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星空案内 2015年4月の星空

星空案内:4月の星空

4日の皆既月食は今年一番の注目現象。とくに皆既食となる夜9時前後が最大の見どころです。赤い満月や見慣れない形の月を楽しみましょう。

見やすい2つの惑星、金星と木星は、それぞれ星団と接近しています。双眼鏡で眺めてみてください。木星は天体望遠鏡でも観察してみましょう。

星空写真開く


撮影:高岡 誠一

埼玉県熊谷市にて

撮影者コメント
皆既月食の魅力は、神秘的な赤銅(しゃくどう)色のグラデーション変化ではないでしょうか。肉眼で気軽に楽しめるのも嬉しいものです。月の右下に見える青緑色の点は、天王星です。

2014年10月8日 20時9分
ニコン D800E+Ai AF-S Nikkor ED 400mm F2.8D II+Ai AF-S TELECONVERTER TC-20E II(ISO 3200、露出2秒、f/11)

4月の星空開く

南の空

2015年4月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空のようすです。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

月は、満月(4日、月食中)、上弦(26日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

2015年4月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空のようすです。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

4月の天文カレンダー開く

4日(土) 満月。次の満月は5月4日です
夜7時過ぎから深夜11時前にかけて、皆既月食(「今月の星さがし」で解説)
5日(日)   明け方、月とスピカが並ぶ
宵~翌6日明け方、月とスピカが接近
8日(水)   このころ、宵~深夜に木星とプレセペ星団が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
深夜~翌9日明け方、月と土星が大接近
12日(日) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
このころ、夕方~宵に金星とプレアデス星団が接近(「今月の星さがし」で解説)
19日(日) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
21日(火)   夕方~宵、月とアルデバランが接近
22日(水)   このころ、夕方に水星と火星が大接近
26日(日) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~翌27日未明、月と木星が並ぶ
28日(火)   夕方~宵、月とレグルスが並ぶ

4月の惑星開く

水星

水星は中旬ごろまで、太陽に近いため見えません。20日ごろから夕方の西北西の空に見えます。明るさはマイナス1等級です。日没30分後(東京で夕方7時前)の地平線からの高度は10度前後で、これは太陽から大きく離れることがない水星としては、かなり見やすい高さです。

とはいえ、日没30分後ではまだ空に明るさが残っていて、月や金星といった目印になる天体もないので、慣れていないとなかなか見つけられません。モバイルアプリなどで方位と高度をよく確かめて、見晴らしのよいところで探してみましょう。双眼鏡があると見つけやすくなります。

22日前後には火星と並んで見えます。火星は水星よりも暗いのでさらに見つけづらいのですが、ぜひ一緒に探してみてください。

金星

金星は、夕方から宵の西の空に見えています。明るさはマイナス4等級で、春霞をものともせず一番星として輝いています。

中旬ごろに「おうし座」のプレアデス星団(すばる)と並んで見えます。最接近は12日ごろです。双眼鏡で眺めると、とても美しい光景を楽しめます。「今月の星さがし」を参考に、ぜひ観察してみましょう。

火星

火星は「おひつじ座」を動いています。夕方に西の空の低いところに見え、夜7時半ごろに沈みます。明るさは約1.4等級です。

低いことに加えて、1.4等級という明るさは夕空に見るには暗いため、観察するのはかなり困難です。モバイルアプリなどで位置をよく確かめて、双眼鏡で探してみましょう。

22日前後には水星と並んで見えます。ぜひ一緒に探してみてください。

木星

木星は「かに座」にあります。夜8時ごろに南西の空の高いところに見え、深夜2時ごろに沈みます。明るさはマイナス2.2等級です。その明るさと温かみのある色合いは、この春の主役にふさわしい印象を感じさせてくれます。

双眼鏡で眺めると、木星の周りを回るガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)がわかります。また、「かに座」のプレセペ星団と双眼鏡の同一視野内に見えます。「今月の星さがし」を参考にしてみてください。

天体望遠鏡を使うと衛星だけでなく、木星の表面にある縞模様や大赤斑という巨大な渦巻きも見えます。この春は、衛星同士が重なったり影で隠したりする相互現象が起こるので、興味のある方は観測に挑戦してみましょう。

26日の夕方から27日の未明にかけて、月と並びます。望遠鏡などがなくても肉眼で楽しめますので、気軽に空を見上げてみてください。

土星

土星は「さそり座」にあります。夜9時ごろ昇ってきて、深夜2時半ごろに南の空に見えます。明るさは0.1等級です。

天体望遠鏡で観察すると環が見えます。高くなるのは深夜なので本格的な観察は難しいかもしれませんが、意欲のある方は休みの前の日などに観察してみましょう。肉眼では、土星の下のほうに見えている「さそり座」のアンタレスとの色や明るさの違いを見比べてみましょう。

8日の深夜から9日の明け方にかけて、月と大接近します。肉眼で楽しめますので、少し夜更かしして月のすぐ右に土星が並ぶようすを眺めてみてください。

今月の星さがし皆既月食/木星とプレセペ星団、金星とプレアデス星団開く

今月はなんといっても、4日の皆既月食が一番の注目現象です。時刻や見え方をしっかり確認しておきましょう。宵空では木星とプレセペ星団が並び、中旬には夕空で金星とプレアデス星団が接近します。この「惑星と星団の接近」もご紹介します

4日に皆既月食

4月4日の夕方7時過ぎから夜11時前にかけて、満月が地球の影に入って欠けて見える月食が起こります。昨年10月と同様、今回も月全体が地球の影の中に完全に入る皆既月食です。半年で2回も起こることから月食はよく見えるような印象を受けますが、次回日本から見えるのは2017年8月、皆既月食に限れば2018年1月ですので、当分は見られません。しっかりと準備して観察しましょう。

満月が欠け始める(部分食の始まり)は夕方7時15分ごろ、月食が終わって再び白く丸い月に戻る(部分食の終わり)は夜10時45分ごろで、そのうち月全体が地球の影の中に完全に入る皆既食となるのは夜8時54分から9時6分のおよそ12分間です。月食の代名詞とも言うべき「赤い満月」を見逃さないよう、この12分間はとくに注目しましょう。なお、皆既中の満月が赤く見えるのは、太陽の光のうち赤い成分だけが地球の大気で屈折して月まで届くからです。


月食の見え方。月の欠け方を表している


月食の見え方。東京での、月の方位と高度を表している。月は大きめに描画

月食の進み方は、月が見えるところであればどこで観察しても同じタイミングで同じように見えます。各時刻で月の方位と高度は場所によって多少異なりますが、だいたい南東の方角の、やや低いところに見えます。写真を撮る場合などは、見晴らしの良さや前景となる建物などを事前に確認しておきましょう。

月食の観察に特別な道具は必要ありません。月の色や形が変わっていく様子は、肉眼でもよくわかります。双眼鏡や天体望遠鏡があれば、さらに微妙な色の違いなども楽しめるでしょう。科学館などでは観察会も開催されるので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。忙しい場合や天気に恵まれなかった場合には、インターネット中継を見るという方法もあります。

4月4日は土曜日なので、休みという方も多いでしょう。それほど夜更かしをしないでもよいこともあり、子供から大人まで幅広い年齢の方が見やすい現象です。場所によっては、夜桜と赤い満月のコラボレーションが見えるかもしれませんね。安全に注意しながら、ぜひ皆さんで楽しみましょう。

木星とプレセペ星団、金星とプレアデス星団

宵のころ、南から南西の空の高いところに木星が明るく輝いています。木星は現在「かに座」に位置していて、その中央付近に広がる「プレセペ星団」という星の集団と並んでいます。


4月8日夜8時の、東京での星空の様子。木星の西(右)のほうに見える星の集まりがプレセペ星団。星図中の円は標準的な双眼鏡の視野(7度の範囲)を表す

木星とプレセペ星団がもっとも近づくのは4月8日ごろです。その後は少しずつ遠ざかっていきますが、5月初めごろまでは標準的な双眼鏡で同一視野内に見えるでしょう。

星団に含まれる暗めの星々とマイナス2等級の木星が並ぶ光景はとても美しいものです。双眼鏡を使えば多少の町明かりがあってもプレセペ星団が見えるので、ぜひ観察してみてください。空の条件の良いところなら、肉眼でも星団がぼんやり見えるかもしれません。とくに、プレセペ星団を見たことがないという方は、この機会に木星を目印にして探してみてはいかがでしょうか。

一方、夕方から宵の早い時間帯には、西の空に金星がまぶしく輝いているのが目立ちます。4月の中旬ごろには、近くにある「おうし座」の「プレアデス星団」と並んでいます。

金星は木星よりも、プレアデス星団はプレセペ星団よりも、それぞれ明るいので、こちらのペアは木星+プレセペ星団のペアよりも華やかな印象を受けるかもしれません。また、日々位置関係(並び方)が変化していくというダイナミックさもあります。ただし、やや低いところに見えているので町明かりなどの影響を受けやすく、また油断していると建物の陰に隠れたり沈んだりしてしまいますので、注意してください。

肉眼や双眼鏡で観察するだけでなく、地上風景を取り入れて写真撮影もしてみると面白いでしょう。


金星とプレアデス星団の位置の変化。最接近は12日ごろ。星図中の円は標準的な双眼鏡の視野(7度の範囲)を表す

プレアデス星団は「すばる」という和名がよく知られています。清少納言は『枕草子』の中で「星はすばる。……ゆうづつ。……」(星といえば「すばる」や「ゆうづつ=宵の明星」がよい)と記しました。1000年も昔(おそらくはもっと前)から親しまれてきた「すばる」と「ゆうづつ」が並んでいる夕景、ぜひ眺めてみてください。

今月の星座うみへび座、からす座開く

『うみへび座』『からす座』

今月の星座では「うみへび座」と「からす座」をご紹介しましょう。

全天に88個ある星座のうち、もっとも大きいのが「うみへび座」です。東西に長く伸びた星座で、頭の先の星が昇ってきてから尾の先の星が昇ってくるまでに約8時間もかかります(東京の場合)。見やすいのは4月から5月ごろですが、明るい星は2等星のアルファルドしかないので、蛇の姿を見つけるのは難しいかもしれません。


「うみへび座」「からす座」と周囲の星々
(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

ちょうど4月の中旬ごろには、夜の9時から10時ごろ南の空に全部見えているので、双眼鏡を使うなどして星を1つずつたどってみましょう。目安としては「しし座」のレグルスや木星のあたりに蛇の頭があり、アルファルドが心臓、さらに左(東)へたどって「おとめ座」のスピカを通り過ぎたあたりが尾になります。なお、星座の星のつなぎ方に決まりはないので、「何となくこんな感じで蛇!」とつないでも、まったく問題ありません。

その「うみへび座」の尾のほうに、少しゆがんだ台形の星の並びが見つかります。スピカのやや右(西)という見つけ方のほうがわかりやすいかもしれません。このあたりが「からす座」です。その形から、日本には「帆かけ星」という呼び方もあります。

台形の4つの星はいずれも3等星(2.6~3.0等級)で、月明かりや街灯がなければ肉眼でもよくわかります。闇に紛れた「からす」の姿、見つけられるでしょうか。

南の回転花火銀河 M83

「うみへび座」蛇の尾のあたりにある渦巻銀河M83(Mはカタログの符号)は、「南の回転花火銀河」という愛称がつけられた見事な渦巻銀河です。ちなみに「(北の)回転花火銀河」は「おおぐま座」にあるM101で、こちらもやはり見事な渦巻銀河です。

観望や撮影の対象として人気の銀河ですが、中心部以外の腕の部分は淡く、また日本からは高度が低いため、立派な姿をとらえるのは難しいかもしれません。好条件の空に恵まれれば、ぜひ探してみてください。インターネットで検索すると大型望遠鏡で撮影されたカラフルな画像が見られるので、観察や撮影の道具がなくても楽しめます。

アンテナ銀河

「からす座」にも、「アンテナ銀河」という有名な銀河があります。アンテナとは触角のことですが、画像中の明るい部分の左、上下に伸びる淡い部分が触角のように見えるでしょうか。

アンテナ銀河は2つの銀河が衝突している現場で、明るい部分はそれぞれの銀河の中心部です。近接したために重力の影響で形がゆがみ、一部が引き伸ばされたのが触角部分というわけです。また、衝突している中心付近では激しい勢いで星が生み出されています。こちらもやはり、インターネットで検索してみると、宇宙望遠鏡などで撮影された画像がたくさん見られます。不思議な形状や鮮やかな色合いをお楽しみください。

真夜中の星空開く

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は4月中旬の深夜1時ごろの星空です。5月中旬の23時ごろ、6月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。


2015年4月中旬 深夜1時ごろの空

今月ご紹介した「うみへび座」が南西の空に横たわっています。頭の部分やアルファルドは沈みかけていますが、尾の先はやっと真南に来たところです。大きさや長さが実感できるでしょう。その尾のさらに東には、「てんびん座」を挟んで土星や「さそり座」のアンタレスが光っています。

南西の空には「春の大三角」が大きく広がっています。アルクトゥールスとスピカは「春の夫婦星」とも呼ばれる好対照のペアです。色や明るさの違いなどを意識しながら、仲の良い様子をイメージして眺めてみましょう。一方、真東には「夏の大三角」も見えています。こちらのベガ(織女)とアルタイル(牽牛)も、夫婦の星ですね。

新生活の疲れから、4月はあまり夜更かしができないかもしれません。しかしもし眠るのが遅くなってしまったら、夜空を見上げて星々をつないだり、月や惑星の明かりに触れたりしてみましょう。きっと気分がリフレッシュできるはずです。

天体観察用機材の選び方開く

天体撮影用デジタルカメラの選び方


デジタル一眼レフカメラ「ニコン D4S」AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G装着時

天体写真というと、大がかりな撮影装置が必要と思いがちです。たしかに、星雲や星団、惑星などをクローズアップする撮影は、天体望遠鏡などが必要で簡単ではありません。しかし、肉眼で見た景色に比較的近い表現の星座写真や星景写真(星のある風景の写真)は、一般的なデジタルカメラで写すことが可能です。

デジタルカメラにもいろいろな機種がありますが、天体の撮影には、さまざまな機能を撮影者が自由に設定できるデジタル一眼レフがおすすめです。レンズは、いわゆる標準ズームレンズがあればじゅうぶんですが、本格的に撮影を行いたい場合は、できるだけ開放絞り値の小さな明るい交換レンズを用意しましょう。

代表的な星座のオリオン座やしし座、さそり座などを構成する明るい星々は、ズームレンズの焦点距離をやや広角気味に設定すると、ほどよい大きさで画面に収まります。また、暗い星空の撮影では、どうしてもシャッタースピードが長くなります。そのため、三脚とリモートコードが必要です。撮影はカメラを三脚に載せて、写したい星座に向けて固定し、シャッターボタンを押すときにカメラに振動が伝わらないようリモートコードを利用してシャッターを切ります。

比較的長めのシャッタースピード、高めの感度設定での撮影になりますので、ノイズ低減やノイズ除去機能を持っている機種では積極的に利用しましょう。また、星の像がシャープ過ぎる場合は、市販のソフトフィルターなどの拡散系フィルターでにじませると、星の明るさの差がわかりやすくなります。