の専属フォトグラファーをやっていたことがきっかけなんです。雑誌などの取材で兄の撮影姿を見ていて、面白いなぁと感じたんです。でも、本格的に写真を撮り始めたのはここ数年なんです。5年前、小劇場の演劇をプロデュースすることになって、演劇では必ずチラシを作るんですね。そのチラシに使う写真を自分で撮ったんです。

なぜご自身で撮ろうと思われたのですか?

この演劇をプロデュースする上でチラシをどうしようかと考えたときに、自分の頭の中でこういうものだっていうハッキリしたイメージがあったんです。それをフォトグラファーに伝えて撮ってもらうより、自分で撮ってしまった方がそれをちゃんと表現できるのではないかと思ったんです。
それに小劇場には予算もないですから(笑)。小劇場の基本は「なんでも自分たちでやる」、今はいいカメラも出ているし、フォトグラファーを使わずここは自分で撮りましょうと。

それまで写真には興味のある程度だったのですか?

それまでも一眼レフカメラを持っていましたから、たまに撮ったりはしていましたよ。もともと人物を撮るのが好きだったんです。仕事先で、たとえばドラマの撮影の合間に働いているスタッフさんの姿を撮ったり。でもそうやって本格的に写真を撮ろうって向き合ったのは5年前が初めてでしたね。それで、素人でも簡単にきれいに撮れるものをと思ってその時にニコンUを買ったんです。

撮影はいかがでしたか?

最初の撮影はお天気の良い日に外で撮りましたし、基本的にカメラにおまかせで、露出を計ったり専門的なことはしませんでしたから苦労なく撮ることができました。ただ、シャッターチャンスをつかむのがとても難しかったんです。相手はほとんど撮影経験のない若い役者さんたちでしたからみんな緊張してしまって、もちろん私も緊張していましたし、いい表情がなかなか撮れなくて。役者さんが5人いて、1人ずつの写真と全員集合した写真を何百枚ずつ撮ったりして……結局全部で1000枚以上は撮ったんじゃないでしょうか。そのフィルムを全部写真屋さんに出して、一枚ずつ見て、それはそれは大変ですよ(笑)。

女優・麻丘めぐみさん

それで、納得のいく仕上がりにはなりましたか?

納得というまではいきませんでしたね。最終的に、この中ではもうこれしかないよねっていうことで選びました。でも、全部自分で衣装を考えてロケハンをして撮りましたから、イメージに近いものは撮れたと思います。
このときの撮影場所がすごく大変な所だったんですよ。横須賀の方にたくさん落書きしてある壁があって、その前に5人並んで撮ったんですが、その壁の目の前は大きな国道なんですよ。だから、引きで撮るにはカメラマンの私が道の反対側に居ないといけないんです。国道だから交通量もすごいんですよね。トラックなんかがバンバン通って。だから、車が途切れた一瞬の合間で撮らなくちゃいけなくて、撮ったらまた車が過ぎるのを待って。

タイミングを取るだけで難しそうですね。

ええ、そのときはとにかく大変でしたね。トラックが目の前をすごいスピードで走っている中で撮っているわけですから、写真を撮るのが楽しいなんて感じる余裕もありませんでしたし、役者さんがいい表情をしたところでシャッターを切らなければという気持ちがすべてでしたね。

カメラの前ではその人の素が出る その人の良さを写真に写したい

その後は公演のたびにチラシの写真を撮っているんですね。

ええ。自分の出る公演は撮れませんが、それ以外は私が必ず撮るようにしているんです。ほんとにカメラがいいおかげです(笑)。稽古中の写真を撮ったりもして、その写真をパンフレットに載せたりするんですよ。

麻丘さんに撮られた写真が気に入って、プロフィール用に使っている女優さんもいるとか

役者さんたちがとても自然な表情をしていらっしゃいますね。

私の場合は焼くところまでやるとか、写真を撮る楽しさを追求する、技術的に極めていくというのとはまた違って、役者さんがいかによく見えるか、いい表情を撮れるかということが大切なんです。
モデルさんと違って、若い役者さんたちは撮影の機会があまりないですから表情をうまく作れないんです。舞台の上ではいろいろな表情をしているんですけど、カメラの前に立つとガチガチに固まっちゃって、「いったいどうしちゃったの?」って感じですよ。だからいつもおしゃべりをしながらタイミングを計って撮るんです。最初はカメラに慣れるために、捨てるような気持ちでシャッターを切っています。

それでこんな自然な表情を引き出されているのですから、リラックスさせるのがお上手なんですね。

たぶん普段から、宴会のときは宴会部長みたいなことをしているからじゃないでしょうか。盛り上げ隊長みたいな(笑)。「何でいつも私なの?誰か盛り上げてよ」って言いながらそういうことをいつもやっているタイプなので、わりと自然に雰囲気づくりはできるのかなと思います。
あとはやっぱりシャッターチャンスが難しいですね。撮る側と撮られる側の息が合ってないといい写真は撮れないんです。呼吸というとか、ここっていう瞬間があるんですね。それが合わないときはなかなか辛いですね。私自身長く撮られてきていますから、そういう気持ちはよくわかるんです。

麻丘さんに撮られた写真が気に入って、プロフィール用に使っている女優さんもいるとか
麻丘さんに撮られた写真が気に入っ
て、プロフィール用に使っている
女優さんもいるとか

撮られる側の気持ちもわかる分、撮る側になったときに活かされることもあるのでしょうね。

そうですね、3歳から撮られていますからね。経験が撮影に活かされていると思います。だから、私からすれば「なんでこんな簡単なことができないの?」なんて思ったりして(笑)、「いやいや、普通は難しいことなんだ」って思い直して撮っていますよ。
面白いのはね、女優さんに「かわいい、かわいい」って言っているとどんどん表情が美しく変わってゆくんです。俳優さんには「かっこいい、かっこいい」って言っても同じ。逆に「その表情ダメ」っていうとガクっと落ち込むし、反応が早いんですね。今の若い人たちって、人から何か言われたりほめられたりすることがあまりないんでしょうね。だから戸惑ったり喜んだり、素直に表情で反応してくれることがとても面白いんです。

最初の頃とは違って、麻丘さんご自身でも写真を撮ることを楽しめるようになったんですね。

ええ、最近では楽しめるようになりました。撮っていて、つくづく人物を撮るのは面白いなと感じます。カメラの前ではみんな素が出るんです。普段緊張したり慌てたりしないだろうなっていう人が、みるみる汗をかいて緊張していたり、かと思うと冗談を言った瞬間にすっと力が抜けていく感じがわかったり。写真を見るといつもと違うその人の良さが出ることがあって、そういう写真が撮れたときがすごく楽しいし、役者さんが「私じゃないみたい、この写真はサギよね(笑)」って冗談いいながら喜んでくれると私もとってもうれしいんですよ。