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talk! talk! talk! シンガーソングライター・谷山浩子さん


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シンガーソングライター・谷山浩子さん

シンガーソングライター

谷山浩子さん

子供の頃に枕元で聞いた不思議なおとぎ話。
家に帰るときに感じた夕暮れのせつなさ。
シンガーソングライターの谷山浩子さんは幻想的で、どこか懐古的な独特の世界を透明感のあるやわらかい歌声に乗せ、デビュー以来、多くのファンを魅了し続けている。
そんな谷山さんに突然訪れた「カメラブーム」。
愛用のFM2で多くの写真を撮っているという谷山さんに写真の話はもちろん、歌の話や今後の活動など、幅広くお話をお聞きした。

プロフィール

たにやま・ひろこ。1956年、東京生まれ。早くからその才能を発揮し、1972年、15歳の時に「静かでいいな」をキングレコードから発売。事実上のデビューを飾る。1974年に、当時多くのアーティストがプロへの登竜門として受けたヤマハポピュラーソングコンテスト本選会に出場し、「お早うございますの帽子屋さん」で第7回の入賞を果たす。1977年、シングル「河のほとりに」で本格デビュー、プロとして活動を始める。
NHK「みんなのうた」、CFなどにも曲が使われるなど各メディアでも活躍を続けている。2002年には、主演・音楽を担当したNHK-FM FMシアター「神様」(原作:川上弘美)が2002年度文化庁芸術祭ラジオ部門大賞を受賞。これまでに、オリジナルアルバムを30作品発表しており、近作には、2003年に「宇宙の子供」をリリースしている。
デビュー以後、全国各地でコンスタントにコンサートを行い、その独自の高い音楽性と内容は各地で好評を得ている。要望があれば、日本全国どこへでも出かけてコンサートを行うという「101人コンサート」は、1987年からスタートし、300回を超えている。1998年には芝居仕立てのコンサート「幻想図書館」を開催。2002年には2作目を発表し、好評を得る。2004年8月7、8日には「空間読書の会」第1回公演「第七官界彷徨」を開催。また、9月18日より、4つのプログラム構成で行われる定番コンサート、「猫森集会2004」を全労済ホールスペース・ゼロで開催予定。詳しくはhttp://www.yah.ne.jp/イメージ:ポップアップウィンドウまで。

突然やってきたカメラブーム 愛用機は師匠もオススメのFM2!

シンガーソングライター 谷山浩子さん

写真を撮られるようになったのはいつ頃からですか?

2000年ですね。突然カメラブームがやって来たんですよ。今思い出してもなぜ写真を撮りたくなったのか、はっきりした理由がわからないんです……多分、雑誌などを見ていてふっとそんな気になったとか、その程度だと思うんですけど、とにかく急に写真を撮るということをしたくなって。それでカメラが欲しいと言ったんです、夫に。

ご主人にですか?

ええ、彼はカメラがすっごく好きなんですよ! それまでは私がカメラに興味が無かったこともあって、あまりカメラの話をしたことがなかったんです。それに、写真を撮るというよりは、カメラや、特にレンズを集めるのが好きだったらしいんですが、しばらく押し入れに冬眠状態だったんですよ。だから、私が撮りたいって言い出した途端に彼も趣味を復活させて、どういう機種を選んだらいいのか非常に熱心に話してくれまして、それでこのFM2を買ったんです。

FM2を買った決め手はなんだったのですか?

あの、師匠がですね(笑)、とにかくニコンが好きなんですよ。もともと鉄道が好きだったので、カメラの中でも、精密で、機械っていう感じがするものが好きなんだそうです。ニコンは野暮ではなくてきっちりと作り込まれた機械の美しさがあるって言ってました。それで、実際に買いに行ったときにいろいろなカメラを見たんですけれど、私も曲線を多用したようなデザインのカメラにはあまり惹かれなくて、師匠もオススメのFM2のデザインが気に入ったんです。持ってみたら手にしっくりきて、あ、これ持ちたいって思いました。

それまではまったくカメラに興味を持ったことはなかったのですか?

もう20年以上前のことですけど、会った人の顔を撮っていたことはありましたね。でもそれは写真を撮りたいというのではなくて、人の顔写真をコレクションしていたんです。どんな写真かというのは関係なくて、ただ会った人に1枚づつ撮らせてもらっていました。でも、結構な枚数になりましたよ。2000枚近くあります。

凄い枚数ですね!

撮った写真をひとりで部屋の中で見ているっていうのが、なんだか楽しかったんですよね。でも、写真に名前や日にちを入れたりしていなかったので、後で誰だかわからなくなった写真も結構ありましたね。後でスタッフに、「これ誰だっけ?」って聞いてました(笑)。でもそれもいつの間にかやらなくなってしまって。だからやっぱり写真を自分で撮りたいっていう欲求が出たのは、2000年が初めてですね。

日が落ちる街角で撮影大会「剥げていたり、色褪せた感じのものが好き」

先日ご主人と出かけたという神保町で撮影した写真。トタンが錆びて褪せている
先日ご主人と出かけたという神保町で撮影した写真。
トタンが錆びて褪せている
ふと目にとまったという愛嬌たっぷりのタヌキの置き物。よく見ると、一匹だけカメラ目線
ふと目にとまったという愛嬌たっぷりのタヌキの置き物。
よく見ると、一匹だけカメラ目線

どんなものを撮影されているんですか?

街を歩いていて気になった建物とか、看板とか、置いてあるものです。特に好きなのは雑然としたものと、色が褪せた感じのものです。人が長く暮らしている場所や商売をしている場所、ずっとそこに置いてあったものだったり、ちょっと色が焼けて褪せていたり剥げていたりするもの。そういう、ちょっと時間の経過を感じるようなものに惹かれるんですよ。きっと、私は子供の頃の日本が好きなので、その風合いが感じられるものを撮りたくなるんでしょうね。
でも、本当は人間を撮りたいんですよ。街中で歩いている人とか、立ち止まっている人とか見ると撮りたくなるんですけど、やっぱり知らない人を撮るのは気がひけてしまって、レンズを向けられないんですよ。それは気が小さいせいでもあるんですけどね。

カメラはいつも持ち歩いているんですか?

その頃は、出かけるときはいつも持ってましたよ。街中だけではなくて、水族館に行ったり海に行ってみたり、とにかくいろんなものを撮ってみようってことで出かけてましたし。師匠と出かけるときは、大体撮影会になってました。
ただ、今は生活習慣を変えたんですけど、以前は完璧な夜型で、起きるのが3時とか……午後のですよ(笑)。それから出かけると撮影するときには暗くなってしまいますよね。だから、いつも夜の暗い写真ばかり撮ってました。暗いものは好きなんですけど、夜の写真って撮るの難しいでしょ。周りに光源があったりするとうまくいくこともあったんですが、見たままの薄暗い景色をそのままに撮りたいのに、なかなか撮れなかった。最近は明るい時間に動くようになったので、昼間の写真も撮れるようになりました。やっぱり昼間の方が楽にちゃんと撮れますね(笑)。

カメラを持ち始めてからと持つ前で、何か変化したことはありますか?

物の見方が変わりましたね。それまでも物を見ることは結構好きだったんですけど、意識的に注意して物を見るようになるくせはいつの間にかつきましたね。あと、人間の目って意外とそのままを見ていなくて、見たいように見ているものなんだなっていうのに気づきました。

見たいように見ている?

写真に撮って見てみると、自分の見ていなかったものが写っていることが多いんですよ。いつも見ている人なのに、その人の顔を撮ってみたら、顔立ちから全然印象が違っていて、「おお、そうか!」って発見するんです。だから、人の視線というのは本当に主観的な思いを通して見ているものなんだなって思いました。
もうひとつ、ズームレンズを使ってみて発見したのは、同じものでも、ズームレンズで遠くを写したのと、そこまで自分が歩いていって写すのとは随分と違うものなんだなぁってこと。自分は近づいていないのに、レンズがそこにどんどん近づいていくのって、あんまり愉快な感じではないんですよね。だから私は、50mmの単焦点レンズで撮影することが多いですね。