Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

talk! talk! talk! 料理家・イラストレーター・ケンタロウさん


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料理家・イラストレーター・ケンタロウさん

料理家・イラストレーター
ケンタロウさん

独自のスタイルで感性を活かした料理を創作している料理家兼イラストレーターのケンタロウさん。おいしくて手軽にできると評判の料理は、初心者からベテランの主婦まで、あらゆる世代に愛されている。
そんなケンタロウさんの趣味のひとつがカメラ。「なんでも写真に残しておきたい」という思いから常にカメラを持ち歩いて撮影しているという。今回は、カメラにまつわるエピソードから、仕事に対する思いまで、たくさんのお話を語っていただいた。

プロフィール

1972年東京都生まれ。武蔵野美術大学中退。大学在学中よりイラストレーターとして活動を始める。
その後、料理研究家の母、小林カツ代さんのアシスタントを勤め、料理家としてデビュー。『料理の鉄人』『発掘あるある大辞典』(ともにフジテレビ系)、『パパパパパフィー』(テレビ朝日系)、『魔法のレストラン』(毎日放送系)などのテレビ出演、『TANTO』、『LEE』、『オレンジページ』、『レタスクラブ』、『Chou Chou』などの料理ページ、J-WAVE、東京FMなどのラジオ出演の他、料理教室、各種公演、食品、食器等の商品開発など、幅広く活躍する。書籍は『とびっきりの、どんぶり』(文化出版局)、『ケンタロウの基本のウチめし』(オレンジページ)など多数出版している。また、料理ページ以外に、『LIVING DESIGN』他、雑誌・新聞などでのエッセーの執筆も多い。
料理は若者の視点で「簡単でおいしくて洒落っ気があって現実的なもの」をモットーに、ひとり暮らしや一般家庭、若者、初心者、主婦、男性、年配の方など様々な層に向けて、ジャンルにこだわらず展開。作る楽しさと食べる楽しさに重点を置きながら、「また、食べたくなる料理」を提案する。
イラストは雑誌・書籍での料理カットはもちろん、人物(ファッション)も得意とする。また、店舗のロゴマークや本の装丁など、グラフィックデザインも手がける。

毎週、山のように撮影した大学時代 「授業にはきちんと出ておくべきです(笑)」

カメラを始められたのはいつ頃からですか?

大学生の時です。学校で写真の授業があって、初めて一眼レフカメラを使って、マニュアルで撮影をしました。それまではコンパクトカメラでスナップ写真を撮る程度だったので、初めての一眼レフカメラには衝撃を受けました。父親がカメラが好きで、一眼レフカメラでの撮影は見ていたんですけどね、使ってみるとやはり違いますね。

授業の内容は、どのようなものだったのですか?

とにかく山のように写真を撮っていましたね。というのも、毎週70枚の提出が義務付けられていたんですよ。毎週毎週70枚ですから、それはもう大変な枚数を撮りました。

70枚もですか!

そうなんですよ! ひと口に70枚といっても、実際、提出する僕にとっては途方もない枚数に感じられましたね。何せ10枚撮って、やっと1枚「いいな」と思えるものがある程度でしたから……。ということは、700枚撮ってやっと70枚提出できるっていう計算じゃないですか。おまけに現像も、焼きつけも自分でしないといけなかったので、本当のことをいうと「ボツだな」と思う作品も提出しちゃっていました(笑)。

提出する70枚は、毎週テーマが決められていたのですか?

ええ、そうです。たとえば「学校の中のものを自分の目線で切り取る」とか、身近なテーマがほとんどでしたね。「学内の学生を撮る」というテーマを出されたときは、校内の学生みんながカメラを持ち歩いていました。僕の受けていた講議だけでなく、各学科で同じような課題が出されていたんですよ。このときは、校内のあちこちでミニ撮影大会が繰り広げられていました。もちろん僕もカメラを持ち歩いて被写体を常に探してましたよ! 味のある顔の人や、特徴的な顔だちの人、女の子だったらかわいい子(笑)とかを見つけては、「ちょっと1枚撮らせてもらえるかなーっ?」って。それで無事に撮影が終わると、今度は相手がおもむろにカメラを取り出して、「私も撮っていいかな?」って……(笑)。そんな光景がキャンパスのいたるところで見受けられましたね。

外部の人からは、ちょっと不思議な光景に見えますね。授業とはいえ、初めての一眼レフカメラでマニュアル撮影では、相当、ご苦労なさったんじゃないですか?

ケンタロウさん

苦労というわけでもないのですが、たとえば露出をどうすればどういう風に撮れるのかといった撮影の技術的な部分で戸惑ってしまいましたね。学生当時、露出の講議が2時間あったのですが、僕はその授業をサボってしまったんです。だから実は今でも、露出と絞りっていうのがいまいちよくわかっていない(笑)。最近、カメラの説明書を読んで、絞りを絞ると広くピントが合うとか、開けると背景がぼやけるな、とか、その程度のことがやっと少しわかってきたんです。もう10年くらい写真を撮り続けているのに、そんな程度なんです。今さらながら、授業をサボったことを後悔していますね。やっぱり授業にはちゃんと出ておくべきです!

(笑)絞りや露出の仕組みというのは、しっかり理解してしまうのがいいかもしれませんね。ニコン塾というのもあるんですよ。よろしかったら受講してみてください。

ありがとうございます。確かに知識があれば、撮影時の周囲の明るさや被写体に応じて自分の撮りたいと思う写真を撮れるでしょうね。
 僕もね、同じ被写体で露出を変えながら試し撮りをしてみたことがあるんですよ。でも被写体が暗かったせいだとは思うんですけど、プリントしたものを見ても違いがちっともわかりませんでした(笑)。やっぱりまだ謎ですね……。でもシャッタースピードは理解しています! 僕みたいに撮影時にフラフラしてしまう人間には、手持ちでは1/30秒が限界だな、と。でも、いずれにしても、この課題のおかげでカメラのことを、写真のことを好きになったといっても過言ではありません。撮ってるうちに、「おもしろいな」って思うようになりましたから。

ケンタロウ流カメラライフ 『計算せずに、感じたままを撮る』

Photo 撮影:ケンタロウさん
韓国の市場の店先に積んであった
ビンの山。買ったキムチを取り
分ける器だそう。
「なんでもないものでも、
写真に残すと実際と全く違う
表情に写ることもある」

ケンタロウさんは、普段から常にカメラを持ち歩いていらっしゃるそうですね。

はい、いつもリュックサックの中に一眼レフカメラとコンパクトカメラの両方を入れて持ち歩いています。なにかあれば出してすぐに撮影する。僕の場合、撮りたいものがあって撮影しに行くのではなく、行った先で目に付いたものを撮影するんです。

撮影に行かれない理由はあるのですか?

これはいい絵になるぞって思って、すごく考えたり狙ったりした写真ほど、仕上がりがダメなんですよ。計算しちゃダメなんです、僕は。きっと、プロの方は狙って撮ったものが素晴らしいんでしょうね。

何も考えずに撮ったものほど、意外な仕上がりを見せたときの感動がありますよね。他に撮影するときにこだわっている点などはありますか?

旅行の時などは特に、とりあえず目についたものを何でも撮っておくようにしています。撮っても撮らなくてもいいような写真もいっぱいあるんですけど……後で撮っておけば良かったと後悔するならば、フィルムが無駄になったと後悔するほうがいい。

技術的な面ではどうですか? たとえばライティングとか……。

プロの方はライティングが個性的だったり、自然光でも光を捕らえるのがうまいと思うんです。でも僕はどっちから光が来ているからどういう風に撮れる、なんていう意識はありません。それよりもフレーミングを第一に考えています。シャッターを押す時は、この風景をどう切り取るかに集中していますね。

なるほど。ホームページに載せている料理の写真などは、被写体に寄って撮影されていますよね。

料理の写真は、寄って撮影したものが一番おいしそうに見えますからね。あと、人が食べる時って、周りのものは視界にあっても、実際はその料理しか見えていないですよね。だから、僕の撮影する料理の写真で寄りの写真が多いというのは、見た感じに近いからという理由もあります。