Nikon Imaging
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talk! talk! talk! ミュージシャン・坂崎幸之助さん


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ミュージシャン・坂崎幸之助さん

ミュージシャン
坂崎幸之助さん

「小さい頃から一度のめり込むととことん突き進む性格だった」と語るミュージシャン・坂崎幸之助さん。1974年にTHE ALFEEのメンバーとしてプロデビューし、現在も日本のミュージックシーンのトップを走り続けている。
そして、音楽と同時期に始めたカメラも趣味の域を越えるほどに坂崎さんを夢中にしているようだ。その興味は撮るだけにとどまらず、古カメラのコレクターとしても腕を鳴らしている。そんな坂崎さんならではのカメラとの付き合い方についてたっぷりと語っていただいた。

プロフィール

さかざき・こうのすけ。1954年、東京都生まれ。大学在学中に桜井賢、高見沢俊彦とロックバンドを結成し、1974年8月に「THE ALFEE」としてプロデビュー。デビュー以来、日本を代表するバンドとして安定した人気を誇っている。中学生から始めたというアコースティックギターは日本屈指の演奏技術を持ち、THE ALFEEのアコースティック・サウンドのキーマンとなっている。親しみある話術でラジオのパーソナリティーとしても人気になり、2002年には幻のフォークグループ「ザ・フォーク・クルセダーズ」の34年ぶりの再結成に参加し、話題になった。
 また一方では、音楽以外にも様々なジャンルに造詣が深く、熱帯魚、両性爬虫類の飼育、和ガラスのコレクション、古カメラのコレクション&カメラマンとして趣味の範囲を越えて高く評価されている。著書には『フォクトレンダー・ストリート・スナップ2000』アルファベータ・共著、『吉田拓郎のワイハーヘ行こう!』ワールドフォトプレス ・撮影担当、『和ガラスに抱かれて』コロナ・ブックス、『ネコロジー』音楽専科社、『ニューヨークスナップ』アルファベータ、『坂崎幸之助のJ-POPスクール』岩波アクティブ新書、等がある。

ニコンのカメラは『プロの道具』 頑丈なところが一番の魅力

坂崎幸之助さん

本日は、坂崎さんの数あるカメラの中からニコンFとS2をお持ちいただいています。

このS2は僕が生まれた1954年に発売されたものなんです。だからS2はずっと欲しいと思っていてようやく手に入れたものなんですよ。(シャッターを何度も切りながら)この巻き上げの音はニコン独特の柔らかさがありますよね……。
 実はニコンのカメラを手にしたのは、ほんの10数年前なんです。カメラは小学生ぐらいから使っていたんですが、一眼レフカメラは大人になってから使うようになったんです。その頃はまだニコンは敷居が高くてね。ニコンを使うには心してかからないといけないという気持ちがありましたから、実際手にするまでには結構時間がかかったんです。

初めて手にしたニコンのカメラは何だったのですか?

親戚のおじさんからおさがりでもらったF2です。

実際にニコンのカメラを手にされた時の感触はいかがでしたか?

F2もそうでしたが、それよりも初めてFを手にした時の方が「ああ、これがニコンだな」って感じましたね。デザインの持つ雰囲気や、この頑丈なところはいかにも“プロの道具”としての存在感がありますよね。なんだか……このまま戦えそうですよね。暴漢に襲われてもペンタプリズム部分で叩いたりしたら、かなり痛そう(笑)。

それぐらい頑丈だと。

そう、カメラなのに護身に使えそうな……。でも、そういう雰囲気を持つカメラって他にあまりないですよ。そこがFの魅力だと思います。きっとリアルタイムでFに出会った方は感動したと思いますよ。僕は後になって「やっぱりFはいいなぁ」と思ったクチですけど、発売当時からFを使っていた方にとっては凄く思い入れの強い機種なのでしょうね。

古いカメラは思い通りに写らない 「優等生じゃないところがいいんです」

坂崎さんはカメラの収集をしていらっしゃるそうですね。

収集してますね。ニコンは、SとS2とSP、FはF3まで持っています。最近のものより、戦前から1960年代ぐらいまでのものがおもしろいですね。一番好きなのは1950年代、60年代かな。明治、大正あたりのものは古すぎてしまって実用的ではないんですよ。

実用的というのは大前提なんですね。

もちろん。カメラは使うべきもので、鑑賞用ではないですからね。やっぱり写真を撮ることがカメラの面白さのひとつでしょ。撮るまでの苦労と面倒臭さ、それから現像に出している間の期待と不安、最後に実際に写真を見て、どんな感じで撮れているのかっていう結果ね。古い機種やレンズにはそうとうできの悪い子がいますから、なかなか予測がつきづらいんですよ。でも、僕にとっては思い通りにいかないところが面白いんですよ。いわゆる優等生じゃないところが。

そして予測がつかないからこそ現像を待つ時間も楽しいと。

そうです。今はデジタルカメラがありますからすぐに見ることができますけど、でき上がりを待つ時間があるというのが本来の写真との付き合い方なのかなと思います。1時間以内ですぐできちゃう所も多いですが、以前は1日、2日かかってましたよね。その間にドキドキしながら待って……まぁ、でき上がったのを見てえらくがっかりすることも多々ありますよ。全部アンダーだったり、中には真っ黒だったりして「うわぁ! こんなのしか撮れてない」って。でも失敗は失敗でまた楽しいんですけどね。

『ボロボロだけどちゃんと動く』そういうカメラほど愛着が湧く

坂崎幸之助さん

古いカメラには他にどのようなところに魅力を感じるのですか?

どんな人が使っていたのか、どんな経緯で自分のところに来たのか、そういうロマンを感じさせる所ですね。前は中古って苦手だったんです。ヴィンテージギターも同じで、前に使っていたミュージシャンの癖があったりとか、魂が入っているんじゃないかとか、そういう感覚が嫌だったんです。でもギターもカメラも、ある時期からそれがロマンに変わりました。

どんな人が使っていたかというのは予測がつくものなんでしょうか?

いや、ほとんどつきません。たとえば、このFはここまで使い込んでいるんだからプロの人だろうなとか、それぐらいです。あとね、このFの「Nikon」ってロゴは削ったか何かで消えているんです。それに変な所に穴が空いているからきっと改造したんでしょうね。これは相当怪しい人だと思いますよ(笑)。ジャーナリストか、報道陣か、戦争に行った人かもしれない。そうやって想像するのもまた楽しいでしょ。

ボディのメッキの風合など、長年使っていないと出せない味わいがありますね。

そうなんですよ。僕はきれいなものには全然魅力を感じないんです。ボロボロだけどちゃんと動くっていうのが一番のポイントなんです。そういうヤツほど愛着がありますよ。「よくぞここまで生き延びて僕の所に来たねぇ」って。最初はシャッターの感じとか、前に使っていた人の癖が残っているからすごく違和感があるんです。それが使い慣れてくると自分のものとして不思議と馴染んでくるからさらに愛着が出てきます。

1台1台に愛着が湧くと、どのカメラを使っていいのか迷ってしまいませんか?

今日はどのカメラにしようかと考えた時に、誰かが使っていたとか、雑誌に載っていたとか、結構周りに影響されることが多いんですよ。だからそれほどは迷いませんね。
でも、失敗のない、信頼のおけるカメラというのもあって、それを含めて何台か選ぶことが多いです。最近はNew FM2を使っています。一眼レフカメラの中では今一番使っているかな。1つはそういった確実なカメラ、もう1つはやんちゃだけど面白いヤツとか不良なヤツにしてみたりするんです。そういうヤツに限って案の定、大事な時に失敗したりするんですけど、それはそれでかわいいですよ(笑)。