Nikon Imaging
Japan

2018年8月の星空

宵空に火星、木星、土星がそろい踏みしています。夕空の金星も含めて、明るい4惑星がとても見やすいシーズンです。どれも夜更かしせずに見られるのも嬉しいところ。惑星の夏を満喫しましょう。また、毎年夏の恒例の天文現象、ペルセウス座流星群は12日から13日に見ごろを迎えます。月明かりのない好条件で見逃せません。こちらは夜更かしになりますが、準備を整えて流れ星を待ちましょう。

星空写真

三峯神社にて
パワースポットの三峯神社にある三ツ鳥居です。通常の鳥居の両脇に小さな鳥居が組み合わされている珍しい鳥居です。この鳥居の頭上にこと座が輝き、わし座が昇り始めていました。
※三峯神社の許可を得て撮影しています。

2018年4月28日 1時46分
ニコン D750+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(14mm、ISO 2000、露出15秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎

8月の星空

南の空

南の空

2018年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(26日)、上弦(18日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

5日(日) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
7日(火) 立秋(こよみの上で秋の始まり)
未明~明け方、細い月とアルデバランが大接近
11日(土) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)(中国、ロシア、グリーンランドなどで部分日食)
13日(月) ペルセウス座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
14日(火) 夕方~宵、細い月と金星が並ぶ
17日(金) 伝統的七夕(「今月の星さがし」で解説)
夕方~宵、月と木星が接近
18日(土) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
21日(火) 夕方~翌22日未明、月と土星が大接近
23日(木) 宵~翌24日未明、月と火星が並ぶ
26日(日) 満月。次の満月は9月25日です
27日(月) このころ、明け方の東の低空で水星がやや見やすい

8月の惑星

水星

25日ごろから、明け方の東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で朝4時30分ごろ)の高度は約10度で、太陽から大きく離れることのない水星としては好条件です。とはいえ10度はかなり低く、空も明るく、目印になるような天体もないため、見つけるには工夫や慣れが必要です。星図アプリなどで位置をよく確かめて、見晴らしの良い場所で探してみてください。約0等級と肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

宵の明星として、夕方から宵の西の空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方7時ごろ)の高度は15度ほどと低いのですが、マイナス4等級ととても明るいので、建物などに隠されなければ肉眼で簡単に見つけられます。

また、今月は金星が太陽から最も離れるタイミングなので、澄んだ空に恵まれれば日中でも金星が見つけられるかもしれません。星図アプリなどで位置を確かめて挑戦してみましょう(太陽を見ないようにじゅうぶん注意してください)。

14日には月齢3の細い月と接近し、左右に並びます。細い月と金星の共演はとても美しい光景ですので、夕涼みしながらぜひ眺めてみてください。

火星

「やぎ座」と「いて座」の境界付近を動いています。夜8時ごろに南東の空に見え、夜10時半ごろに真南の空に移り、明け方3時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.5等級です。

7月31日に地球と最接近し、今月は遠ざかっていくので少しずつ暗くなりますが、今月末でもまだマイナス2等級と非常に明るく目立ちます。先月までよりも早い時間帯から見えることもあり、特徴的な赤い色がいっそう人目を引いて話題となるでしょう。23日の宵から24日の未明にかけて月と並んで見える光景も楽しみです。

火星が遠ざかっていくということは見かけ上小さくなっていくということですが、最接近時と比べて1割程度の差しかありません。天体望遠鏡での観察好機も続いているので、科学館などで開催される火星観察会に出かけてみましょう。「今月の星さがし」も参考にしてみてください。

木星

「てんびん座」にあります。日の入り30分後(東京で夕方7時ごろ)に南西の空に見え、夜10時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.0等級です。

深夜には沈んでしまうことから観察可能な時間が短くなっていますが、まだよく見えます。見ごろの火星、土星とともに観察してみましょう。夜8時ごろ、南の空に3惑星が並ぶ光景は見事な眺めです。肉眼で色や明るさの違いを見たり、天体望遠鏡でそれぞれを拡大してじっくり観察したりして楽しみましょう。「今月の星さがし」も参考にしてみてください。

17日の夕方から宵に上弦前の月と接近します。月と木星が並ぶ光景は肉眼でもはっきりと見えるので、気軽に夜空を見上げてみましょう。

土星

「いて座」にあります。夜8時ごろに南の空に見え、未明の1時ごろに沈みます。明るさは約0.1等級です。

宵の時間帯に見やすい高さに昇り、観察の好機が続いています。天体望遠鏡で環を観察してみましょう。火星、木星と同様に、天体観察会に参加するのもおすすめです。

肉眼では、南の空に並ぶ3惑星の色や明るさを見比べてみましょう。土星を中心にして右(西)に土星、左(東)に火星と、バランスのとれた並びも面白い光景です。また、21日の夕方から22日の未明にかけて上弦過ぎの明るい月と大接近する様子も見ものです。月のすぐそばに土星が寄り添う様子を、肉眼や双眼鏡で眺めてみてはいかがでしょうか。

今月の星さがし

7月31日に地球と最接近した火星は今月も明るく、木星や土星と共に見ごろです。惑星観察を楽しみましょう。12~13日ごろには毎年恒例のペルセウス座流星群が見られ、月明かりの影響をまったく受けない好条件で楽しめそうです。

火星が見ごろ、木星や土星と共に観察好機

今月は夕方から宵の空に、4つの明るい惑星が見えます。西に金星、南西に木星、南に土星、そして南東に火星です。金星は夜の早いうちに沈んでしまいますが、木星は夜9時ごろまで、火星と土星は深夜まで見ることができるので、夜8~9時ごろという星空観察をしやすい時間帯に火星、木星、土星の3つを同時に眺められるということになります。

このうち最も注目なのは、7月31日に地球と最接近した火星でしょう。最接近を過ぎたので火星は少しずつ暗くなり、天体望遠鏡で見たときのサイズも小さくなっていきますが、急激に変化するわけではないので、先月までの見え方とそれほど変わりません。一方で、地平線から昇ってくる時刻が先月までよりも早くなり、見やすい高さになる時間帯もそれだけ早くなっているという点では、見やすさがアップしています(深夜に大きく見えるのも嬉しいですが、少し小さくても宵に見るほうが簡単ということです)。最接近を過ぎたからといって火星を見るのをやめるのではなく、むしろ気軽に見やすいのはこれからと考えて、継続的に観察してみましょう。

8月3日から31日まで1週間おきの、南を中心とした空の様子(21時、場所は東京)。囲み内は同じ拡大率で見た惑星のイメージ

木星と土星ももちろん、望遠鏡でよく見えます。木星は表面の縞模様や周囲を回るガリレオ衛星を、土星は環を、それぞれ観察してみましょう。上の図では3惑星の拡大率を同じにして見え方を示しています。環を含めれば土星が一番大きく見えること、本体だけで比べれば反対に土星が一番小さいこと、火星の南極部分が白く見えること(極冠という、水と二酸化炭素の氷)などがわかるでしょう。

望遠鏡を持っていなければ、科学館やプラネタリウムなどで開催される天体観察会に参加するのがお勧めです。最近では商業施設や街角で観察会が行われていることもあるので、思いがけない機会に惑星や月を観察できるかもしれません。大勢の方と楽しみを共有できるのもイベントの面白さですので、ぜひお出かけしてみてください。

肉眼では、惑星同士の明るさや色を見比べてみましょう。それぞれの惑星と月が並ぶタイミング(14日:金星、17日:木星、21~22日:土星、23~24日:火星)に接近現象を見たり撮ったりするのも楽しみです。

また、「てんびん座」の木星、「さそり座」のアンタレス、「いて座」の土星、「やぎ座」の火星と、明るい4つの星がだいたい等間隔で並んでいるのも面白い光景です。木星のさらに右(西)には「おとめ座」のスピカと金星もあるので、明るい6つの星が西から南東に輝いていることになります。宵空でこれほどきれいに星や惑星が並ぶタイミングは極めて珍しいことです。気軽に眺めるもよし、望遠鏡でじっくり観察するもよし、探査機の画像を眺めたり研究成果を調べたりするもよし。この夏は惑星を存分に楽しみましょう。

12~13日ごろ、ペルセウス座流星群

毎年8月13日ごろに活動がピークとなる「ペルセウス座流星群」は、夏の定番の天文現象です。条件が良ければ1時間あたり数十個の流れ星を見ることができる、一年のうちでも指折りの「流れ星が見やすい夜」です。速く明るい流星が多いので見ごたえがあり、流れ星が飛んだあとに、ぼんやりとした煙のような「流星痕」が見えることもあります。

今年のピークは13日午前10時ごろと予想されています。この時刻は日中なので、実際の空で一番見ごろとなるのは12日深夜から13日明け方にかけての夜になるでしょう。

8月13日3時ごろの東京の空。流れ星は、放射点の位置する北東の空だけではなく、放射点を中心とした空全体に飛ぶように見える

普段の星空観察と同様に、流れ星の観察も街明かりや月明かりの影響を大きく受けます。このうち月明かりについては、直前の11日が新月なので、流れ星が見やすい深夜から明け方にはまったく影響がありません。そのおかげで、街明かりが少なく見晴らしが良いところでは、1時間あたり30~50個の流れ星が見えると期待されます。街明かりがあったり建物などで視界の一部が遮られたりしているようなところでも、1時間あたり15個程度は流れ星が見えるでしょう。また、前後数日も、この半分くらいは見えると予想されます。

流れ星観察の重要なポイントは、空を広く見渡すことです。流れ星は「ペルセウス座の方向だけ」に飛ぶのではなく「ペルセウス座(放射点)を中心として空のあちこち」に飛ぶので、狭い範囲を集中して見るのではなく広い範囲をゆったりと眺めましょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。

また、1時間に30個見えるとすると平均では2分に1個見えることになりますが、実際には流れる場所だけでなく流れるペースも不規則なので、10分間に1個も見えないということもあります。安全やマナーに気をつけながら、できれば15分くらいは空を見上げてみてください。虫よけもお忘れなく。

17日、伝統的七夕

7月7日は七夕でしたが、例年だとまだ大半の地域で梅雨が明けていません。そのため、晴れた夜空に織り姫星(「こと座」のベガ)と彦星(「わし座」のアルタイル)が見えないことも少なくありません。

七夕は古くからの行事で、もともとは旧暦の7月7日に行われていました。そこでこの旧暦7月7日(※)を「伝統的七夕」と呼んで、天文行事として祝う動きも広く行われています。伝統的七夕の日は毎年日付が変わり、今年の場合は8月17日です。

※旧暦は現在公的には使われていないため、伝統的七夕の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた7月7日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。

伝統的七夕の8月17日と新暦七夕の7月7日、旧暦の7月1日に当たる8月11日の、夜9時の空(場所は東京)。7月7日には地平線(図の円周)に近いベガとアルタイルが、8月17日には天頂(図の中心)付近まで高く昇ることがわかる。
また、8月11日は月明かりがないので、この前後の日は天の川が見やすい

このころになれば梅雨も明け、晴れた夜空に出会える確率が高くなります。7月7日の夜9時ごろには東の空に見えていたベガとアルタイルは、伝統的七夕の夜9時には頭の真上あたりまで高く上っています。また、旧暦では1日が新月なので、その6日後となる旧暦7日は必ず(ほぼ)上弦の半月になります。今年は木星と並んでいる上弦の半月が沈む深夜以降、空が暗いところではベガとアルタイルの間に天の川も見えるでしょう。今年は宵空に木星、土星、火星と明るい惑星が3つも見え、七夕祭りに華を添えているかのようです。

伝統的七夕に合わせ、省エネや暗い夜空などについて考えるライトダウンキャンペーンも行われています。8月17日の「伝統的七夕」の夜は空を見上げて織り姫星と彦星を見つけ、星や宇宙に、そして地球にも、思いを馳せてみてください。

今月の星座

こと座、わし座

伝統的七夕のところでもご紹介したように、8月中旬の夜9時ごろには頭の真上あたりに「夏の大三角」が見えます。3つの星のうちで一番明るいのがベガ(0.0等級)、次に明るいのがアルタイル(0.8等級)で、ベガの周りに「こと座」が、アルタイルの周りに「わし座」が広がっています。

「こと座」「わし座」
(M57の画像クレジット:NASA, ESA, and the Hubble Heritage (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration)

「こと座」は、ベガを含む3つの星でできる小さい三角形と、その三角形につながる平行四辺形に並んだ星々で形作られます。ベガのほかは3等星かそれより暗く、少し見つけづらいので、双眼鏡を使って探してみましょう。整った形の竪琴(たてごと)がイメージできます。

「わし座」のほうはアルタイルの両隣に星があり、そこからさらに他の星をつなぐと鷲の体や翼を描くことができます。とはいえ、「こと座」と同様に「わし座」もアルタイルのほかは暗い星ばかりです。天空を悠々と飛ぶ鷲の姿を思い浮かべるには、澄んだ夜空と想像力が必要でしょう。

どちらの星座も1等星以外の星はあまり目立ちませんが、ベガとアルタイルは街中でも見つけられます。伝統的七夕の夜だけでなく、晴れた夜にはいつでも、空を見上げて2つの星を探し、周りの星々を想像してみてください。

多重星ダブルダブルスター

ベガのそばにある「こと座ε(エプシロン、イプシロン)星」は、肉眼では1つにしか見えませんが、双眼鏡で観察すると5等星が2つ並んだ二重星であることがわかります。天体望遠鏡を使うと、さらにそれぞれが2つずつに分離して全部で4つの星が見えます。「二重の二重星」なので「ダブルダブルスター」と呼ばれており、観察会などで人気のある天体です。

環状星雲M57

「こと座」の平行四辺形に並んだ星のうちベガから遠い2つの星の間に、広がったガスが丸く見える天体があります。その形から「環状星雲、リング星雲、ドーナツ星雲」などの愛称で知られています。太陽のような星が一生の終わりに放出したガスが紫外線を受けて光る、「惑星状星雲」という種類の天体です。M57という番号は、天文学者メシエが編集したカタログの57番目の天体という意味です。

環状星雲は淡いので、空の条件の良いところで天体望遠鏡を使わないと見ることができませんが、機会があればぜひ観察してみましょう。なお、星図中の画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影したものでカラフルですが、眼視では光が弱いため色彩を感じられず、白っぽく見えます。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は8月中旬の深夜1時ごろの星空です。9月中旬の深夜11時ごろ、10月中旬の夜9時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2018年8月中旬 深夜1時ごろの星空

「夏の大三角」が西の空に移ってきました。同じ星の並びでも、東の空や頭の真上に見えているときとは違った印象を受けるかもしれません。土星は沈みかけていますが、火星はやや低いながらも、この時間でもまだよく見えています。

土星から夏の大三角を通って、北東の空の高いところにある「カシオペヤ座」に至り、さらに北東やや低めのカペラへと続くあたりには、天の川が流れています。街明かりを離れ高原などで暗く澄んだ夜空を眺める機会があれば、ぜひその流れをたどってみましょう。双眼鏡を使うとたくさんの星が見え、美しさに引き込まれるはずです。火星の赤さ明るさも、街中とは違って感じられることでしょう。

夜になっても暑い時季ですが、頭の真上には「秋の四辺形」が広がり、東の空には冬の星座「おうし座」も見え始めています。夏バテや疲れに気をつけながら星空散歩をお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス