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2018年9月の星空

秋の風物詩「中秋の名月」は今月24日です。澄んだ秋の夜空に上る、白く丸い月を愛でましょう。夏の間に宵空を飾っていた4惑星は低くなってきましたが、今月もまだ楽しめます。土星の環や火星の色をじっくり観察してみましょう。

星空写真

群馬県 渋峠にて
標高2,172メートルの渋峠は平野部がガスに覆われ雲海が広がる、雲海発生率の高いロケ地です。また、9、10月の薄明直前には黄道光と銀河のクロスが見られます。そこで、意図的に黄道光と銀河のクロスと雲海のコラボを狙ってみました。

2016年9月10日 3時51分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G(14mm、ISO 12800、露出5秒を8枚合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

9月の星空

南の空

南の空

2018年9月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(25日)、上弦(17日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年9月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(土) このころ、夕方に金星とスピカが大接近
2日(日) 深夜~翌3日明け方、月とアルデバランが接近
3日(月) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
10日(月) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
12日(水) 夕方、細い月とスピカが並ぶ
14日(金) 夕方~宵、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
17日(月) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~宵、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
20日(木) 夕方~翌21日未明、月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説)
21日(金) 金星が最大光度(夕方、南西の低空で明るく輝いています)
23日(日) 秋分
24日(月) 中秋の名月(「今月の星さがし」で解説)
25日(火) 満月。次の満月は10月25日です
30日(日) 深夜~翌10月1日未明、月とアルデバランが接近

9月の惑星

水星

10日ごろまで、明け方の東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で朝4時45分ごろ)の高度は約7度と低く、目印になるような天体もないため、見つけるには工夫や慣れが必要です。星図アプリなどで位置をよく確かめて、見晴らしの良い場所で探してみてください。約マイナス1等級と明るいのですが、夜明け空の中に埋もれてしまうので、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

宵の明星として、夕方の南西の空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方6時20分ごろ)の高度は10度ほどと低いため、建物に隠されたり思いのほか早く沈んでしまったりします。見晴らしの良いところで眺めてみましょう。マイナス4等級と明るいので、暗くなりきっていない空でも肉眼で簡単に見つけられます。

先月に続いて太陽から最も離れているころなので、澄んだ秋の空の下では日中でも金星が見つけられるかもしれません。星図アプリなどで位置を確かめて昼間の金星に挑戦してみましょう。太陽を見ないようにじゅうぶん注意してください。

火星

「やぎ座」と「いて座」の境界付近を動いています。夜8時ごろに南の空に見え、夜10時ごろに南西の低空に移り、未明の1時ごろに沈みます。明るさは約マイナス1.7等級です。

7月31日に地球と最接近して以降、どんどん遠ざかっているために少しずつ暗くなっていますが、夜の早い時間に金星や木星が沈んでからは夜空で一番明るく輝く星です。赤~オレンジ色の目立つ輝きを楽しみましょう。遠ざかるにつれて見かけのサイズが小さくなっていますが、まだ天体望遠鏡での観察も楽しめますので、科学館などに出かけてみてください。

20日の夕方から21日の未明にかけて月と接近します。

木星

「てんびん座」にあります。日の入り30分後(東京で夕方6時20分ごろ)に南西の空に見え、夜8時ごろに沈みます。明るさは約マイナス1.9等級です。

14日の夕方から宵に、やや細めの月と接近します。月と木星が並ぶ光景は肉眼でもはっきりと見えるので、気軽に見上げてみましょう。夕景の写真の、良い被写体にもなります。

空が暗くなるころには低くなってしまうので、天体望遠鏡での観察には向いていません。

土星

「いて座」にあります。日の入りのころ(東京で夕方6時前ごろ)に南の空に見え、夜9時ごろに南西の低空に移り、深夜11時ごろに沈みます。明るさは約0.3等級です。

やや低くなってきましたが、宵の時間帯に比較的見やすい高さにあります。天体望遠鏡で環を観察してみましょう。来月以降はさらに低く見づらくなってしまうので、今シーズンの見納めをしっかりしておきたいところです。

肉眼では、土星の東(左)にある火星と明るさや色を見比べてみましょう。17日の夕方から宵に上弦の月と接近する現象も見ものです。

今月の星さがし

14日から20日まで2日おきに、月が形を変えながら木星・土星・火星に次々と接近します。その後、月はさらに丸くなり、24日に「中秋の名月」を迎えます。

月と木星・土星・火星の共演

今年の夏は宵空に金星、木星、土星、火星の4惑星が見え、西から南東の空にかけて明るい惑星のラインを作っていました。9月になってもまだ4惑星を同時に見ることができますが、金星と木星は早いうちに沈んでしまうので、全部見たい場合には空が暗くなり始めたくらいのころに見ておきましょう。土星と火星は深夜ごろまで見えているので、比較的見やすい状態が続いています。

この4つのうち木星、土星、火星の近くを、中旬ごろに月が通り過ぎていきます。14日に木星、17日に土星、そして20日に火星と、2日おきに起こる現象で、惑星から惑星へと月が三段跳びで動いていくようなイメージです。

9月14日から20日まで2日おきの、南南西を中心とした空の様子(19時、場所は東京)。囲み内は月と惑星のズームアップ(直径7度、双眼鏡で見たイメージ)と、惑星単独のズームアップ。広角図では月は大きく描いている

一口に「月と惑星の接近」と言っても、見え方は同じではありません。月は毎日形が変わっていきますし、月が太るにつれて空の明るさも変わります。また、月の相手となる惑星も、色や明るさが違います。そして、月と惑星の間隔や並ぶ角度もそれぞれです。見る場所の違い(地上風景の様子)や雲の状態なども差を生み出す要因になります。月とそれぞれの惑星の接近について、似たところと違うところを意識しながら眺めてみると、夜空の楽しみ方が一つ増えるかもしれません。木星は「てんびん座」、土星は「いて座」、火星は「やぎ座」に位置しているので、月や惑星を眺めたときには周りの星座の星も探してみてください。

天体望遠鏡があれば、月や惑星を拡大して観察してみましょう。月のクレーターや土星の環などは何度見ても興味深いものです。地球最接近から1か月以上が過ぎた火星は小さくなってきましたが、この先はもっと小さくなってしまうので、ぜひ今月中にもう一度観察しておきましょう。科学館やプラネタリウムなどで開催される天体観察会に参加してみてはいかがでしょうか。

24日、中秋の名月

7月の七夕や8月の伝統的七夕、ペルセウス座流星群が夏の風物詩とすれば、「中秋の名月(十五夜の月)」は秋の風物詩と言えるでしょう。澄んだ秋の夜空に昇る丸い月は、たいへん美しいものです。街中からでも月はよく見えるので、気軽にお月見を楽しみましょう。

「中秋」とは、秋のちょうど真ん中を指す言葉です。日本でかつて使われていた暦(いわゆる旧暦)では7~9月が秋なので、旧暦の8月15日が中秋ということになります。現行の暦(新暦)では毎年異なる日付になり、今年は9月24日になります。そしてこの夜の月が「中秋の名月(十五夜の月)」と呼ばれています。

※旧暦は現在公的には使われていないため、中秋の名月の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた8月15日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。

ところで十五夜の月は必ずしも満月になるとは限らず、今年の場合は翌25日が満月です。とはいえ、25日のちょうどお昼ごろに満月の瞬間を迎えるので、「24日の夜から25日明け方の月」も「25日の夜から26日明け方の月」も見え方はほとんど変わりません。天体望遠鏡では縁がわずかに欠けているのがわかるかもしれませんが、肉眼ではどちらも「丸い月」に見えるでしょう。

9月24日深夜、真南の空高く上った中秋の名月。赤い字は主な地形の名前

十五夜以降の月にも様々な呼び名が付けられています。翌日の月は十五夜よりやや遅く昇ることから、「ためらう」という意味の「いざよい」と呼ばれ、さらに翌日は「立って待っていると昇ってくる」ので「たちまちづき」(以降、「いまち」「ねまち」「ふけまち」)となります。こうした呼び方を覚えると、月が古来から身近に親しまれてきたことが実感できるでしょう。

満ち欠けによる形の変化や「月のウサギ」として有名な表面の暗い模様は肉眼でもわかりますが、天体望遠鏡で観察すると、海と呼ばれる暗い部分(ウサギの正体)や数々のクレーターも見ることができます。さらにしっかりと観察すると、月の縁に近い部分の見え方が変わったり見かけの大きさが変化したりすることもわかるかもしれません。縁付近の見え方が変わるのは月が地球に向けている面が微妙に変わるため、大きさが変わるのは月と地球との距離が変わるからです。

9月の月の見え方(日本時間0時の形)。満ち欠けだけでなく、縁に近い模様の見え方や、見かけの大きさが変わることがわかる

普段、星空を見るにはまぶしすぎるため月明かりはないほうが嬉しいのですが、反対にその明るさから、月はどんな場所からでも手軽に楽しむことができる天体です。秋の夜長、じっくりと月を観察してみてはいかがでしょうか。

今月の星座

はくちょう座

9月中旬の夜9時ごろ、頭の真上からやや西寄りに「夏の大三角」が見えます。3つの星はどれも1等星で明るいのですが、そのなかでは一番暗いのが「はくちょう座」の目印となる星、デネブです。残る2つは「こと座」のベガと「わし座」のアルタイルです。

「はくちょう座」「とかげ座」
(星雲の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

このデネブを手掛かりとして星々を十字形につなぐと、首を長く伸ばした白鳥が翼を大きく広げて空を飛ぶ姿を夜空に思い描くことができます。十字の交点に輝く2等星サドルをはじめ、十字を構成する星は2等星、3等星が中心なので、比較的簡単に見つけられるでしょう。

また、空が暗いところでは「はくちょう座」のあたりにうっすらと天の川が流れているのも見えます。この天の川の流れを南へたどっていくと、「わし座」や「さそり座」を通って「南十字星(みなみじゅうじ座)」に行き当たります。「はくちょう座」はその形から別名「北十字」とも呼ばれますが、北十字から南十字まで天の川をたどってみたいですね。

二重星アルビレオ

白鳥の頭のところに位置するオレンジ色の3等星アルビレオを天体望遠鏡で観察すると、そばに青っぽい5等星があるのがわかります。色の対比がとても美しく、何度見ても飽きることがありません。

天体観察会でも大人気の星です。ぜひ科学館や公開天文台などで天体望遠鏡を覗かせてもらいましょう。きっと何度も見たくなるはずです。

北アメリカ星雲、網状星雲

デネブのすぐ近くに「北アメリカ星雲」という愛称で知られている星雲があります。また、白鳥の南の翼のあたりには「網状星雲」という、ヴェールのような星雲があります。

いずれも淡く、眼視で観察するのは難しいのですが、天体写真ではよく撮影される対象です。写真では全体的な形だけでなく複雑で繊細なガスの構造も美しく楽しめるので、ぜひ写真集やインターネットの画像などでご覧ください。

とかげ座

「はくちょう座」の北隣には、「とかげ座」という星座があります。小さく暗いので目立ちませんが、「はくちょう座」を見上げたときには「とかげ座」も忘れずに思い出してください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は9月中旬の深夜1時ごろの星空です。10月中旬の深夜11時ごろ、11月中旬の夜9時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2018年9月中旬 深夜1時ごろの星空

「夏の大三角」が西の空に傾きました。「はくちょう座」は地平線を目指して飛んでいるような格好で、西を正面にする(図を時計回りに90度回転させる)と地平線に十字が立っているようにも見えます。

頭の真上近くには秋を代表する「ペガスス座」の四辺形が広がっています。四辺形の西の辺(図では右の辺)を南(下)に伸ばしていくと、秋の唯一の1等星、「みなみのうお座」のフォーマルハウトが見つかります。木星や土星が沈み、火星も低くなってしまったため、深夜の南の空は宵とは違ってずいぶん控えめな印象を受けるでしょう。一方で東の空には「オリオン座」をはじめ、派手な冬の星々が昇ってきました。

日中は暑さの残る日もありますが、深夜には肌寒さを感じることもある季節です。体調を崩さないようにお気をつけて、お月見や星座めぐりをお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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