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星空案内 2016年3月の星空

星空案内:3月の星空

3月9日は部分日食。朝10時ごろから昼12時ごろまで見られます。平日ですが、日食グラスなどを用意してぜひ観察してみましょう。

夜空には「しし座」や「北斗七星」が見やすくなり、春の訪れが感じられます。木星の輝きにも注目してみてください。

星空写真開く


撮影:高岡 誠一

渋峠にて

撮影者コメント
東天に昇ったばかりの“かに座”のプレセペ星団を、双眼鏡で見たイメージにするため中望遠レンズで作画してみました。

2014年10月25日 23時52分
ニコン D4S+AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II(ISO 12800、露出2秒×4枚を合成、135mm、f/2.8)、レンズ用フィルター使用

3月の星空開く

南の空

2016年3月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空のようすです。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

月は、満月(23日)、上弦(16日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

2016年3月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空のようすです。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

3月の天文カレンダー開く

1日(火)   未明~明け方、月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説)
2日(水) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
未明~明け方、月と土星が並ぶ
3日(木)   未明、月と土星が並ぶ
7日(月)   明け方、細い月と金星が並ぶ
9日(水) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
部分日食(朝10時ごろ~昼12時ごろまで。「今月の星さがし」で解説)
木星が衝(一晩中見えるので観察の好機です)
14日(月)   夕方~深夜、月とアルデバランが大接近
16日(水) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
20日(日)   春分
夕方~翌21日未明、月とレグルスが接近
このころから、未明~明け方の空で火星と土星、アンタレスが並んで見える(「今月の星さがし」で解説)
21日(月)   深夜~翌22日未明、月と木星が並ぶ
22日(火)   夕方~翌23日未明、月と木星が接近
23日(水) 満月。次の満月は4月22日です
半影月食(宵のころ、満月がわずかに暗くなります)
25日(金)   未明~明け方、月とスピカが並ぶ
宵~翌26日未明、月とスピカが並ぶ(明け方とは並び方が変わります)
29日(火)   未明~明け方、月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説)
30日(水)   未明、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)

3月の惑星開く

水星

水星は太陽に近く、見えません。

4月上旬ごろから、夕方に西の低空に見えるようになります。

金星

金星は、上旬の間は明け方の東南東の低空に見えます。とはいえ、日の出30分前(東京で5時半ごろ)の地平線からの高度は5度ほどしかないので、見晴らしの良いところで探してみましょう。

マイナス4等級と明るいので、視界が開けてさえいればキラキラと輝く様子が肉眼でも簡単に見つけられます。7日に細い月と並びますので(月が右上、金星が左下)、早起きして眺めたり写真に撮ったりしてみましょう。

火星

火星は「てんびん座」から「さそり座」を動いています。深夜11時ごろに昇ってきて、明け方4時ごろに南の空に見えます。明るさは約0等級です。

5月31日の地球最接近に向けて、さらに明るさと赤さが目立つようになってきました。月末ごろからは「さそり座」の赤い1等星アンタレスと並び、赤い2つの星の共演が楽しめます。やや離れたところにある土星とあわせ、3天体の色や明るさを比べてみましょう。

1日の未明から明け方に月と接近します。また29日の未明から明け方にも月と接近します。肉眼でも美しい光景を楽しめるので、ぜひ眺めてみてください。

木星

木星は「しし座」と「おとめ座」の境界あたりにあります。ほぼ一晩中見え、真夜中ごろに南の空の高いところに輝きます。明るさは約マイナス2.5等級です。

9日に「衝(しょう)」となり、地球を挟んで太陽の反対側に位置します。衝の前後は太陽の反対にあるので一晩中観察でき、さらに地球からもっとも近いころなので明るく大きく見えるため、木星観察の絶好機です。ぜひじっくり観察してみましょう。

双眼鏡で眺めると、木星の周りを回るガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)がわかります。衛星の並び方が日々変わる様子を確かめてみましょう。天体望遠鏡では衛星だけでなく、表面の縞模様や大赤斑という巨大な渦巻き模様も見えます。

21日深夜から22日未明にかけて月と並びます。また22日夕方から23日未明にかけて、満月前の明るい月と接近します。月との接近は肉眼でもじゅうぶん楽しめるので、ぜひ眺めてみてください。

土星

土星は「へびつかい座」にあります。日付が変わるころに昇ってきて、明け方の南東の空に見えます。明るさは約0.2等級です。

天体望遠鏡で観察すると環が見えます。未明から明け方に天体望遠鏡を準備するのは大変ですが、意欲のある方は観察してみましょう。

肉眼や双眼鏡では、月末ごろから火星や「さそり座」のアンタレスとやや離れて並ぶ光景を楽しみましょう。とくに色や明るさの違いに注目してみてください。また、2日、3日、30日の未明には月も並んで見えますので、4天体の共演を見たり撮ったりしてみましょう。

今月の星さがし部分日食/火星と土星、アンタレスの接近開く

今月は何といっても9日のお昼前ごろに見られる日食が一番の注目。あまり大きな欠け方ではありませんが貴重な機会です。一目だけでも見ておきたいですね。夜空の天文現象では、火星と土星、アンタレスが接近する様子をご案内します。

9日のお昼前に部分日食

3月9日の朝10時ごろから昼12時ごろにかけて、太陽の一部が月に隠される部分日食が全国で見られます。日本国内で日食が見られるのは2012年5月21日の金環日食・部分日食以来、約4年ぶりです。

次に日本で日食が見られるのは2019年1月6日(部分日食)と、約3年後です。遠くに出かけることなく日食が見られる機会は珍しいので、ぜひ観察してみましょう。


東京から見た部分日食。月は位置がわかるように強調して表示(実際には見えない)




主な地点での、欠け始めの時刻と一番大きく欠ける時刻、および一番大きく欠けた時の太陽の形

太陽が欠け始める時刻や、欠け具合がもっとも大きくなる(食最大の)時刻は、観察する場所によって異なりますが、おおむね「10時ごろに欠け始め、11時ごろにもっとも大きく欠け」ます(終わりの時刻は示していませんが12時ごろです)。

平日の午前中なので観察時間を確保するのが難しいかもしれませんが、早めにお昼休みを取るなど工夫してみてはいかがでしょうか。太陽が完全に隠される皆既日食のように劇的な変化はありませんが、見慣れない形の太陽の姿を確かめるだけでも面白いものです。

日食中の太陽は、南東から南の方向にあります。太陽の位置は数日~1週間前の同時刻の太陽とだいたい同じ方位、高さなので、建物に邪魔されないかどうかなどを事前に調べておきましょう。

さて、日食観察は太陽を見ることと同じなので、「日食グラス」など安全性が確認された専用の道具を正しく使う必要があります。不適格な道具では、太陽のまぶしさは抑えられても紫外線や赤外線などを防ぐことはできず、目を傷める可能性があります。

  • 撮影用のフィルターなどは、眼視用には使えません
  • 日食グラスなどを、双眼鏡や天体望遠鏡と組み合わせて使ってはいけません
  • 長時間太陽を見続けないように心がけ、ときどき目を休めましょう

日食グラスを使うと、太陽以外は見えなくなります。太陽を見ていないときにグラスを外すのはもちろんのこと、段差や歩行者、車など、安全にも配慮が必要です。とくに子供が観察する際には、日食グラスの正しい使い方や周囲の様子の確認など、大人がしっかりと気配りしましょう。

同じ3月9日、インドネシアやグアム近海付近では太陽が月に完全に隠される皆既日食が見られます。インターネットやテレビで中継があるはずですので、こちらも楽しみにしておきましょう。

火星と土星、アンタレスの接近

未明から明け方の空には夏の星座が姿を現しています。そのうちの一つ、赤い1等星アンタレスが目印の「さそり座」のあたりに火星と土星が接近しており、3つの明るい星が南の空を彩っている光景が見ものです。

星や星座の名前がわからなくても、未明から明け方に南の空のやや低いところを眺めて、3つ明るい星を見つけられればO.K.です。赤い2つのうち高いほう(少し明るいほう)が火星、もう1つがアンタレスで、その2つの左(東)に見えるやや黄色っぽい星が土星です。

火星や土星は惑星なので、星座の星々の中を動いていきます。土星の見かけの動きはゆっくりなので位置の変化に気づかないかもしれませんが、火星の見かけの動きは速いので、1週間ほどの間にアンタレスとの間隔がどんどん小さくなっていくのがわかるでしょう。図では未明3時の様子を示していますが、3月下旬になれば0時ごろには南東の空に同じような光景を見ることができます。少しだけ夜更かししてみましょう。

3つの星が集まっているだけでも美しいものですが、1~3日と29日、30日には近くに月も並んで、さらににぎやかになります。こうした天体の接近は肉眼で気軽に楽しむことができるので、ぜひ眺めてみてください。


未明3時の南の空。図中の月はやや大きめに描画。円は標準的な双眼鏡の視野(直径7度)を表す

今月の星座かに座開く

『かに座』

今月の星座では「かに座」をご紹介しましょう。

3月中旬の夜9時ごろ、真南の空の高いところに「かに座」が見えています。一番明るい星でも3.5等級しかないので、町明かりがあるところでは見つけられないかもしれません。「ふたご座」のポルックス、「しし座」のレグルス、「こいぬ座」のプロキオンという3つの1等星でできる三角形の中あたりあるので、位置の見当はつけやすいでしょう。


「かに座」
それぞれの囲み円の表す範囲は異なり、プレセペ星団は7度(標準的な双眼鏡)、M67は1度(低~中倍率の天体望遠鏡、直径が満月約2個分)、二重星かに座ιはさらに大きく拡大したイメージ

暗い星座ですが形は比較的わかりやすく、かにの甲羅にあたる小さな四角形やそこから伸びる手足の位置に星が並びます。高く上ると町明かりの影響もやや小さくなりますので、月明かりの影響も小さいタイミングを狙って双眼鏡でたどってみましょう。

プレセペ星団M44

甲羅の4つの星の部分には、たくさんの星々が集まっています。「かいば桶(馬の餌桶)」という意味の「プレセペ星団」という名前が付けられた星団で、プレセペの南北にある星(2匹のロバ)が“かいば”を食べている姿に見立てたものとされています。英語では「ビーハイブ(蜂の巣)星団」とも呼ばれ、メシエカタログという天体リストの44番目の天体なので「メシエ44、エム44」という番号でも知られています。

プレセペ星団は、空の条件がよい所では肉眼でも存在がわかるほど明るく立派な天体です。「ふたご座」のポルックスと「しし座」のレグルスの間あたりを眺めてみましょう。町中でも、双眼鏡を使えば見つけられるはずです。天体望遠鏡で見る場合には、低倍率にして広い視野で観察するとよいでしょう。

散開星団M67

プレセペ星団だけでなく、かにの南側のはさみの先あたりにもM67という星団があります。プレセペ星団ほどではないもののこちらも比較的見やすく、空の条件が良いところでは双眼鏡で簡単に見つけられます。双眼鏡や天体望遠鏡で、2つの星団を見比べてみましょう。

二重星かに座ι星

かにの北側のはさみの先にあるι(イオタ)星は黄色っぽい4等星と白い6等星が並んだ二重星で、小型の天体望遠鏡でも見やすい、春の名天体の一つです。天体観察会などで見せてもらえるチャンスがあるかもしれませんので、ぜひ覚えておいてください。

真夜中の星空開く

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は3月中旬の深夜1時ごろの星空です。4月中旬の23時ごろ、5月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。


2016年3月中旬 深夜1時ごろの空

南の空に「春の大三角」が大きく広がっています。三角形を作る星の一つ、2等星のデネボラは「しし座」の尾の位置にあり、そこから西に目を移して1等星レグルスなどをつなぐと、天を駆けるライオンの姿が描けます。今年はそこに木星も加わり、百獣の王がいっそう立派に見えます。

南東の空の低いところには「さそり座」の赤い1等星アンタレスも顔を出し始めました。その近くには、アンタレスと赤さや明るさを競うように火星が輝いています。さらに土星も接近していて、明るい星が3つ集まって見えます。明け方になればもっと高くなり、いっそう目立つことでしょう。

北の空に注目すると、高いところに「北斗七星」が見えています。また北東の空の低いところには、「こと座」のベガと「はくちょう座」のデネブも見えています。夜更かしした日には、こうした夏の1等星も見つけてみてください。

天体観察用機材の選び方開く

天体双眼鏡の選び方


ニコン双眼鏡「7×50 SP 防水型」(倍率:7倍、対物レンズ有効径:50mm)

天体の観察には天体望遠鏡が必要と思いがちですが、双眼鏡もとても役に立ちます。双眼鏡のメリットには、持ち運びや取り扱いが簡単なこと、視界(見える範囲)が広いこと、上下左右が肉眼と同じ向きに見えること、などがあげられます。

小型の双眼鏡でも、肉眼では見えない星まで見ることができますが、天体観察に使う場合には口径が40~50mm程度のものをおすすめします。たとえば、口径50mmの双眼鏡では、肉眼の約50倍の光を集め、肉眼より4等級ほど暗い星まで見ることができます。星団の暗い星々や星雲の広がりなども観察できるでしょう。また、ひとみ径は5mm以上のものが理想的です。

倍率は、7~10倍程度のものがおすすめです。双眼鏡の特長である広い視界を活かすためにも、それほど高倍率は必要ありません。観察するときには、双眼鏡を三脚に固定すると、手ブレしないので安定した像が見えます(三脚への取り付けには、アダプターが必要です)。三脚がない場合には、双眼鏡を両手で持ち脇を広げずに閉めるように構えたり、木や壁によりかかったりして、なるべく双眼鏡が動かないようにすると良いでしょう。

広い視界を持つ双眼鏡は、月と惑星の接近や天の川を眺めるときなどに、とくに力を発揮します。天体望遠鏡で天体を探すとき、準備としてまわりの星の並び方を確かめるのにも便利です。天体望遠鏡と双眼鏡、それぞれの特長を活かして天体観察をすれば、星空の楽しみ方がさらに広がるでしょう。

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